中村圭志 Daydream Believer 白昼夢研究所
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宗教からオカルトまで、歴史的な文化と認識し、信仰と懐疑の両側面から眺めるシューキョウ学です。『亜宗教』（インターナショナル新書）；『宗教図像学入門』（中公新書）；『24の「神話」からよむ宗教』（日経ビジネス人文庫）他
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ピンカー『人はどこまで合理的か』は宗教学の指定図書にしたい本ですが、紹介されていた警句をもう一つ。ラッセル「ある命題を真だとする根拠が何もないのにそれを信じるのは、好ましいことではない」。トンデモ系信念をめぐっては、シュルツの漫画からよく知られたこのシーンが引用されていました。
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宗教とか神話とか疑似科学とか呪術とか考えていると、一つ、これが格率になるなあというのがあります。「途方もない主張には、途方もない証拠が求められる」（カール・セーガン）。ピンカー『人はどこまで合理的か』には有益なるベイズ推論を紹介した章がありますが、そのエピグラムがこれでした。
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【お知らせ】中村圭志『死とは何か――宗教が挑んできた人生最後の謎』（中公新書）が１０月中旬に発売予定となりました。ずいぶん前から「書いてる」「書いてる」「書いた」「終わった！」と言っておりましたが、図版入りでようやく本としてお目見えできる次第となりました。ヨロシク！
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【無神論とオカルト】昨年私は近現代オカルト史の一端をまとめて『亜宗教』という本を出しました。亜宗教は単なるタイトルで、意味はありません。ポイントは、疑似科学的言説には歴史があり、現代までつながっているということです。論理パターンと心理的からくりを考えてみようという頭の体操が狙い。
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【宗教分布？】そうした結果としての宗教分布です。拡大志向の強いキリスト教、一度広がると撤退しない傾向の高いイスラム教、拡大志向はあるが社会性の乏しい仏教、故郷の土地への執着の強いヒンドゥー教や儒教道教、神道というそれぞれのキャラの差異が分布域の広さにもかかわっています。
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【黙示録の終末】基本的に旧約聖書には天国地獄がありませんでした。古代中東人にとっては生きている間が花であり、善人は長生き、短命は何らかの自業自得のせいであり、死んだら神様からは相手にされない（ギリシアでも中国でも世界中そんなようなもんでしたが）。ところがこの世界観に皹が入ります。
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【ベイズ推論・裏編】世の中には「科学がすべてじゃない」と言って、だから宗教やスピリチュアリティのほうを信頼するという人が大勢いますが、「科学に分からないからといって、宗教に分かるって話にどうしてなるのか？」（ドーキンス）というのが正しい認識でしょう。安易な人生指針なんぞナイのです
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【宗教って何？】要するに、「組織化された宗教」は構造的に見て「ジャニーズ帝国」のようになりがちだろう、と容易に想像がつくわけです。実際、日本ではジャニー氏がいろいろやったものを、欧米では（ボーイスカウトなどと並んで）カトリック教会がかなり大々的にやっていたわけです。
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【千年王国】やっぱ、来世の天国というのはどうも誤魔化しっぽい。それより地上の楽園だ、と来る。教会宗教が衰えると、宗教的な地上の楽園は、人類が構築するユートピアに置き換わります。悪名高き社会進化論、マルクス主義の共産社会、ヒッピーのコミューン、新自由主義などなど白昼夢が続きます。
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そういえばテレビの『カルテット』も坂元さんかな。中島監督作品『告白』の教師にも似てコワい松たか子、「時すでにお寿司」の松田龍平、「お兄ちゃわんむし」の満島ひかりもいいが、岸辺露伴、もとい、高橋一生の「わしにもくれ！」がうちでは一番ウケています。分からない人は調べなくてもいいです。
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【宗教って何？】「民俗的な宗教」は大脳生理や簡単な社会力学からほとんど必然的に生み出されるものです。病気治しなどの呪術、霊の存在の認知、先祖崇拝、神秘体験、神話の共有といったものの寄せ集めです。こういうレベルの宗教（アニミズム）はたぶん人間が人間である限り存続します。
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【歴史の感覚】水瓶座時代／ニューエイジというネーミングそのものが、「時代は変わる」「変えるのは我らだ」という千年王国系の心理を表わしています。しかしニューエイジを逆輸入した日本では、東洋文化が褒められたと勘違いし、左翼も右翼も居心地よくナショナリズムの白昼夢に埋没してしまった。
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問題を見つけてはそれを打破していくという「歴史の進化」が身についている西欧（これは黙示録的終末思想の変形でしょう）は、いつも他の社会より先に問題を問題化し、「民主的」に時間をかけて論じて、先に人権を確立してしまう。進化思想のない他の社会は常に出遅れ、西欧のご指導を受けてしまう。
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【末法思想と終末思想】聖書思想は、イスラエル民族あるいはキリスト教会という集団単位のサバイバルを基調とする「集団主義」です。終末には、社会的観点から正義が裁かれる。仏教宇宙は輪廻する個人の集合体であり、その裁きは「個人主義」的です。だから終末を語ってもピリッとしないのです。
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しかし宗教のかかえる本質的矛盾（永遠でない者が永遠を語る、人間が神の正義を語る矛盾）がそのまま現在の人権運動に憑依しました。人種、障害、性、性指向等々をめぐる人権問題の指摘そのものには妥当性があるにもかかわらず、実践面において人権運動は難点を抱えている。宗教から受け継いだ難点です
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【歴史の感覚】２０世紀半ばの欧米で浮上したカウンタカルチャー／ニューエイジでは、キリスト教を離れて、禅、ヨーガ、易、タオ、輪廻と、東洋的「覚醒」を標榜しましたが、しかしこの「覚醒」は、米国の伝統であるプロテスタンティズムの信仰復興のバリエーションの一つだったように思われます。
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【宗教って何？】「組織化された宗教」は言語の機能や社会の権力構造などによって、「民俗的な宗教」の要素を再利用して組み上げたもので、教理、戒律、典礼、権威づけとしての「開祖」の物語、階層的な教団組織などを含みます。論争に応じるだけの力や、批判者を捻じ伏せる力をもつことも多い。
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【ベイズ推論・裏編】大事なことは、科学でさえ、世界大の科学共同体の相互批判による知見の累積という、主観的な営みだということです。主観だからいい加減だというのではない。この営みが最大限に合理的な推理であり、この営みをはずれた単発的エピソードや教祖のご託宣はそもそも論外だという話です
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【恒常性？】人類が資本主義は問題があるな～と思いつつ代替システムが思いつかないように、また権力闘争はやだな～と思いつついつもそれから離れられないように、組織宗教は問題があるな～と思いつつ結局は共存し続けるのかもしれません。宗教が偉大だからではなく人間に限界があるからです。
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