RT @r__nba: 東京に転勤が決まった。今日は部署の送別会。隣には、同期のｵﾐ君がいる。祝福の言葉に対して愛想笑いで返し、その場をやり過ごす。「いや〜でもミョウジが結婚してたらこの異動は厳しかったよな」口角を上げて、とりあえず頷く。「イイ相手、ほんまにおらんの？」相手？い…

有耶無耶にしようとしていた。それしか、方法がなかった。「. そろそろ離して」「ムリ」「顔みたい」「俺は見飽きた」「. あつむの泣き顔みたい」「アホ、泣いてへんわ」理屈じゃ乗り越えられないことも、諦めていた自分の人生も、今なら。優しさと弱さを捨てることも、持っていくこともできる気がした

ない。「ミョウジ〜最後遅刻とかすんな、え？」泣いてんの？！ 怖い。別れ話か、なあなあにして関係継続。きっとこの二択だろう。別れた方がいい。ｱﾂﾑの顔を見ずに、「.すみませんなんか、急に悲しくなっちゃって.」お礼を伝えてスーツ姿の人たちが全員背を向ける。「素直になれば」ｵﾐ君がｱﾂﾑ

東京行く前にどうしても飲みたいとか、これから他にも来るとか。明日からはしばらくコッチにいない、今日しかないって絶対にバレる嘘まで聞こえてくる。「さすがにやりすぎだな」ｵﾐ君の呆れた声が薄膜を張ったように聞こえた。''ありがとうございます''賑やかな声が近づいてくる。けど、もう逃げられ

れた、見飽きた顔が走ってくる。ざわざわとｱﾂﾑのことを上司が囲む。'ﾐﾔも行くかこのあと'という誘いに対して「あの俺、ミョウジと結構仲良くて」思わず顔を背けた。何をしようとしてるか、わかったから。ｵﾐ君が連絡したのなんて、すぐにわかったから。鼓膜が器用にｱﾂﾑのよそ行きの声を拾う。

いのにここまで言われたらうざいだろうなと思って」一瞬、座が白けたタイミングで'注目〜'という声が広がる。一次会が、終わる。心ここにあらずで挨拶を済ませ、二軒目の流れに呑まれる。 お酒なんて飲んでる場合じゃない。ｱﾂﾑと、話をしなきゃ。結局私は大切なものを一つ決められない、選べない。

こいよ」「あ、俺の知り合いで○○ってやつおるんやけど、ミョウジと同じ部署。2個上、独身やで」「俺来月東京出張あんねんけど飲みいかん？」雑音のような声が苦痛。そろそろ笑えなくなってきたところで「そもそもミョウジって出会い求めてんの」「おー？サクサもミョウジ狙い「いや、単純に求めてな

悔しさを流す。不自然にならないギリギリまで個室に居座り、グスッと鼻をすすって席に戻ると人の配置が変わっていた。ｵﾐ君だけは隣のままで、何も言わずにただその場にいてくれた。 こんなこと、ずっと言われてきた。それなのに、全ての言葉に敏感になる「若い男引っ掛けんなよ〜」「いい男捕まえて