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日本経済新聞 文化面の公式アカウントです。文化・芸術とそれを支える人々の情報を発信していきます。 名物コラム「私の履歴書」もお読みいただけます。(旧「日経アートレビュー」アカウントを2019年5月に衣替えしました)
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バンプ・オブ・チキンはまれなバンドだ。メジャーデビューした翌年の2001年のシングル「天体観測」のヒットで、早くから「若者のカリスマ」と称される。時代を背負う引力はキャリアを重ねれば弱くなっていくものだが、彼らは逆で輝きを増していった。35万人の観客を動員した全国ツアーの最終公演で、その引力を見せつけた。開演してすぐ、聴衆の反応が他のライブと違うと分かる。パフォーマンスに熱狂するというより、曲
出光美術館(東京・千代田)は24日、江戸絵画などの収集で知られる米国のジョー・プライス氏の収集品の一部を購入したと発表した。伊藤若冲の代表作の一つ「鳥獣花木図屏風」や円山応挙「虎図」など約190点で、購入額は明らかにしていない。そのうち約80点を2020年9月に始まる展覧会で公開する。【関連記事】散逸免れたプライス氏旧蔵品、日本美術ブームの源流プライ
シジュウカラという小型の鳥に言葉があることを、世界で初めて証明した。実はこれまで猿などの霊長類も含めて、人間以外に言葉の存在が証明された例はない。軽井沢の森で1年の半分以上を過ごし粘り強く観察を続けた僕の論文は、たちまち世界の注目を集めた。きっかけは生物学を専攻していた大学時代。シジュウカラが明らかに他の鳥より鳴き声の種類が多いと気づいた。しかも状況に応じて使い分けている。動物学や言語学で人間
タレントで俳優の香取慎吾が、後に連合艦隊司令長官となり真珠湾攻撃を指揮した山本五十六を演じる。NHKのドラマ「倫敦(ロンドン)ノ山本五十六」(総合テレビ、12月30日午後10時から)で、1934年(昭和9年)、米国をはじめとした列強が参加するロンドン軍縮会議に臨む海軍少将時代の山本を描く。「(山本の)歴史や人物はあまり知らなかったが、先輩たちが演じてきた作品は見ていた。この役をやらせてもらうとき
音楽事務所BMSGの最高経営責任者(CEO)を務めるSKY-HI(日高光啓)は「日本の音楽市場は瀕死(ひんし)」と危機感を隠さない。「音楽業界を持続不可能にしないための提言」を出し、CD中心のビジネスモデルからの脱却を訴える。「日本は1980年代、90年代のCDバブル時代の構造が続いている。苦しいって本当はみんな分かっている」。4月15日夜、ラッパー兼シンガーソングライターでもあるSKY-HI
草彅剛が俳優として存在感を増している。歌って踊るアイドルに憧れて芸能界に入り、30年を超えた。「楽しいから続けてきた。元気で役があれば90歳でも演じられる気がする」と語る。国内外で評価された映画「ミッドナイトスワン」(2020年)で孤独なトランスジェンダーを熱っぽく演じ、昨年のNHK大河ドラマ「青天を衝け」では最後の将軍、徳川慶喜を無表情の謎めいた人物に描いた。新作映画「サバカン SABAKA
世界有数の浮世絵コレクションを誇る米国のボストン美術館が、江戸時代の絵師、葛飾北斎(1760〜1849年)についてのユニークな展覧会を開いている。江戸から現代にいたるまで北斎がほかの絵師やアーティストに与えた影響を紹介する「Hokusai:Inspiration and Influence」展(7月16日まで)だ。「冨嶽三十六景」シリーズの名品「神奈川沖浪裏」に光をあてる展示室では、同館が所蔵
70歳で亡くなった高橋幸宏さんはいつも完璧なファッションで取材に現れた。スリムな体にフィットしたスタイリッシュなスーツ姿が今も目に浮かぶ。そのままの格好でステージに上がり、ドラムをたたいた。多彩な才能の持ち主だが、やはり本質はドラマーだったと思える。リズムはマシンのように正確だが、誰にもまねのできない独特のグルーブがあって、幸宏さんがドラムをたたき始めただけでワクワクした。最大の功績は細野晴臣
トランスジェンダーの生き方と葛藤を描いた映画「ミッドナイトスワン」が話題を集めている。9月の公開から2カ月で興行収入は6億4000万円となり、12月以降、台湾や香港でも公開される。内田英治監督に作品に込めた意図を聞いた。東京・新宿のショーパブで働くトランスジェンダーの凪沙。性自認は女性だが、男性の体で生まれ、葛藤を抱えながら生きてきた。ある日、縁戚で母から虐待されていた中学生の一果が訪ねてきて
青と黄の2色を背景に、正面を向いて椅子に座った女性が描かれている。その2色の背景には、かすれを残しながら格子状に線がひかれており、色の面と線による規則的な造形が印象的だ。一方で、女性の体の線、彼女が身に着けるスカーフやスカートの輪郭には緩やかな曲線が用いられている。スカーフの柄は赤のストライプだが、その線の大きさや太さはまちまちで、筆遣いが自由に躍動している。背後の格子の模様の規則性とは対照的
少年役の若い役者たちが踊って踊って、踊りまくる。群舞に変化をつけ、ひたむきな少年たちの思いを映しだす小池修一郎の演出(訳も)が光る。映画をもとにつくられたディズニー・ミュージカルながら、日本で演出や振り付けを換えての上演だ。題名は路上で新聞を売る少年たちのこと。話はいたってシンプルだ(H・ファイアスタイン脚本)。19世紀末のニューヨークで、劣悪な労働を強いられる彼らが大人顔負けのストライキを起
「つかみどころがない感じに演じようと思っています」。大河ドラマ「青天を衝(つ)け」(NHK)で徳川慶喜を演じる草彅剛が演技の裏側を語った。ドラマでは普段の朗らかなイメージを封印し、無表情で謎めいた人物像をつくり上げている。慶喜は今後、主人公・渋沢栄一の運命を大きく変える重要なキャラクターになる。出演依頼に応じたのは「最後の将軍ってどんなのかな、と思ったから」だ。「物事の始まりは希望に満ち、わく
ジャン=リュック・ゴダールの『勝手にしやがれ』(1960年)以降、映画はどう撮ってもよいという愚かな思いこみが世界に行きわたった。だが、優れた映画作家は、誰もが被写体に向けるキャメラの位置、距離、アングル、そのショットの長さなどを、これしかないという絶対的なものとして映画を撮っている。しかも、その技術的な厳格さは、彼らが世界に向ける瞳のしなやかさを損なうものではない。『空に住む』(2020年)
こいけ・しゅういちろう 1955年東京生まれ。慶大卒。77年宝塚歌劇団演出助手、86年演出家デビュー、2006年理事、20年特別顧問。「エリザベート」ほか海外ミュージカルの潤色を得意とし、宝塚外の公演も多数。14年紫綬褒章。手塚治虫と萩尾望都の漫画漫画家になる、と決意したのは8歳のとき。テレビアニメ「鉄腕アトム」に夢中になっていた。お小遣いを貯(た)めては手塚治虫の原作漫画やファン向けの冊子...
「時代劇はあまりやったことがない。しかもシーズン1が評判だったのでプレッシャーでした」と語るのは、NHKドラマ10「大奥 シーズン2」幕末編の重要な役である大奥総取締、瀧山を演じる古川雄大だ。ミュージカルやドラマなどで個性の強い役をこなす演技派だが、今回は「和装の所作とセリフが難しく、専門家の方から徹底的に指導していただきました」しかも、瀧山は花魁(おいらん)にもなれば、裃(かみしも)も着けて
今日の歌舞伎では、宙乗りも現代的な新作も珍しくはない。だが、いずれも市川猿翁さんの存在がなければあり得なかった。明治以降敬遠されていたケレンの芸である宙乗りを復活させたとき、28歳だった。本名の喜熨斗と有名な木下大サーカスをもじった「きのしサーカス」とか「猿の犬かき」��どと先輩俳優から、こっぴどく言われた。けれども逆境をバネにするタフな精神で押し通し、観客の喝采をかちとった。「ヤマトタケル」
いくはら・くにひこ 1964年生まれ、大阪府出身。86年、東映動画(現・東映アニメーション)に入社。テレビアニメ「美少女戦士セーラームーン」のシリーズディレクターを務める。他の主な監督作品に「少女革命ウテナ」など。粟津潔さんの図録と「週刊ヤングジャンプ」 短大中退、アニメの世界へ1983年、僕は京都の短大でグラフィックデザインを専攻していた。当時は空前の「広告ブーム」だったが、せっかくの勉強も
4人組バンド「SEKAI NO OWARI」では「Saori」としてピアノやライブ演出、作詞・作曲を担当する一方、初の小説「ふたご」が直木賞候補になるなど文筆でも注目を集める。妊娠、出産、育児経験をつづったエッセー「ざくろちゃん、はじめまして」(水鈴社)がこのほど刊行された。「妊娠がわかったときから、いつか書きたいと思っていて、ずっとメモを取っていました。実際に書き始めたのは、コロナ禍で時間が
朝、パンの匂いが寝室まで届いてきた。電気屋のポイントが溜(た)まりに溜まり、好きなものをと悩んで買ったホームベーカリーが、初作品である食パンを焼き上げたのだ。蓋を開けると更に香ばしい匂いが立ち込めた。焼きたての食パンを取り出して、まな板に置く。できたては柔らかすぎるので、すぐに切ってはいけない。焼きたてのパンの美味(おい)しさを知ったのは18歳の頃だった。酷(ひど)い不眠症に悩んでいた私は、
2000年の初回から数えて25年となる日本最大級の音楽フェスティバルは今年もチケットが先行販売の段階で完売。のべ27万5000人を動員する盛況となった5日間のうち8月10、11日の2日を見た。両日とも会場の一体感、ボルテージの頂点を記録したのはやはりメインステージのトリを飾った2組。10日は巨大な会場を力みのない歌声で満たしたあいみょん。過剰な演出に頼らずとも大観衆を引き込む歌声と楽曲の力が際
アイドルグループ「NEWS」のメンバーで、作家としても活動する加藤シゲアキが、3年ぶりとなる小説「オルタネート」(新潮社)を出した。悩みや葛藤を抱えながら、好きなことに打ち込む高校生たちを主人公に据えたのは「感覚や景色を覚えているうちに」と考えたから。SNS(交流サイト)との関わり方や、そこで人気を博す男子高校生カップルといった現代に即した要素を加え、「恋愛群像劇」に挑戦した。物語の軸は、高校
吉川英治文学賞などの贈呈式が9日都内で開かれ、2021年度の受賞者である村山由佳(56)、同じく新人賞を受賞したアイドルグループ「NEWS」のメンバー、加藤シゲアキ(33)、武田綾乃(28)らが登壇した。20年度の贈呈式は新型コロナウイルスの感染拡大で中止となったため、2年分合わせての開催となった。21年度の新人賞はともに青春小説が受賞作。日々悩みながら好きなことに打ち込む高校生の群像劇を、S
漫画「ベルセルク」の最新42巻が9月29日に発売される。作者の三浦建太郎の急逝を乗り越えての連載再開後、初となるコミックス刊行だ。監修を務める漫画家の森恒二は「最終回までのストーリーを伝えられている人間として、(続きを描かないと)三浦くんが無念なんじゃないかと。すごい漫画家がいた、その偉業を読者の心にとどめてもらいたい」と語る。ベルセルクは1989年に連載開始した。魔法や魔物が存在する中世欧州
藤井聡太王将(20、五冠)に羽生善治九段(52)が挑む将棋の第72期王将戦七番勝負の第4局が9、10日に指され、先手の羽生九段が勝って対戦成績を2勝2敗のタイとした。この将棋は「角換わり腰掛け銀」といわれるもので、プロ棋士たちが人工知能(AI)を活用して最も熱心に研究している戦型の一つ。令和の王者と平成のレジェンドの戦いの裏で、AIがどんな役割を果たしているのか。東京大学大学院に在籍しAIに詳し
将棋の羽生善治九段(50)が18日、第69期王座戦の2次予選準決勝で佐々木勇気七段(26)に敗れ、1991年の第39期から続いていた本戦(ベスト16)連続出場記録が30年(王座在位時含む)で途絶えた。羽生九段は92年からの王座19連覇、通算24期獲得の実績を誇り、王座戦との抜群の相性のよさを発揮してきた。羽生九段は終局後、
1960年の安保闘争をテーマにした舞台「彼女を笑う人がいても」で、当時と現在を生きる二世代の新聞記者を演じる。「言葉から逃げてしまうことが多い現代人に、このままでいいのかと問題を突きつけている」と話す。活躍目覚ましい新鋭劇作家、瀬戸山美咲の新作を栗山民也が演出する。2021年、新聞記者の伊知哉は続けてきた東日本大震災の被災者取材が異動でできなくなってしまう。そんなとき、亡くなった祖父・吾郎もか
トップスターの月城(つきしろ)かなとが、暗黒街でのしあがった男のいちずな愛を、悲しみと色気をたたえた繊細な演技で表現している。31年ぶりに本拠地で再演された「グレート・ギャツビー」は、月城という役者を得て、「宝塚歌劇の名作」の地位を不動のものにしたといえる。舞台は第1次大戦後の好景気にわく米国。ギャツビーは戦争中、美貌で知られる名家の娘デイジーと偶然出会い、恋に落ちるが、身分の違いから別れを余
保育園の先生から、「子供が指さしを始めたら、それが何なのか教えてあげてください。そうすると、どんどん言葉を覚えていきますよ」と言われた。1歳9カ月になる息子は、毎日のように「お」とか「げ」とか言いながら、何かを指さしている。同じ月齢の子供の中には、「ママきて」「わんわんいた」など早くも2語を使いこなしている子もいるが、我が子はおっとりした性格のようで、まだあまり話さず指をさしてばかりだ。焦(
角野隼斗(すみのはやと)が日本武道館でピアノリサイタルを開いた。クラシック公演としては異例の巨大会場だ。ユーチューブで人気を博す新世代の挑戦。武道館でクラシック音楽は可能なのか?7月14日、東京・九段下の日本武道館。アリーナ中央に八角形の舞台と、スタインウェイのグランドピアノが1台。その上には映像を映すモニターがあった。タキシード姿の角野が登場し、ショパンのスケルツォ第1番を弾き始めると、舞
セザンヌが移り住んだ南フランスのエクス=アン=プロヴァンス。遠くにサント=ヴィクトワール山が見える。視界が開けたこの場所を心地よい風が吹き抜けていきそうだ。まず画面左手前の木の葉を見てみよう。斜め方向に揃(そろ)った短い線で葉むらが描かれている。一方、木の根元と右手前に茂る草は、やはり大部分が垂直方向の短い線で表されているのがわかるだろう。セザンヌがカンバスに残したこれらの筆の跡は、方向を統
永瀬拓矢王座(28)に木村一基九段(48)が挑む第69期将棋王座戦(日本経済新聞社主催、東海東京証券特別協賛)五番勝負が9月1日に開幕する。現将棋界「4強」の一角が3連覇を果たすか、最年長初タイトル記録を持つ「中年の星」が4強に割って入るか。棋界の勢力図を変えるかもしれない注目のシリーズだ。永瀬拓矢王座 より高いレベルへ――前期、王座を防衛して以降の自身の1年をどう評価されていますか。
夏目漱石ら日本の文豪たちの名作を現代の視点で翻案し、人気アイドルの出演で映像化するオムニバスドラマ「文豪少年!~ジャニーズJr.で名作を読み解いた~」が3月21日からWOWOWプライム(毎週日曜日、午後11時)で始まった。「作品に触れるハードルを低くし、日本文学の面白さを若い世代に伝えたい」と井上衛プロデューサーは意気込む。太宰治「走れメロス」、森鷗外「高瀬舟」といったおなじみの作品から、夏目
音楽や文筆活動などマルチに活躍する人気俳優がエッセー集「いのちの車窓から 2」を刊行した。影響された多くの音楽、映画、漫画が登場する。「ドラえもん」の項では「何者でもないのび太たちは、いつも何者でもない私の側にいてくれた」と感謝をつづった。「そうやって自分を救ってくれたものが生活を支える仕事になっている」と振り返る。知り合いの編集者に「書かせてほしい」と頼んだのが執筆活動のきっかけ。「20代の
画面全体の色彩は、エメラルドグリーンと草の緑色といった爽やかな色味でまとめられている。しかし、筆の跡に注目していくと、その力強さに圧倒される。棘(とげ)を持つアザミの葉はたっぷりとした絵の具で描かれ、画面の端まで広がる。鋭く単純な形態の描写が繰り返されるようだが、激しい筆触で花以上の存在感を醸す。葉の広がりの中に麦の穂も描き込んでいる。黄緑色を用いた麦の穂は、濃い緑が支配的な画面上で色彩のア
「名誉王座」の永世称号をめざす永瀬拓矢王座に、藤井聡太七冠が挑む第71期将棋王座戦(日本経済新聞社主催、東海東京証券特別協賛)五番勝負。藤井七冠が史上初の八冠独占に王手をかけた第3局を、名人を破った将棋AI(人工知能)「Ponanza(ポナンザ)」の���発者で実業家の山本一成氏に観戦し寄稿してもらった。将棋AIがプロ棋士よりも強くなる過程において、その開発者である私は将棋界にとっていわば「恐怖の大
U2やボブ・ディラン、マドンナらが立った伝統の英ウェンブリー・アリーナで、日本人初の単独公演。レッド・ホット・チリ・ペッパーズやメタリカのオープニングアクトに起用。世界をまたにかけ快進撃を続けてきたアイドル、BABYMETALが2018年10月、初めて逆境を迎えた。10年の結成以来のメンバーYUIMETALの脱退だ。不動の3人から2人になり、新体制での船出と位置付けた公演。どんなパフォーマンスを
ベッドに横たわる人物は死者だ。室内は寒々とした青い色味で描かれている。だが、窓から見える景色は春を感じさせ、暖かい。人物の衣服は滑らかで長い直線の筆さばきで描かれている。それは死者を悼むようである。画面下部に目を移してみよう。ベッドの下の黒い色彩の中に激しい筆の跡が残されている。人物を描いた静かな描線とは明らかに異なるものだ。本作は両親と姉ソフィエの死に関係するといわれる。画面に残された2種
東京芸術大学時代に東宝ミュージカル「エリザベート」のオーディションに受かりデビューした。歌唱力と端正な容姿で「ミュージカル界のプリンス」と呼ばれ第一線で活躍し続けてきたが、苦労もあった。デビュー3年後、蜷川幸雄演出の「ハムレット」で初めて面と向かって「全然できていない」と言われたのだ。「歌をとられた時に、お芝居ができないことに気づいた」。それから修行のようにセリフ劇に挑み、力を蓄えた。「歌があ
画面全体にびっしりと点描が用いられていることが一目でわかるのではないだろうか。点描は色彩を分割し、離れてみたときにそれらの色が混ざって見えるようにする技法だ。一つ一つの点はだいたい均等な大きさに揃(そろ)えられている。画面手前は、濃い青でまとめられ、画面中央から奥に向かうほど橙(だいだい)色や桃色、赤などの暖色系へと徐々に色味が変化していく。分割された色彩は、互いに混ざりあうことなく、寒色と
たかの・ふみこ 1957年新潟県生まれ。作品集に「絶対安全剃刀(かみそり)」「るきさん」「黄色い本」など。2022年のテレビアニメ「平家物語」ではキャラクター原案を手掛け、共著に「わたしたちが描いたアニメーション『平家物語』」。橋本治「桃尻娘」のイラスト原画橋本治さんの小説「桃尻娘」シリーズの文庫版イラストを依頼されたのは、1981年のことだった。79年に短編漫画「絶対安全剃刀」で商業誌デビ...
もう20年は前のことになる。一人暮らしが長かったので、一つぐらいは料理を身につけようと思いたった。麻婆(マーボー)豆腐をおぼえることにして、レシピ本を買ってきた。ニンニクとショウガと挽(ひ)き肉を炒め、豆板醤(トウバンジャン)、甜麺醤(テンメンジャン)と加えていき、水と豆鼓醤(トウチジャン)を足して豆腐を煮込む。じっくり煮込んだら、水溶き片栗粉で仕上げるのだ。初めて自作した麻婆豆腐のうまかっ
カンヌ国際映画祭は平日も週末も関係なく期間中は朝8時半から日付を越えるまで作品の上映が続く。17日には三池崇史監督の新作「初恋」が映画祭と並行して開かれている監督週間で公式上映された。午前の回は開場の約2時間前から並ぶファンの姿もあり、800席の劇場は満席で入れない人もいた。上映中は大きな笑いや歓声が起こり、上映後に舞台あいさつで登壇した三池監督と俳優の小西桜子は大きな拍手で迎えられた。本作
「駄目な男、愚かな男の再生の物語を作りたいと思っていた」と白石和彌監督。元SMAPの香取慎吾を主演に迎えた新作「凪(なぎ)待ち」が公開中だ。香取で1本撮ってみないかという椎井友紀子プロデューサーの誘いに、白石は温めていたアイデアを提案した。「トップアイドルの香取さんは落ちていく男を演じたことはたぶんないだろう。演じることで見え方が変わる。彼の新たな一歩と主人公の再生もシンクロするだろうと思った
【8月31日ライブ配信】4連覇を目指す永瀬拓矢王座に豊島将之九段が挑戦する第70期将棋王座戦(日本経済新聞社主催、東海東京証券特別協賛)の五番勝負が8月31日に開幕します。NIKKEI LIVEでは第1局のもようを、渡辺明二冠(名人・棋王)と伊藤沙恵女流名人によるわかりやすい大盤解説とあわせてライブ配信します。
若い世代に短歌の新たな楽しみ方が生まれている。短い文字数で気持ちを伝えるSNS(交流サイト)と親和性が高く、「アイドル歌会」の試みもファンを巻き込んで盛況だった。〈目の前で気づいてしまう他の子を観(み)ているあなたはいい顔してる〉〈その飛沫君が振り撒(ま)くほとばしるライトに照らされ虹色幻想〉――。東京・池袋で6日夜、笑顔のまぶしいアイドル4人がステージ上で披露したのは、31文字の短歌だった。
テクノポップユニットのPerfume(パフューム)が8月14、15日、ぴあアリーナMM(横浜市)で公演した。注目を集めたライブを音楽ライターの黒田隆憲氏がリポートする。「みんなに会いたくて、新しい何かを表現したくてたまらなかったこの1年半。いろんなことを考えていましたが、今日は私たち"だけ"のフィールドで表現したいと思います」彼女たちは昨年2月の全国4大ドームツアーを東京ドームで締めくくる予定
江戸時代の浮世絵は、大衆の心をつかむため、派手な色彩や構図を駆使した「映(ば)える」作品がいくつもあります。現代
2人の息子はそろってレーサーになった。長男の一貴は1985年、次男の大祐は89年のともに1月生まれ。あくまでも環境のなせる業で、強制や誘導をした覚えはない。子供に僕が説教じみたことを言ったのは、自分が苦労しただけに「とにかく英語だけはちゃんとやっておけよ」くらいのものだ。レースくらい緊張感があって楽しいものはないと思っているから、息子たちがやると言い出しても「どうぞ」という感じで止めなかった。
「エクスペリメンタル・ソウル」を掲げ、R&Bやジャズを融合した実験的なサウンドで注目されるバンド、WONKが4作目のアルバム「EYES」を発表した。架空の映画のストーリーを楽曲で表現した全22曲のコンセプトアルバムだ。リーダーの荒田洸(ドラム)は「アルバムではないと表現できない作品を作りたいという思いがあった」と語る。「伝えたいことを歌に込めた。自分自身の目で世界を見るきっかけにしてほしい」(
ブラックミュージック愛好を根に置きながらしなやかに広がる音楽性を掲げる5人組の15公演にわたるツアーの最終公演を、NHKホールで見た。実は、彼らのことはフェスティバルで見てファンになった。いろいろとマニアックな要素を抱えつつ、一方では一般的な訴求力も悠々と抱える器の大きさに感銘を受けたのだ。物腰はやんちゃであるのに、彼らは音楽的偏差値が高いとも指摘したくなる。そして、この晩の実演を見て、万人に
日本将棋連盟が進める、東西の新将棋会館の建設費用を集めるためのクラウドファンディングのイベントとして16日、藤井聡太八冠(21)と永瀬拓矢九段(31)の特別対局が東京都渋谷区の将棋会館で指された。80万円出資するとこの対局を生観戦できる権利が返礼品として設定され、今回15人の将棋ファンが2人の対局を間近で楽しんだ。両対局者は長年練習将棋を指してきた間柄。藤井八冠が前人未到の全八冠制覇を達成した
王座、永瀬拓矢は頭をかきむしった。11日夜、京都市で行われた王座戦五番勝負第4局の最終盤。朝からの長い激闘を経て、勝利は目前だった。会心譜になるはずだった。だが1手だけ、間違えた。それで全てが壊れた。まもなく永瀬は頭を下げた。その瞬間、挑戦者・藤井聡太の前人未到の全八冠独占が達成された。直後、永瀬が「(正解は)金でしたね」と語りかけると、藤井はすぐにうなずいた。「残酷なことです」。藤井との差
教会の外壁の白と、空の灰色がかった水色。簡素な色彩でまとめられた作品ではあるが、教会の白に、画家が制作に投じた濃密な時間を感じずにはいられない。単純な白だが、何度も絵の具を塗り重ねたような筆の跡が残る。それは、風雨にさらされて薄汚れた外壁の色と捉えることもできるが、ここでは筆触に注目したい。教会上部をよく見ると、絵の具の厚い塗り重ねによって生まれた質感が目を引く。これは画家が繰り返し絵の具を重
「緊張しないの?」大きなステージに立つと、よく聞かれる質問のうちの一つだ。特に人前に立つことが苦手な人からは、「自分ならステージで吐く」「自分なら震えて歩けない」という感想と共に質問されることも多い。しかし実際に人前に立ってみると、吐いたり歩けなくなったりしてしまうというような、演奏よりも目立つことはなかなかできない。私の初ライブは、辞書に載せてもいいくらい完璧な「緊張」だった。どれだけ落ち
人物の頭部は、橙(だいだい)色、桃色、黄色の3色で構成されている。絵の具をベタ塗りし、面として組み合わせられた造形が印象的だ。また、人物の顔の左側は影となっている。影の領域はうねりながら顔の右側に向かって広がり、それが奇妙な雰囲気を漂わせる。そのような造形の中で人物の目線はしっかりと鑑賞者を見据えている。色の面や輪郭線のうねりなどの造形的要素もさることながら、画中の人物の人間性も意識させる魅力
社会現象にまでなった人気ゲームをもとにした新作歌舞伎「刀剣乱舞」で、主演はもとより、初めて演出も手がける。「何が正解か分からず手探りですが、自分の思う世界観を描けるのは楽しい」と手応えを語る。ゲームは、日本刀に宿る付喪神(つくもがみ)「刀剣男士」を成長させ、歴史改変をもくろむ「時間遡行軍」と戦う。アニメやミュージカルでも話題を集めてきたが、歌舞伎化は初めて。今回は室町幕府13代将軍、足利義輝が
絵画に残された筆触(タッチ)は、画面の造形要素の一つであるだけでなく、画家の個性そのものといえる。雄弁に物語る筆触を観察しながら、画家の創意と作品の魅力を探ってみたい。◇分厚い雲に覆われた空。太陽の存在は、雲の所々桃色に染まった部分と中央で白く照らされた部分によってほのめかされる。画面下半分では、波の運動が捉えられている。岩にぶつかった波しぶきは、もっとも明るい白の絵の具で表現され、強く目を引
神奈川フィルハーモニー管弦楽団の首席ソロ・コンサートマスターにして弦楽合奏団「石田組」を率いるバイオリニスト。「クラシック音楽のファンを増やしたい」と始めた石田組は結成10周年を迎え、全国各地をツアーで巡っている。11月10日には初の日本武道館公演も予定する。「サントリーホールは一つの目標だった。それが昨年実現して、3公演が完売。次はどうするかと考えて、武道館という話になったんです」と説明する
日本の若い男性ピアニストが人気だ。コンサートのチケットは完売、動画配信で活躍し、理系の高学歴を手にする奏者もいる。背景には1990年代からの業界の努力と社会変化がある。今の突出した人気者は藤田真央(まお)、反田(そりた)恭平、角野隼斗(すみの・はやと)の3人だろう。全員、国際コンクールで上位入賞した20代だ。それぞれ個性は全く違う。藤田は国際的な活躍が目立つ。反田はピアノを弾くだけでなくジャ
緻密なバンドサウンドがコアな音楽ファンに支持されるKIRINJIが20日、新アルバム「cherish」(ユニバーサル・ミュージック)をリリースする。昨年デビュー20年を迎えたが、リーダーの堀込高樹は「回顧ではなく先に進みたい」と強調。エレクトロニクスやヒップホップの色彩を強めた、先鋭的な力作に仕上がった。念頭にあったのは普及が進む音楽のサブスクリプション(定額配信サービス)だったという。「自分
40年余り続いたテレビ朝日系のバラエティー番組「タモリ倶楽部」が31日深夜の放送で終わる。1992年から続く名物コーナーが「空耳アワー」だった。海外の名曲が、日本語の面白フレーズに聞こえてくる。私は「空耳アワー研究所」所長を名乗り、ここで紹介された約3500の空耳を全て記録し、元の曲を全て聴き、データを集めた「辞典」を作ってきた。母親がビートルズなどのレコードを集めていた影響で物心ついたときか
フランスが第3共和制となった後の国民の祝日。国旗が飾られたパリの街の様子を描き出した作品である。バルコニーから見た景色であろうか。建物から街路に向けていくつもの国旗が掲げられ、画面奥へと続く大通りには多くの人が行き交う。賑やかな街の音が聞こえてきそうだ。画面を彩る国旗の青と白と赤は素早い筆の動きで表わされている。特に、画面左側に見られる国旗は、旗の長方形の形態を持たず、3色の短い線を無数に残す
米国を拠点に活躍するジャズ作編曲家、挾間美帆が10月にデンマークラジオ・ビッグバンド(DRBB)の首席指揮者に就任した。DRBB首席指揮者はこれまでサド・ジョーンズ、ボブ・ブルックマイヤーら、米ジャズ界で指折りの作編曲家が務めた名誉あるポスト。挾間は「55年の伝統を誇る世界屈指の名門バンドと新しい音楽の旅ができるのが楽しみ」と抱負を語っている。DRBBは1964年設立のデンマーク国営ラジオ局の
宝塚花組で上演中の「うたかたの恋」は宝塚歌劇の名作の1つで、19世紀末、オーストリアで実際に起きた皇太子ルドルフと男爵令嬢マリーの心中事件を題材にした悲恋の物語だ。トップスター柚香光(ゆずか・れい)が気品の中に色気を漂わせる演技で、孤独と向き合う主人公を演じている。ルドルフは自由主義にも理解を示し、才気あふれる次期国王として周辺諸国に知られたが、政略結婚した妻との関係は冷え切っていた。祝典で出
永瀬拓矢王座(30)への挑戦権をかけた第71期将棋王座戦(日本経済新聞社主催、東海東京証券特別協賛)の挑戦者決定トーナメント準決勝、渡辺明九段(39)対豊島将之九段(33)戦が3日、東京都渋谷区の将棋会館で指され、豊島九段が勝って挑戦者決定戦に進出した。次戦では前人未到の全八冠制覇を目指す藤井聡太七冠(20)と挑戦権をかけて戦う。対局を終えた豊島九段は「(藤井七冠は)非常に精度の高い将棋を指さ
七冠をもつ藤井聡太王座(21)への挑戦権を争う第72期将棋王座戦(日本経済新聞社主催、東海東京証券特別協賛)の挑戦者決定トーナメント(本戦)準決勝、羽生善治九段(53)対広瀬章人九段(37)戦が4日、東京都渋谷区の将棋会館で指され、羽生九段が勝って挑戦者決定戦に進出した。終局後、羽生九段は「自信がない将棋で最後まで本当に分からなかった。挑戦者決定戦までしっかりコンディションを整えたい」と語った
「自分から宝塚を取っ払ったら、何者でもないかもしれない。それでも、今生きている人たちに社会について考えるための材料を提供する作品を作りたいと思った」と語るのは劇作家・演出家の上田久美子。15年以上在籍して数々のヒット作を手掛けた宝塚歌劇団を3月末に辞め、朗読劇の書き下ろしやオペラ演出などに取り組む。「夢の世界」を描く宝塚を飛び出して、現実を突きつける作品に挑みたいという。京都大学卒業後、会社員
大雨でずぶぬれになり、妻からは冷ややかな視線を送られる。公開中の映画「最後まで行く」で演じた工藤は、不器用な無精ひげの刑事。母の危篤、交通事故、裏金疑惑と次々に厄難に見舞われ、時に滑稽な主人公を体当たりで演じた。「工藤はごまかそうとするし弱いところもある。でも悪いヤツではなく、愛すべき人物。藤井道人監督からも『工藤が愛されないと映画が成立しない』といわれ、とにかく愛されたいと演じた」と語る。韓
1990年代から今日まで、常にJ-POPシーンの頂点に立ち最前線を走り続けてきたMr.Children。こういう書き方ができるアーティストは他にもいるが、彼らほど相応(ふさわ)しいアーティストはいない。そのMr.Childrenが3年ぶりにドーム&スタジアムツアーを行った。それは、日本の音楽シーンがコロナ禍での苦しい戦いをくぐり抜けて再び本格的に動き始めた希望の証のように思える。このツ
宝塚雪組が上演中の「蒼穹(そうきゅう)の昴(すばる)」は、清朝末期の中国を舞台にした歴史小説の舞台化だ。科挙に主席合格した主人公の官吏、文���(ウェンシウ)は、列強諸国に近代化で後れをとる清の現状を憂い、西太后が権勢を振るう体制を改革しようと仲間と手を携える。トップスター、彩風咲奈(あやかぜ・さきな)が明るく才気あふれ、人間味を感じさせる温かな人物像を体現し、持ち味を発揮している。原作は浅田次郎
「実力以上の何かが働いた」。11日に永瀬拓矢前王座(31)との王座戦五番勝負を制し8タイトル全てを制覇した藤井聡太八冠(21)がインタビューに応じ、逆転劇の相次いだ激闘のシリーズを振り返った。――五番勝負を振り返って。「第3、4局はとても苦しい将棋だった。制することができたのは実力以上の何かが働いたからだと思う。第4局は特にそうだが、将棋はたったの1手で勝敗が変わってしまうゲーム。その中で結
逆光の中、マネと親しい間柄であったベルト・モリゾを描いた。筆触に目が行くのは、背景の壁とモリゾの右頬と髪だ。まず壁から見ると、そこには複雑なニュアンスがある。白っぽさの中に、青や黄などが滑らかな筆さばきで混色されている。筆の動きが一瞬の、いや、それ以上の時間の経過の中で揺らめく光を再現しているように感じられる。モリゾの右の髪の奔放な動きにも注目したい。絵の具のかすれを残す素早い筆の運びによっ
東京芸大とパリ国立高等音楽院でピアノや室内楽、フォルテピアノを学んだ。1993年生まれ。今、数多くいる日本の人気ピアニストの中でも知性派の一人だ。パリでは「パソコンもスマホもテレビも持たずに森に住んでいるような先生に教わって、芸術家の生き方を考えさせられた」。刺激的な日々を振り返る。8月中旬〜下旬に、単独では初めての国内リサイタルツアーを予定する(愛知県豊田市、福島県国見町、東京、大阪、長野県
挑戦者、藤井聡太はうなだれていた。9月27日夜。名古屋市で行われた将棋王座戦五番勝負第3局は、序盤から劣勢だった。だが最終盤、AI(人工知能)の形勢判断は一転、藤井に振れた。大逆転。それでも藤井は肩を落としたままだった。王座の永瀬拓矢が投了を告げた。「終始、押されていた」。勝った藤井の口から出るのは反省の弁。まるで敗者だった。「将棋はすぐに差がついてしまうゲーム。それだけに、均衡がとれた局面が
第71期将棋王座戦(日本経済新聞社主催、東海東京証券特別協賛)五番勝負で永瀬拓矢前王座(31)を3勝1敗で下し、史上初となる全八冠制覇を達成した藤井聡太王座(21)=竜王・名人・王位・叡王・棋王・王将・棋聖との八冠=によるトークショーと自戦解説会が30日、日本経済新聞東京本社で開かれた。冒頭、藤井八冠は「(3勝1敗という)スコアが逆でもおかしくなかったが、終盤互いに時間がない中で(結果が)こち
初めて一人で新幹線に乗ったのは、小学1年生の夏だった。夏休みが始まるのと同時に祖母のいる大阪へ行こう。そう思っていたのに、両親は仕事でお盆まで休みがない。どうしたら一日でも早く祖母に会えるのだろう。6歳の私は考えた。「お母さん、私一人で大阪に行く!」やりたいと思ったら、どんなに駄目だと言われても駄々をこねるのが、昔から変わらない私の性格だ。母は勢いに押され、やむなく6歳の子を一人で新幹線に
父と母は中学の同級生だ。大人になってから同窓会で再会した訳でも、同級生の結婚式で偶然会ったという訳でもない。大阪で生まれ、中学で出会い意気投合、同じ高校を受験し2人とも合格、そこから今までずっと一緒なのだという。もうすぐ50年近くも一緒にいるのだから、大抵のことでは動じないはずだろう。そう思うのだが、実際はそうでもなさそうなことがよく起きる。両親の旅行中に母から電話がかかってきた時のこと。
永瀬拓矢王座(30)に藤井聡太七冠(21)が挑む第71期将棋王座戦(日本経済新聞社主催、東海東京証券特別協賛)五番勝負が、31日朝に神奈川県秦野市の陣屋で開幕する。永瀬王座が「名誉王座」の称号を獲得するのか、藤井七冠が前人未到の全八冠制覇を果たすのか。注目のシリーズの見どころを、王座戦19連覇の記録や名誉王座の資格を持つ日本将棋連盟会長の羽生善治九段(52)に聞いた。【関連記事】――(タイトル通
人気バンド、SEKAI NO OWARIのピアノ担当で、作家の藤崎彩織(35)がエッセー集を出版した。「音楽と文学、届き方の異なる表現手段を持つ意味は大きい」と手ごたえを感じている。2017年刊行のデビュー小説「ふたご」が直木賞候補に選ばれるなど、文筆でも注目を浴びる。新刊「ねじねじ録」(水鈴社)は18年の「読書間奏文」に続くエッセー集。19年に本紙で連載したエッセーなど42編を収める。「セ
密閉、密集、密接のいわゆる「3密」を避け、社会的距離を保ちながら、いかに面白いテレビドラマを作るか。フジテレビ系「世界は3で出来ている」(11日午後11時)は、そんな課題に挑戦したドラマだ。ビデオ会議システムを使ったリモートで打ち合わせを行い、撮影中のセットにいるのは1人3役を演じる俳優の林遣都とカメラマンだけ。同局では「ソーシャルディスタンスドラマ」と称している。商事会社に勤務する勇人、会計
日本で唯一の歌舞伎専門誌といわれた「演劇界」が、2022年3月3日発売の4月号で休刊した。前身の雑誌から数えると100年を超える歴史を持ち、多くの演劇評論家や文筆家を育てた媒体で、作家の有吉佐和子が嘱託として記事など書いていた時期もある。「演劇界」の誌面内容のうち劇評部分を、歌舞伎関連の古書を扱う木挽堂(こびきどう)書店が引き継ぎ、冊子「劇評」を発行した。4月中旬に出た創刊号は19㌻で、3月
「真情あふるる軽薄さ」「楽屋」など詩情あふれる戯曲で知られた劇作家、清水邦夫(しみず・くにお)さんが4月15日午後0時46分、老衰のため死去した。84歳だった。告別式は近親者のみでとりおこなう。連絡先は日本劇作家協会。早大在学中、「署名人」でデビュー。1969年の「真情あふるる軽薄さ」を皮切りに演出家の蜷川幸雄とコンビを組み、話題を呼んだ。74年、「ぼ
人形浄瑠璃文楽が、いまの国立劇場では最後となる舞台を上演している。東京の常打ち劇場を建て替えで長期間失い、これから興行の安定性が揺らぐ心配はある。が、名作の全段通し上演はそんな不安をはねのける気迫に満ちていた。1966年11月に開場した東京の国立劇場は、老朽化による建て替えのため10月末に閉場する。昨年9月に始まった「初代国立劇場さよなら公演」も最終盤だ。伝統演劇の興行では、名場面を抜き出す
秋にかけて日本初演のミュージカルが続々と上演される。筆頭にあげられるのが、「ムーラン・ルージュ! ザ・ミュージカル」(6〜8月、帝国劇場)。2001年公開の米豪合作映画のミュージカル化で、21年にトニー賞のミュージカル作品賞など10部門を受賞した話題作だ。舞台は19世紀末のパリ。作家志望の青年クリスチャンとナイトクラブ、ムーラン・ルージュの花形スター、サティーンが恋に落ちる。クリスチャンは井上
30日朝から京都市のウェスティン都ホテル京都で指されていた第72期将棋王座戦(日本経済新聞社主催、東海東京証券特別協賛)五番勝負の第3局は、午後9時、156手で後手の藤井聡太王座(22)が永瀬拓矢九段(32)を破り、3連勝で初防衛を果たした。藤井王座は、将棋界に8つあるタイトルの全てで奪取と防衛に成功した初めての棋士となった。対局を終えた藤井王座は「シリーズを通して収穫が多かった。今後に生かし
文化コンテンツの発信に国をあげて取り組む韓国の創作現場には、やはり勢いがある。公募作を練り上げ、2016年に初演されたオリジナルミュージカルの翻訳上演をみて感じたことだ。ときは日本が朝鮮半島を植民地としていた1930年代。東京に留学していた青年セフンは、崇拝する小説家ヘジンにヒカルという女性の筆名でファンレターを送っていた。セフンはソウルで若い文学者の集まりを手伝い始める。そこでは、結核で衰弱
初防衛を目指す藤井聡太王座に、前王座で復位を狙う永瀬拓矢九段が挑戦する第72期将棋王座戦(日本経済新聞社主催、東海東京証券特別協賛)五番勝負が9月4日に開幕するのを前に、テレビ愛知は8月31日午後2時30分から特別番組「藤井七冠 王座の行方」を放送する。藤井王座の師匠で名古屋市在住の杉本昌隆八段と、東京大学大学院で情報工学を学ぶプロ棋士の谷合広紀四段が出演する。藤井王座が伊藤匠叡王に敗れて初め