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スラノベ!@毎日読める140字小説(中の人:コヨーテ)

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◉スラッと読める短い小説(ノベル)、略して #スラノベ! ◉いろは順140字小説を毎日投稿中! ※物語は全てフィクション ◉作詞などのアカはこちら▶︎ @coyote5410music

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@srnb_readeasy
スラノベ!@毎日読める140字小説(中の人:コヨーテ)
4 months
実は今回中の人である私、コヨーテが作詞をさせていただきました。 一途な淡い恋心を金木犀の香りとぼやけた季節に重ねて、描いています。 ぜひ聴いてください!!!
@shortkanikama
shortかにかま
4 months
『オーデコロン-可不(KAFU)-』 作詞:コヨーテ 様 作曲:shortかにかま 歌詞を使用させていただいての「初の合作」になります! 初のフル尺の曲にもなりますのでよければ聴いてください! フル↓↓
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@srnb_readeasy
スラノベ!@毎日読める140字小説(中の人:コヨーテ)
6 months
初めまして、コヨーテといいます。 当アカでは、スラっと毎日約20秒で読める140字の小説(ノベル)、略して「スラノベ!」をお届けします。 作詞経験を活かし、共感や意外性、キュンとする話などを作ります。 また、一文字目があいうえお順なのも注目ください!よろしくお願いいたします! #140 字小説
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@srnb_readeasy
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4 months
こんなに大きくなっていたのか。前に箸の持ち方を教えたばかりのはずなのに。娘の入学式のために、慣れないネクタイを結ぶ。きっとこのランドセルも教科書が分厚くなり、ベルトの穴は一番端に変えるのだろう。父親としてももっと背中で語れるように。一緒に明日を背負いはじめた今日。入学おめでとう。
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@srnb_readeasy
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4 months
こんばんは!善は急げ、ということで早速「小説家になろう」にて、五十音140字小説を投稿しました!順次更新予定です! 検索にて 五十音140字小説 と入力してください!コヨーテの五十音140字小説のみでます☺️ これからもよろしくお願いします!!! #小説家になろう #毎日投稿 #140 字小説 #短編小説
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@srnb_readeasy
スラノベ!@毎日読める140字小説(中の人:コヨーテ)
4 months
魚屋さんでサバを買った。スーパーで買うよりも、童顔な私はおまけされやすいから。結婚10年目なのに、魚屋さんの店主に「お綺麗ですね、おいくつですか」と聞かれた。あまり慣れてない質問だから、5歳若く言ってみた。疑われるだろうと思っていたが、妙に納得された。私の目は、すごく泳いでいた。
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@srnb_readeasy
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4 months
もうすぐ五十音順投稿も完走! そこで、皆さんが今後読みたいカテゴリーをお聞きしたいと思います。 お気軽にご回答ください! 他にもあれば、リプ欄でもOK! #短編小説 #140 字小説 #作詞 #創作 #音楽 #文学 #コヨーテ これから読んでみたいのは‥?
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ファンタジー系
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哲学・思想系
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青春系
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@srnb_readeasy
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4 months
自分の生まれた年に作られたワインを買った。ガラス窓の棚に並べて眺めると、店に並ぶ姿よりもずっと年季がない感じがする。でもこうやって生きてきた日々を形にするのは良いものだ。もうすぐ息子が生まれるから、今年のワインも買っておこうか。20年後、それぞれの人生の味を、舌鼓をうてるように。
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@srnb_readeasy
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4 months
値引き弁当の毎日。野菜ジュースの味も飽きてしまった。猫背で歩いていると、漫画週刊誌が目に留まる。あの頃同じページを読んでは、輪郭や背景の細かさに魅せられていた。その途端、ネクタイを解き、一度は諦めた机に向かった。ペン先から滴るインク。心の高鳴りを感じた。もう一度だけ、夢を見たい。
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@srnb_readeasy
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9 days
本当のことは言えなかった。私が月からやってきた、かぐや姫だということ。もうすぐ私は帰ってしまうこと。隠していたけど、あなたは気がついていたんでしょ。そういう細かいところに気がつくのが、すき。空港の屋上、何機も飛行機を見送り、月の光が強くなった。それでも、本当のことは言えなかった。
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@srnb_readeasy
スラノベ!@毎日読める140字小説(中の人:コヨーテ)
3 months
スローガンが決まった。そんなことより早くゲーム画面に潜りたい。消される黒板を眺めてると、やる気ないね!と茶化してくる。最近名前を覚えたばかりの女子。絶対勝とうね。何でそんなに熱いのさ。誰もいない教室に戻り、二人で学級旗を描く。なんだか、心の底がゾワゾワする。この感じは、何だろう。
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@srnb_readeasy
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2 months
今日は雨がよく降っている。二人きりの店内でその人はどの花を買うか決められてないんですと言う。妥協はしたくないらしい。すると、僕は店の奥にあった緑の紫陽花を渡す。これは僕からの贈り物です。花言葉は、ご自分で調べてみてください。普段はしないはずの紫陽花から、温かい香りがした気がした。
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@srnb_readeasy
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4 months
もう朝だった。いつも同じ時間に起きるのに、今日はぐっすり眠れたようだ。ある日突然、君がいなくなったのも午前2時。そこから毎日眠れなかった。でも最近は、君の存在も夢なんじゃないかと。そう思うようになった。仕事も手につかず、休んでいるから、もう少しだけ眠ろう。衣擦れ音が大きく感じた。
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@srnb_readeasy
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4 months
ここでまたしても皆さんに相談です! これまでの五十音順投稿を別サイトでまとめようと思います! どの媒体が読みやすいでしょうか?
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小説家になろう
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@srnb_readeasy
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2 months
毎日立ち寄るあなたが好きだ。家業の花屋を継いだ僕は、ある日釣り銭の残りを数えていた。不意に顔を上げた僕は、店先で紫陽花を見つめるあなたに恋をした。千円札を何枚まで数えたかなどどうでも良い。でも恋愛なんてしたことない僕は連絡先なんて聞けない。ただ、知らぬ名の花を見た気持ちになった。
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@srnb_readeasy
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11 days
はい。承知しました。言い続ける日々の繰り返しだった。学生時代に言い続けた強みは、ここでは評価されていない。目の前の業務内容も全くやりがいを感じない。満員電車に揺られては、会社の入り口のため息。土日休みのはずなのに、毎週出勤。途端に気がついてしまった。はい。ありがとうございました。
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@srnb_readeasy
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5 months
火を煙草につけた。初めて手を汚した。警察のサイレンが響き、コンテナに囲まれる港の埠頭。これはあなたを守るため。そう言い聞かせて、息切れした午前4時。次はいつ朝日を眺められるのか。鉄格子の向こうでは味わえぬだろう、最後のニコチンを摂取するため、赤い掌で覆いながら、火を煙草につけた。
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3 months
僕はバスロータリーを時計回りに曲がった。バスの運転手になり25年。時の流れは早い。定刻通りに停車駅するバスは体感速度よりも早くすぎる。妻が亡くなり10年経ち、娘も高校最後の年。最近は不思議なことばかり。 1時間に5本を走る僕のルーティンは、白い手袋をつけ手を叩くこと。今日も始まる。
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13 days
いつまでもこの時間が続くと思っていた。青春の日々は瞬く間に過ぎる。文化祭、写真部の出し物であの高台へ一緒に星空を撮りにいった夜。チャンスだったのに、今日を迎えた。卒業証書を入れた黒い筒を握る君は同じ部員の彼に告白されていた。いつの間にか僕は、涙目で断った君の背中を追いかけていた。
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4 months
君も聴いてるかな。夜桜が窓から見え、街灯に白く照らされてる。君も好きなラジオの次の日、電話はもっぱらその話題。引っ越し先のこの地から今週も同じ時間。匿名で想いを伝えるお便りコーナー。電波にのせて、届いてくれ。突然の通知音から始まる、嬉しそうな涙声。電話の約束は、明日のはずなのに。
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3 months
四つ葉のクローバー探しなんて、何年振りだろう。数年恋愛と縁のない僕は、職場の先輩とデートをしている。最初はそっけなくて嫌われていると思っていたが、恥ずかしがり屋らしい。丸メガネの奥で見開くその瞳は、とても綺麗だ。一緒にしゃがんで指先で草を掻き分ける横顔が愛おしい。ほら、あったよ!
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5 months
不思議だ。目が覚めた時の、天井の景色は変わらない。髪を整える順番も同じ。卵を一つ増やした目玉焼きは、うまく焼けた。戸締りをせず先に仕事へ出かけた私。これからたくさんの書類を書かなきゃいけないのに、��ではない。今日の健康診断、反応できるかな。昨日から、あなたの苗字なんて。不思議だ。
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5 months
トプ画かわりました 30秒くらいで作った、ちょっとポップなものにしてみました これからもどうぞスラノベをどうぞよろしくお願いします! #新しいプロフィール画像
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@srnb_readeasy
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3 months
あれ。今の横顔、どこかで。そう思ったのは滅多に乗車がない、夕方のことだった。西日が田んぼ道を照らす。誰もいないバスでは電気代が無駄なので、照明を消した。深呼吸を一つ、マイク越しに響く車内。珍しく次のバス停で止まり、小銭を入れて一番奥に座る。季節外れの白いワンピース、見覚えがある。
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3 months
今日も太陽は出ない。曇り空、ちらつく雪がしんしんと降り積もる。平成元年、忌々しいあの事件が起きた場所。でも親父は優しき村の警官だった。本当にこの人が、事件を起こすはずがない。湯船で笑って話すその横顔は、どこか懐かしくて嬉しかった。心の底から、貴方の息子で良かった。だから、未来は。
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11 days
握った手を、僕は離せなかった。出発ロビーで海外へ飛び立つ君は、涙を浮かべていた。僕は泣かないと決めたのにもう帰ってこないから、溢れそうだ。空港特有の搭乗手続きで聞こえる、チャイムのような三音が気持ちを囃し立てる。まだ君に伝えなきゃいけないこと、あったはずなのに。握った手を離した。
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このアカウント開設からもうすぐ4ヶ月!そして遂にフォロワー数2,000人突破しましたーーー!!!毎日ありがとうございます! 引き続き投稿し続けていきます〜 今後ともよろしくお願いします
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3 months
クラクラする。息切れしてるのに僕にみんなが集まる。あついんだよ、と言って笑う僕。なぜこんなにも嬉しいんだろう。この感情が怖くて逃げていた僕に、この体育祭で教えたのは君だ。陸上部の勧誘をあしらってから、僕は君に駆け寄る。この気持ちを教えてくれてありがとう。秋なのに少し、アツかった。
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信じることはとても難しいことだ。自分も他人も新しい時代も。変化を恐れ、取り残されることも、それが誇りということも。腰に刺したこちら側を向いた刃が、心の剣を戒めで縛る。それでも守りたいものが生まれた今、拙者は誰よりも低く、誰より高く閃き、天を翔ける。それがここにいる意味なのだから。
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2 months
等価交換だ。全て取り返してやるさ。失った右腕と弟の全身は、あの扉の向こう側。冷たい鋼はお前に触れても、ぬくもりがわからない。いつもお前が整備してくれる拳で、必ず取り返してやる。もし取り返せたら、弟の頭を撫で、お前のその頬に触れたい。例えこの身がボロボロでも、犬に成り下がろうとも。
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8 days
変化球を投げた。甲子園出場が決まった。ベンチから熱気を帯びた仲間達が駆け寄る。遂にやった。試合終わり、空席の三塁側へ幼馴染のお前に呼び出された僕。これまで異性として意識していなかった腐れ縁。真夏の陽炎で揺らぐ景色、まさか想いを伝えられるなんて。まさしく彼女は僕に、変化球を投げた。
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4 months
僕は音楽に救われた。親から漫画やゲームがダメだらけの子供の頃。初めて聴いたあの曲が、こんなに人生を変えるほど、ミュージックの力は偉大だった。でも最終的には安定した道を進んでしまった。それでも、今も、敷かれたレールをこの力で捻じ曲げることを虎視眈々と狙っている。みてろよ、クソ親父。
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4 months
冷凍食品は結構好きだ。特にちくわのやつ。母親が寝坊した時は、急遽助っ人で入ってる。自然解凍で楽らしい。まぁ、普段から手作りがほとんどだから美味いのだが。昼食にこれが入ってるたびに、アイツがフォークで盗んでいく。普段は話さない分、話せたりして。母親には悪いが、冷凍食品は結構好きだ。
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3 months
発砲した。100メートル走が一位だっただけで、何でそんなに喜ぶんだ。ただ走っただけだ。騎馬戦や綱引きなんて面白くない。そして現在三位で迎えたクラス対抗リレー、僕はアンカー。何位でも良い。そう俯くと、君とみんなの頑張れが聞こえた。その時、僕は久しぶりに負けたくないと思ってしまった。
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2 months
今日、流れ星が見えるらしいね。そう言ったら君は、微笑んで頷いた。春色のカーディガンを羽織り、大人っぽくなった君は星型のピアスがよく似合っていた。店内の壁にかかる、あの日見た星々が点で結ばれた星座の絵を眺めながら君はいう。ずっと君を、待っていたんだよ。僕は、目が合わせられなかった。
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#土日はフォロワーさんが増えるらしい 毎日140字小説投稿してます! ぜひ寄っていってください✌️ コヨーテ
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17 days
名前でわかったよ。振り向くと、そこには君がいた。数年ぶりの再会、あの日の青々とした風が吹いた気がして心が震えた。たまらなくなって、僕はなぜあんなことを言ったのだろう。これから海を見に行かないか。ーー内陸部の都心からあの海まで半日かかる。僕らはいつもと逆さまに走る電車に飛び乗った。
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4 months
涙腺が緩くなった。弁当を毎日作っていた6時15分に起きてしまう。昨日、あんなに思春期で寡黙な息子がありがとう、と言ってくれたのに。ああ、ほら目頭がまた熱くなってるじゃないの。起き上がったついでに、卒業式に着る服の試着でもしようかしら。また、明日も思うんだろうな。涙腺が緩くなった。
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@srnb_readeasy
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3 months
今日もハンドルを時計回りに回す。今日の夕方、いつも通り高校前から学生たちが乗車する。手を繋ぐカップルもおり、妻との青春を思い出す。長いまつ毛が三拍子刻むように動き、四拍子で心臓が跳ねていた。と、思っていたら何とそのカップルは娘じゃないか。動揺して発車します、と言った声が裏返った。
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5 months
無理なものは無理だ。頑張りたくて、お願いされたら断れない性格の僕。もっとよく見られたい。そう思ってよく見れなかったのは自分自身のことだった。人に憂うことを優しさと言うけれども、それは自分にも当てはまる。初めて言えた気がする。仕事辞めさせてください。優しさでも、無理なものは無理だ。
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@srnb_readeasy
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5 months
時計の針が動き出した。止まったら、休み時間に電池を交換する。その時、初めてありがとって言ってくれたあなた。あまりにも嬉しくて、毎回私が交換した。この気持ちを言えず、迎えた同窓会。腕時計の位置を直して、あの時の分のありがとうを伝えた。あなたも嬉しそうに微笑む。時計の針が動き出した。
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@srnb_readeasy
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26 days
私を作った博士は、戦争以来会えていない。優秀だったらしく、ロボットを百体作り終えると前線の兵器開発に送られたようだ。戦争が終わってからは平和の象徴として、これまでの兵器を消滅するための兵器を作り続けた。そして遂に兵器はこの世から全て消されたのだ。この島に流れ残された、僕を除いて。
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@srnb_readeasy
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3 months
初めてバスに乗ったのは六歳の頃、一人で祖父母の家に訪れた夏だ。停車駅のメモを握り、徐々に近づく。緊張感を極限まで高めてから、ボタンを押した安心感はまるで吊り橋を渡るようだ。運転手へお礼を言うと返事してくれたことが嬉しかったのだ。その時の景色が離れなくて、憧れで、癖すら真似をした。
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5 months
黄泉の国に連れて行って。手を合わせ、香が充満するこの部屋は、命を絶ったあなたを祈る部屋。星が一つ見えたら、最後に逢える合図。丈の高い草を掻き分けて、小虫が飛び立つその先。月より輝く、すらっと伸びたその背中。ねぇ、まだここにいてよ。それならいっそ、私をあの、黄泉の国に連れて行って。
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@srnb_readeasy
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5 months
手紙を初めて書いた。携帯が普及する現代は拝啓なんて言葉、死んだようなものだ。もっと小さい子達は存在すら知らないんじゃないかな。人が忘れたら、あったもの、いた人さえなかったものになる。それが本当に死ぬことなのだろう。俺は覚えてるから。あなたに届かないはずなのに、手紙を初めて書いた。
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@srnb_readeasy
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どうしよう。焦っていた。駅員に聞いても、通った道を探しても見つからない。ふと、普段からぼんやり考えていたことが頭をよぎる。この仕事は何のためなんだろう。ふらふら���歩いてると、気がつけば神社にいた。青々とした欅の香りが風に乗って感じる。すると後ろからの声。これ落としたの、君でしょ。
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3 months
月が満ちてゆく。十字架の処刑台の裏、包帯を巻いた右腕はまだ動く。この力を与えてくれたお前が俺のせいで罰せられる。それは違うだろう。ルールを守るより、この一期一会の繋がりを護る方が後悔はない。昼と夜、人と死神の境目。今、闇を切り裂くオレンジ色の眼差しが牙を剥く。お前を助けに来たぜ。
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@srnb_readeasy
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7 days
停まらない急行は、通り過ぎていく。僕の最寄駅では通過してしまう。だから隣の駅まで歩き、急行に乗った。ホームで待つ、君に会えるかもしれないから。数年経ち、街も駅も変わった。二人で手を繋ぎ、ホームで急行を待つ。あの日乗らなかった最寄駅を、僕らを乗せた停まらない急行は、通り過ぎていく。
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@srnb_readeasy
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5 months
水族館の飼育員になりたかった。小さい頃の夢だ。好きを仕事に、とは行かなかった。ペンギンの行進は満員電車。アシカのショーは企画プレゼン。水槽の魚は居酒屋でしか見ない。冷たい水に触れることも、重たいバケツの餌も持つ必要がない職場環境。でも、やっぱり僕は、水族館の飼育員になりたかった。
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@srnb_readeasy
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12 days
ろくでもない理由だった。自分でもわかっていた。君に嫌われたこと。世間は、隕石衝突までのカウントダウンで騒いでいる。僕には一番守りたいものがある。そう言い僕は、一振りで命と引き換えに世界を守るこの刀を握った。例え離れていても、君が幸せになってほしい。そんな、ろくでもない理由だった。
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14 days
船首は俺のの特等席。この海に伝える、俺はここにいること。風になびくこの麦わら帽子は、約束の証。いつかこの帽子を返せるように。あの日の涙を忘れないように。もう何も失わないように。強くなったら、必ずひとつなぎのこの世界を驚かせるんだ。俺はひとりじゃない。この手を伸ばして掴み取るんだ。
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4 months
星空の下、地上で最も輝くのは本陣の五稜郭と俺は信じている。誠の旗を掲げ、抜刀する後ろ姿は一切の恥なし。国が傾こうと、新たな時代が追いかけようとも、この衣が赤く染まらぬ限りただ真っ直ぐに突き進むのみ。いつか新撰組が燃え尽きるその日まで。例えこの身が、満天の星の一つになったとしても。
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3 months
僕が図書室の扉を開いた瞬間、君と目が合う。あぁ、あの時と同じだ。今のままじゃ、まだ足りない。身長も想いの伝え方も、僕がまだ知らない君も。いや、まだあんな言葉は伝えれない。そのいつかは今日だろう。青春を頬張る僕ら。ゆらめくカーテン。君に僕のこのヤバい心さえも、知ってもらえるように。
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@srnb_readeasy
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1 month
敗者復活戦を駆け上がった。まさかこの日が来るなんて。吹き出す煙に包まれ、二人でマイクスタンドへ歩み出す。汗が滴るのを感じながら、あっという間に進んでいく。あぁ、楽しそうだな、お前。誘ってよかったよ。数分後俺たちに紙吹雪がかかることも知らずに、最後のセリフをお前は放つ。もうええわ。
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@srnb_readeasy
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4 months
僕はヒーローだ。強靭な肉体と科学技術によって生まれた空飛ぶマントとスーパースーツ。年間犯罪数が高いこの町から、弱きものを恐怖から救い出すため、一人でも多くの笑顔が増えるよう、日々鍛えてきた。そんな夢物語を描いた僕は、そんな力もない。なのに、目の前で叫んでいる助けてに、飛び込んだ。
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3 months
僕は一筋の光になった。思い返すとあの日、町一番の花火を双子山の頂上であげるから、反対側の独り山から友達の大和と太陽と見ていた。君の父さんは失敗のない花火師で、そのそばで見ていたのだろう。点火時間になっても花火が飛び出すことなく、立ち昇る炎はまるで暗い空を焼き尽くす龍のようだった。
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@srnb_readeasy
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5 months
流れ星を久しぶりに見た。最近は白い息を下に吐いて俯き、明日の締切や打合せの予定をなぞった。コピー機の前で倒れ、舞う再生紙の景色の後はもう、ベットにいた。星が好きだった私は、空の冬の三角形を病床でなぞる。明日からは自分らしくあれますように。やっと心から願う、流れ星を久しぶりに見た。
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@srnb_readeasy
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2 months
間に合わなかった。悪魔の弱点である月。魔法陣が砕け、光が消えた。張本人のメデューサも影響を受けて溶けていく。暗く冷えた宇宙で光が雪のように舞い降りる中、彼女は倒れる。駆け寄る少女は涙を流し、懸命にお母さんと呼ぶ。背後は悪魔の軍団。地球に攻め入るまで数分。だからみんな、そばにいて。
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@srnb_readeasy
スラノベ!@毎日読める140字小説(中の人:コヨーテ)
2 months
僕はヒーローになりたかった。この手のひらには、何もないのに。アイデンティティはこの世界で尊重され、価値あるものとなった。でも僕はデクの棒で、何も持っていない。あるとすれば、大きな夢とほんの少しの希望。いつか全ての頂点に立つあなたのように強くなりたかった。僕らはいつでも待っている。
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@srnb_readeasy
スラノベ!@毎日読める140字小説(中の人:コヨーテ)
5 months
ラスト一発で、勝負が決まった。廃れた病棟に逃げ込んだ俺は、このアタッシュケースを守らなければならない。敵はあと1人。国家機密資料を渡せば、この国がひっくり返るだろう。6発あった弾も次が最後。右足に流るる血に苦しみつつ、ぼやける視界で物陰から飛び出す。ラスト一発で、勝負が決まった。
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@srnb_readeasy
スラノベ!@毎日読める140字小説(中の人:コヨーテ)
1 month
マイクスタンドの前、そこは憧れだった。大阪に生まれた俺は小さい頃からお笑い芸人になりたかった。放課後自転車を押しながら親友の前で、河川敷で宣言したくなった。俺は東京に行って、番組を持つんだ。ランニングをしていた男性も、すれ違ったクラスのあの子も、みんな夕焼けに叫ぶ俺に驚いていた。
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5 months
残り物には。誰からも貰ってないだろうから。昨日、小さい頃からの腐れ縁のお前はにやにやして渡した。どうせ情けだろう。やかましいわ、否めないけど。でも少し嬉しくて、忘れてなくてよかったよ、俺のこと。家に帰り、あぐらをかいて開くと、一枚。これからも。どうやら福があるってさ、残り物には。
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3 months
万国旗のチョイスが分からなかった。先輩たちがはしゃぐ、体育祭の楽しさが分からなかった。既に半袖なのに、袖をめくって顔にペイントして。そう思って、やっと最後の年。なのに、何でなんだ。じゃんけんに負けて体育祭実行委員なんて。興味がなさすぎて、一緒に組む女子の名前すらも分からなかった。
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1 month
困ったもので、僕は恋に落ちてしまったようだ。ーーそれはある雨の日。札の張りつきが悪い梅雨は嫌いだと呟き、竹林に敷かれた石畳を進む。朝廷より依頼を受けた場所である、霧が深い小さな湖。ほとりの少し低い気温から霊気を感じる。矢を構えてジリジリと歩み寄ると、そこにいたのはーー女性だった。
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4 months
譜面台の運び方が上手になった。パートごとの喧嘩もなくなり、話し合いができるようになった。こうしたことが、この曲の音符を作る。例え聴いてる人がこれまでの日々を知らなくても、私たちはわかる。だから今日のオーケストラも、きっと大丈夫。さぁ、いくよ。顧問の最後の指揮棒が、振り下ろされた。
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2 months
僕は飲み物のラベルを剥がし、マイクを握った。細々と続けていたライブハウスのステージ。ある日、歌う直前に気がつく。最前列から感じる真っ直ぐな眼差し。それはあの日の僕と重なった。またこの想いは繰り返すのだろう。心から君に歌いたい。喉の奥、弾ける炭酸の様な声で。次の曲は『ダ・カーポ』。
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4 months
コーヒーに砂糖を必ず入れるあなたは、ブラック派の僕と真反対。卵焼きは甘い方が好きで、目玉焼きは半熟派。そこも逆だ。でも、そういう違いも認めたり、話し合ったりしていかなくちゃならない。それがあなたとなら、楽しみだなって思えるから。心に決めたあなたは僕と同じ、佐藤さんになるのだから。
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1 month
目を覚ますと、冴えないガキがそこにおった。ワシは最強の妖怪。倉庫の底でこの獣の槍で封印されている。何百年ぶりの人間。そうだ、手懐けてからあとで食おう。そう思っていたんだが、どうもその眼差しに逆らえないんだな。普段からは想像もできない強きオーラを、時に放つ。なぁ、お前は一体何者だ。
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5 months
春の香りがした。鼻の奥、暖かくなるような、そんな感じ。そういえば今朝梅が咲いていた。まだ2月なのにな。駅までの坂道を自転車で下る日々を続けて、もうすぐ一年。正月は仕事だったから、近々帰るか。初めて自分で終えたプロジェクトを土産に。4月からのプロジェクトが始まった。春の香りがした。
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3 months
いいなずけっていう響きに違和感を感じた。突然中国からきた男の子。整った顔立ちだが、どこか腹立つ。でも憎めないその優しさで揺らぐ感情。水やお湯で姿が変わる呪いだからこそ、相手の気持ちを想えることを知ってるよ。天真爛漫な毎日の中で、あなたがいつも守ってくれるように、私も強くなりたい。
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2 months
部屋に飾る紫陽花を探しているんです。ふわりと風になびく髪をなだめたあなたは、新生活の部屋に欲しくて、と言う。冷静を装って店先まで向かう。うちが扱う紫陽花は三色。その人は順に指差し、左から白は寛容、赤は強い愛情と僕は答える。最後の青で、僕は躊躇する。冷酷・高慢、なんて言えないって。
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4 months
いつもより竹刀が重く感じた。空中の埃が煌めくこの道場で三年前、あなたに負けた。深呼吸をする度、あの時受けた面の衝撃を思い出す。だから自信を失っちゃうんだ。でも、三人並ぶ君たちの瞳が真っ直ぐに僕を照らしている。ありがとう。支えてくれて。やっと、僕は目の前のお前に勝てる。大将として。
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2 months
青は知的ですよ。嘘は言わなかった。なぜだろう相手に配慮する、僕が最も苦手なことだ。だから独りだったのに。そうか、相手に正直かつ傷つけないようにすること。これが優しさで、恋をするとことなのか。未熟な僕は、なぜ紫陽花なんですか、と聞く。すると、梅雨の間は家で独りで寂しいので、という。
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@srnb_readeasy
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3 months
流れ星は点か、それとも線か。一緒に見る時は、決まって君が先に見つける。腕にミサンガをした指先が示す残像を、僕は流れ星だと思っていた。この夏が永遠と感じるくらい、長い夜だった。--ーそんなことを思い出して、ベットから起き上がる。二日酔いの後味の悪さは、シーツの乱れ具合が表していた。
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1 month
時は西暦千年。僕はこの世に蔓延する妖狐を祓う、妖狐師。妖術が効く妖狐を狩るため、今日も妖気をまとう矢の鍛錬をしている。年齢の割に功績を上げた僕は、それなりにこの仕事が好きだ。妖狐は人々を騙しては災いをもたらす。もし、妖狐が極悪非道な妖怪でなければ、神社の守り神になっていただろう。
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@srnb_readeasy
スラノベ!@毎日読める140字小説(中の人:コヨーテ)
4 months
こちらの投票、ありがとうございます! noteも検討していきますが、まずは五十音順投稿を【小説家になろう】で公表します! 少し読みやすく改行もしますが、内容そのままで載せます。 始まり次第、また共有いたします! お楽しみにー! #小説 #小説が読めるハッシュタグ #小説家になろう #140 字小説
@srnb_readeasy
スラノベ!@毎日読める140字小説(中の人:コヨーテ)
4 months
ここでまたしても皆さんに相談です! これまでの五十音順投稿を別サイトでまとめようと思います! どの媒体が読みやすいでしょうか?
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@srnb_readeasy
スラノベ!@毎日読める140字小説(中の人:コヨーテ)
4 months
アカウント開設50日を過ぎた本日からは新企画!それは‥ 「今日は何の日」から140字小説を作っていきます! その名の通り、今日は〇〇の日をもとにその単語を用いたお話を投稿していきます! 例)苺の日→文中に「苺」を入れる まずは1ヶ月、反響があれば延長して続けます! よろしくお願いします!
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@srnb_readeasy
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2 months
僕は必然的に、ここに存在している。守ってくれたあなたが今、連れ去られた。僕が操るジャックオーランタンの笑顔がひきつっていた。だんだん遠くなる飛行船。その先には僕が憧れた彼もきっといるだろう。フランス人形の様な、白金のあなたを必ず助けるから。僕はからくりの先の世界を、掴み取るんだ。
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@srnb_readeasy
スラノベ!@毎日読める140字小説(中の人:コヨーテ)
4 months
お子様ランチは永遠だった。あの頃には大人の量は多い。やっとラーメンが食べられる時には、文字通り一人前になった気がした。でも、もう国旗の炒飯もチキンライスもハンバーグもナポリタンも一つの皿で出てくることはない。食品サンプルですら羨ましい。憧れはいつだって、形は変われど、そこにいる。
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3 months
左右からバトンパスの音がした。リードを始めた僕は前しか見えない。中学で辞めた陸上は、きっと今日のためだろう。最初のコーナーで一人を抜かし、残すはインターハイ出場の隣のクラスのアイツだ。こんなに熱を帯び、土を蹴り上げたのは久しぶりだ。最後の直線、ゴールテープを切ったのは、僕だった。
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21 days
線香花火を初めて買った夏、君と睨めっこ。神社の境内ではじけた火花を見つめていた。でも僕は君を見ていたから、火の塊が落ちてから少し反応が遅れた。そんなこと言えないから、ボーッとしていたことにした。君は僕のこと、どう思っているんだろう。まだ夏休みも始まっていないのに、衣替えは始まる。
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3 months
あの服は、運転手になって初めての客だ。長いまつ毛を和らげる、君。停車ボタンが鳴る。あれ、涙が。もう、いないはずなのに。伝えたいこと、たくさんあるんだ。停車した後、君は微笑んだ。発車する前にいつもの癖。この音が君の元へ届くと良いな。左折をしたロータリーは運転手になって初めてだった。
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2 months
俺は、妹を守るために生きている。深く清らかな新雪に誰一人も足を踏み入れられぬ様、手を汚すのは俺だけで十分だ。魔法では作れないこの心を撃ち抜かれても。世界を守るために、俺は何にでもなれるんだ。この学校で引き金を引くときは、本当の劣等感を味わうだろうな。だから今をあと、もう少しだけ。
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2 months
過去と未来の交差点。それがこの手の中にあるのなら。そう信じて握手をする。抜け殻のみたいな日々を過ごした駅のホームで、僕の人生は終わった。と思ったのに、なぜ僕は彼女の弟の部屋にいるのだ。冴えない今を、取り返すべき過去を、変えるんだ。この東京でもう一度、もう一度。あの日のリベンジを。
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1 month
囁くように名前を答える。確実にこいつは、紛れもなく、妖狐なのだ。それでも目が離せなくて、声が出ない。向こうから援軍の声が聞こえ、混乱した僕はとっさに手を握って駆け出す。気配を消す札を貼り、息を潜めた。すると隣で、かくれんぼみたいですねという。僕は狐につままれたような顔をしていた。
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5 months
目が覚められたら。仮にもしも明日、この世界が終わるなら。もっと好きなものを食べ、行きたかった景色を見て、会いたかった人に会うんだ。星の一つになる前に、人生を燃やしたい。そう思ったら、毎日が煌めいて見える気がする。だからまず、今朝を大好きな卵かけご飯を選ぶ。明日、目が覚められたら。
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3 months
社会人二年目の夏。涼しい夜風が、どこからか聞こえる蝉の声を連れてきた。僕にはまだ、戻らなきゃいけないあの夏がある。そう、今日なんだ。まばゆいあの花火の光と共に、君を失ったのは。だから僕は、君と交換したラムネのビー玉をぎゅっと握りしめ、ビルから飛び降りる。取り戻すから、時を超えて。
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@srnb_readeasy
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1 month
梅雨だけの 秘密のともだち 裏庭で 私の心は 子供にかえる #フリー素材で短歌 #tanka #短歌
@free_pic_tanka
🌄フリー素材で短歌🌆
1 month
6月2日のお題 #フリー素材で短歌  #tanka #短歌
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1 month
マイクスタンドの前、そこは一番嫌いな場所だった。目立つことをできるだけ避けていた僕は最もかけ離れた存在。お笑い芸人だった親父はマイクスタンドに取り憑かれたように立ち続けた。誰も笑わない客席、遊んでくれない休日。まるで呪いのように、僕にとって芸人は妬むものだった。お前に会うまでは。
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1 month
何度も書き殴った。呼吸をするのも忘れるほどに。この戦いにかかっていることをみんなもよく知っている。あの日、急に送られてきた文字配列。それを解いた責任だ。まぁ、計算ミスしてたんだけど。冴えないものばかりだけれども、唯一数学では輝ける。あと1秒が惜しい。これが僕らの、夏の戦争なんだ。
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2 months
「期待以上に『すっきり』できたかどうかさ。髪を切ることと話す話題は手段。それが一番大事なんだよ。」いつもは開いてるかわからない細い目が、光を帯びて刺さってきた。この芯にあるものが、プロの意識というものなのだろう。なんとなくで始めた美容師への道。この人の背中を追いかけようと思った。
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5 months
音色が変わった。サビの直前。まさに、衝撃だった。柔らかいコンサート会場の背もたれに一度も触れぬほどに。弦より張った空気を切り裂く瞬間、あなたを越える旅が始まった。枕よりもバイオリンに頬を預け続け、やっと隣に立てたのに。公演直前、会場へ向かう車に響くブレーキ音一つ。音色が変わった。
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2 months
家の最寄り駅が同じなんて、偶然だね。僕はビール、君はハイボールを片手に、丘の上にある公園の滑り台で空を眺めた。君と見た流れ星が一番だった。いつの間にかそう、呟いてた。私も。この街の一番高い場所で、感じる淡いハイボールの味。星に願うことすら忘れ、僕らはやっと、一つの流れ星になった。
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23 days
幾千に暴れる龍型兵器に博士ご自慢の光線を浴びせ、火の海にする。どうか明日君が、笑えますように。最後の一騎打ち、とっさに君を人質にした貴様を許さない。炎を受けても奪還し、撃破。同時に僕は横になり目を閉じる。君から涙声で聞こえる、36度目のありがとう。君のその温もりは、36度だった。
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2 months
時間を切る。そんな気がする。都内の美容院で修行をして数年、やっと自分の店を持つことができた。最初はぎこちないハサミ捌きも今は目を瞑っても扱える。しないが。今日も坂道を駆け上がった呼吸のような、秒針よりも早いリズムで、毛先を滑らかに刃が開閉する。でもそんなのお客さんは見なくて良い。
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@srnb_readeasy
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1 month
僕は人生を終わらせようとしてる。お笑いを恨み続けて、いつの間にか自分のことが嫌いになっていた。学校帰りの踏切、赤く点滅するランプ、いつもより大きく聞こえる警告音。涙目で線路を見つめる。遮断機が降りるのを待たず、一歩進もうとした時、後ろから声が聞こえる。お前、俺とお笑いやらないか。
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6 months
声が聞きたかったの。イヤホンを半分ずつ付けて、好きなフレーズだけ歌った。有線に伝わり、曲と一緒に聞こえる。あれから数年、補聴器で耳を閉ざして、名前も呼べなくなったあなた。だから手を繋いで、聴こえぬ私の声を聞く。私はゆっくりと心臓から響く、優しい脈打つあなたの、声が聞きたかったの。
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4 months
春休み、初日。高校生でもない今、まるで人生の空港にいる気分だ。来月から東京の大学生。立ち漕ぎで通う日々が、いつの間にか自転車を手で押していた。いつもの時間に君がいるかな、そう思って。もう会えないから。間に合ううちに。一緒に飛び立てるよう、僕は会いに、走れ。連絡もせず、扉を開けた。
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5 months
濡れた頬が渇かない。個室トイレの上で逆さまのバケツから溢れる水で。左右で目の色が違うオッドアイの私を、みんなはバケモノと恐れた。映る世界は真っ暗で、消えたい。なのに、あなたは頬を包み、太陽と月みたいで綺麗だと微笑む。今日の天気はいいはずなのに、温かい雨が溢れ、濡れた頬が渇かない。
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3 months
床が斜めになっていた。廊下では船員が船首の方へ向かう。その足音でやっと、この船が沈没するのだとわかった。どこかで割れる花瓶、赤ん坊の鳴き声、船内放送を切り忘れた操縦室では混乱と無線の声がダダ漏れだ。私は妻と手を合わせ、ただ祈るばかり。でも、最期に私は貴方のそばにいられて良かった。
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26 days
ある日、一つの船がこの島に流れ着いた。高校生くらいだろうか、茶髪の綺麗な女の子が気絶していた。木陰に運び、休ませていると目を覚ます。少し驚いた様子でみていたものの、ぱあっと音が似合うくらい笑顔になった。話をしていると、東京から来たようだ。あの日���りも戦争が激しくなったあの場所に。
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