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日本経済新聞 電子版「オピニオン」カテゴリーの公式アカウントです。経済に関する解説・分析に加え、政策提案などのオピニオンも国内外から発信します。発信内容は必ずしも会社、組織を代表するものではありません。 (「日経 経済解説部」アカウントを2018年4月にリニューアルしました)
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故ジャニー喜多川氏による性加害問題については、再発防止対策を講ずることが必要である。この問題が長年不問にされ、被害者の救済がなされなかった直接の原因はマスコミ、公的機関の不作為によるものと考えられるが、その奥には日本社会特有の次のような風潮、体質がある。①子どもに対する性犯罪、虐待に無関心で、性の対象とすることを容認する社会の風潮②子どもの犠牲の上に経済的利益を図ることを躊躇(ちゅうちょ)しな
「昨年は習近平(シージンピン)にとって散々な年だった。未曽有の危機にひんする彼の地位は揺らいでいるに違いない……」。中国共産党の外にいる常識人はそう考えがちだ。しかし、それは大きな誤解である。共産党総書記、国家主席である習近平の党内での立場はここに来て逆に強まっている。共産党は我々の常識が通用しにくい特殊なサークルなのだ。それを証明したのが昨年暮れ、中央政治局が2日間にわたって開いた重要会議の
iPS細胞を使った再生医療の行く手が、視界不良になっている。京都大学の山中伸弥教授が世界で初めてiPS細胞を作って10年あまり。いよいよ治療応用が本格化しようというこの時期に、中核プロジェクトをめぐり政府とのあつれきが表面化し、研究者の間に不安が広がった。再生医療で世界をリードするには政府の支援体制の再構築、研究と実用化を橋渡しする戦略の練り直しが必要だ。2020年度の文部科学省予算で「再生医
少子化が止まらない。7日に発表された2018年の合計特殊出生率は、3年連続の低下となった。晩婚や非婚化が原因とされるが、見落とされている論点がある。都市にばかり日本の女性が集まる「女性の都市化」だ。18年の東京都への女性の転入超過数は、4.8万人。男性の転入超過は3.4万人で、年々その差は開きつつある。出生率は低いものの、働きやすい都市に女性が集中し、少子化に拍車をかけている。転入超過数とは、
9月27日の本欄に「離婚後(実質的には別居後)の単独親権」を巡る問題が掲載された。これと密接に関係する「婚姻中共同親権の制度欠陥」について説明したい。そもそも私たち国民はどの程度「婚姻中共同親権」を意識しているだろうか。民法818条3項は「親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う」と定めており、婚姻中は父母が共同で子育ての意思決定をする必要がある。しかし、父母の考え方が異なる場合の規定が無い
9月2日の本欄に掲載された投稿「離婚後の『共同親権』導入を」を読んだ。親であっても我が子に会えない、成長に関われず見守ることもできないことがどれほどつらいか。現行法では離婚後に父母のどちらか一方が親権者になるが、離婚後も共同親権となり、我が子と交流できることを期待するのは親として当然であろう。ただ、離婚後共同親権になれば子どもと交流できるようになるのだろうか。ここで考えてほしいのは、現行法でも
ポイント○政・官の調整は議員と幹部職に限定せよ○政策立案や調査分析に集中できる環境を○霞が関内外に自由な政策論議の場育てよ森友・加計学園、勤労統計不正、金融審議会報告書問題など霞が関の動揺が止まらない。新卒内定者が出そろうこの時期、公務員志望者は今年も大幅に減少しているが、思い起こすのは、筆者が官庁訪問をした37年前である。愛読書は城山三郎の「官僚たちの夏」。主人公の風越信吾の「おれたちは、国
81歳でiPhoneのアプリを開発し「世界最高齢のプログラマー」と呼ばれた女性がいる。若宮正子さん(84)だ。「シニアにこそ情報技術(IT)を使ってほしい」という思いから、国内外での講演や本の執筆など活動の幅を広げ、自らをITエバンジェリスト(伝道師)と称する。◇ ◇ ◇北欧のエストニアがIT先進国だと聞き、6月に1人で現地に行ってきました。電子政府をシニアがどう活用しているかを調べる
法相の諮問機関である法制審議会の部会が離婚後も父母がともに子どもの親権を持つ共同親権の導入に向けて議論を始めることで合意した。共同親権の目的は離婚後も両親が子どもの養育に関わることだ。これは共同親権を推進する国会議員による「共同養育支援議員連盟」の名称からも明らかであろう。共同親権とは共同養育をするための法整備なのだ。共同養育をするためには、経済的な観点にたっても考える必要がある。近年、ひとり
偏差値40。東京都立の高校の中でも学力レベルでは"底辺校"。そんな都立大山高校(板橋区)で、異変が起きている。この3年、上智など有名私大に加え、国公立大への合格者が相次いでいるのだ。生徒を変えたのは、詰め込み式の受験勉強でもなく、最先端のIT授業でもない。その変貌は、奇跡の変身か。それとも、変化の軌跡か。【次回記事】本当にうちの生徒? 対話が高校を変えた「え、あの高校から?」ほのかなピンク色
組織の活力を高め、イノベーションをどう起こすか。世界中の企業の関心事だが、米グーグルが大がかりな社内調査を経てたどり着いたキーワードは「心理的安全性」だ。これはもともと米ハーバード大の研究者が唱えた概念で「この職場(チーム)なら何を言っても安全」という感覚を構成員が共有することだ。何かいいアイデアがひらめいたら、すぐに発言し、実行に���す。仮に新しい試みが失敗に終わっても、嘲笑されたり罰せられた
ほっくり濃厚な栗本来のうまみが、口の中でほろりとほどける。鼻の奥に栗の香りがふわりと広がる。裏ごしした栗と砂糖で作られる恵那川上屋(岐阜県恵那市)の栗きんとんは、余計な味を何も足さない上品な仕上げで多くのファンを集める秋の味覚だ。その製造現場を取材した。ブランドの背景にあるのは、デフレにあらがう逆転の発想の経営戦略だった。まず訪ねたのは、恵那市に隣接する中津川市にある栗畑だ。木の下に落ちた栗を
政府は新紙幣を2024年度に発行するという。ちまたには「新紙幣はキャッシュレス化の波に合わない」と言う人もいるが、もっと大切な問題がある。新紙幣を流通させたときに旧紙幣の流通も認めるかどうかだ。この点は中長期的な日本経済の浮沈に関わると考えているので説明したい。日本には約30兆~50兆円の課税を逃れているお金、通称アングラマネーが存在しているといわれている。そしてアングラマネーのほとんどは金庫
政府のデジタル化を進め、政策効果をデータで確かめながら改善していく。日本の現状からは夢物語に聞こえるかもしれないが、未来の政府がこの道を避けて通ることができるようには思えない。であれば、どのように改善していくのが良いだろうか。最も重要なのは政府が持つデータの利用だが、大きく二つの問題がある。一つは行政手続きなどに関連して政府が入手しているにも関わらず、利用できる状態に整理されていないデータが大
年功序列の廃止や定年延長、シニアの再雇用などで年長者を配下に抱える管理職や経営者が増えた。やる気の引き出し方など接し方に悩む人も多い。年上の部下には、力で引っ張るよりも、彼らを手助けする「弟」になるといい。いい手本が「Wii」のヒットなどで任天堂を復活させた故・岩田聡元社長だ――。公私を通じ親交の深かった糸井重里ほぼ日社長はそう振り返る。岩田氏が実践した「弟型リーダーシップ」の具体的な手法と効果
結婚は20代前半でしたいという人が、男女ともに増えていると聞きました。なぜでしょうか。回答者:大岩佐和子編集委員 結婚相手紹介サービスの楽天オーネットが2019年に成人式を迎える人に調査したところ、「21~25歳のうちに結婚したい」という男女の割合が47%と、18年より約10ポイントも増えました。積極的に異��と交際したいと考える人の割合も上昇し、5割を超えました。結婚相談所に入会する20代も増え
埼玉県ふじみ野市にある西友上福岡店の3階。エスカレーターの脇にある壁に、何やら明るいガラスの小窓が開いている。中をのぞくと、発光ダイオード(LED)の光に照らされて整然とレタスが並ぶ栽培棚が目に飛び込んできた。部屋の広さは約150平方メートル。2月下旬に収穫を始めた植物工場だ。収穫は毎日。一つ一つ包装し、地下1階の野菜売り場に設置した専用の棚で販売している。スーパーなどが野菜の販売で「とれたて
ウィンストン・チャーチルが「鉄のカーテン」を語って以来の、歴史的な演説――。そんな声もあがっている。米国のマイク・ペンス副大統領が10月4日にワシントンのハドソン研究所で披露した、ドナルド・トランプ政権の対中政策に関する演説である。およそ40分にわたったその中身をあえて要約すれば、中国共産党政権が「全国家ぐるみ」で影響力と利益を拡大しようとし、米国の利益をそこなおうとしている、との警告である。
会社の中を見渡してみる。働く社員、デスクに椅子、パソコン、ファイル、そして、紙。社内で最も数多く存在するもの、それはおそらく紙だろう。紙は仕事を生む――余計な仕事も生む。紙を減らせば仕事も減るのではないか。そう考えた男がいた。【前回記事】アフター4で大学院 社員が手にした新世界紙と決別せよ紀元前3000年ごろ、古代エジプトでパピルスが使われるようになり、紀元前後に中国で紙が発明されてから、紙
相続の仕組みが変わったそうね。どんなことが変わったのかな? 妻の立場はどうなるの? どうして今、相続の仕組みが見直されることになったの?相続について、清水弥生さんと植木樹理さんが田村正之編集委員に話を聞いた。――大きな法改正があったそうですね。相続の仕組みを定める民法がほぼ40年ぶりに改正され、2019年から段階的に施行されています。まず19年1月に、自分で書く「自筆証書遺言」が一部変わりまし
法制審議会は国民の関心が高い離婚後等の親権について、提示案を1つに絞らず論点整理の段階でパブリックコメントを募ることにした。複数のパターンが入り組むが、一番の論点である、離婚後を含む婚姻外の原則が「共同親権」「単独親権」のいずれであるべきかについては、親が子を養育する権利(養育権)が憲法上の基本的人権であることを確認すれば、おのずと決まる。本稿では、この点について考えてみたい。第一に、国際人権
米国で暗号資産(仮想通貨)の規制のあり方を巡る議論が活発になってきた。政府や議会で検討が始まったにもかかわらず、米証券取引委員会(SEC)が7月下旬、独自の現行法解釈に基づいて捜査や告発などの法執行を強行する動きを見せたためだ。他の省庁・委員会や裁判所、議会を巻き込んだ論争が年末にかけて熱を帯びそうだ。「コインベース・ショック」広がるSECは7月21日、暗号資産交換業大手の米コインベース・
◆50年前の3月15日に開幕した日本万国博覧会の会場跡地(大阪府吹田市)は万博記念公園となり、「アメリカ館」や「ソ連館」があった西側は森林に生まれ変わっていた。跡地をビジネスや物流の拠点にする構想もあったが、公園にしたのは英断だった。◆「人類の進歩と調和」がテーマの1970年万博は「進歩」ばかり目についた。跡地で「調和」を示したのは高度成長期の日本で画期をなしたといえる。パビリオンを撤去した人工地
中東情勢は最悪の事態を避け、米中摩擦もひとまず落ち着いた。日経平均株価は2019年末より高い水準を維持し、市場にはほっとしたムードが漂っている。だが、水面下では物騒なシナリオが進んでいる。日本の株式市場が、わずか5社の米ハイテク株に規模で抜かれるかもしれない。5社とはアップル、マイクロソフト、グーグルの親会社アルファベット、アマゾン・ドット・コム、そしてフェイスブック。米時価総額の上位5社で
清濁併せ呑(の)むタイプという人物評を聞くことが少なくなったように思う。下村健(たけし)。通称シモケン。2006年に75歳で亡くなったこの昭和の厚生官僚は、みごとに清濁を併せ呑んだ。1956年(昭和31年)に入省し、社会保険庁長官を最後に89年(平成元年)に退官した。健康保険組合連合会の副会長に天下ると、国民医療費を差配する中央社会保険医療協議会の支払い側委員として辣腕をふるった。ところが
新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大が、日本の観光産業に大きな打撃を与えている。中国政府が海外への団体旅行を禁止し、ホテルやツアーのキャンセルが相次ぐ。小売りや飲食店、観光バスなど影響は多岐にわたる。中国人は日本を訪れる外国人観光客の約3割、消費額では4割近くを占める。「観光公害」に悩まされていた京都も人がまばらだ。新型肺炎によって観光立国の盲点があぶりだされた。グローバル化の時代では、自
男性の育児休業が、法改正により2022年10月から取得しやすくなる。夫が家事・育児に携わる機会を増やすことで妻に偏りがちな負担を軽減し、仕事との両立も図りやすくなるなどの効果が期待される。しかし、夫はえてして家事・育児を妻の手伝い程度にとどめようとしてしまいがちだ。本来であれば夫婦ともに主体となるべき家事・育児を夫が敬遠する傾向にあるのは、とてももったいない。幼い時期を子供と共に過ごすことがで
食と農の取材には新鮮な驚きが多いが、今回はいつもよりびっくりした。7月に横浜市の国際展示場で開かれた「お米産業展」のあるブース。小さくカットしたフランスパンを、チーズフォンデュのとろけるチーズにからめて食べてみると、舌の上に濃厚な味が広がった――。知らずに試食すればそう書いてしまいそうなところだが、じつはもち米で作ったチーズ風食品。乳製品は使っていない。出展したのは、洋菓子メーカーのモチクリー
4月末に経済同友会代表幹事を退く小林喜光・三菱ケミカルホールディングス会長は鋭い舌鋒(ぜっぽう)で知られる。2007年に同社の社長に就任した直後には「先輩は戦犯」と発言し、怒ったOBにねじ込まれる一幕があった。本来ならずっと昔に処理すべき不採算事業を温存してきた、上の世代の「不作為」に批判を突き付けたのだ。19年の春の労使交渉では記者に聞かれて「(組合のこだわる)ベースアップは明治、大正の匂い
株式相場が回復している。日経平均株価は10月だけで800円近く上昇した。先週の上昇率は3%を超え、主な先進国、新興国の間で首位となった。日本株への関心が久々に集まっただけに、市場関係者の間でささやかれる日本企業への否定的な評価が気に掛かる。「技術あって経営なし」。どういうことか。まず「技術あり」。リチウムイオン電池を開発した旭化成の吉野彰・名誉フェローがノーベル化学賞を受賞することが決まった
「自動車がないと移動ができず生活が成り立たない」。大都市部などを除く日本のこの現状を変えることが、超高齢社会を乗り越えるために不可避であると考えている。高齢者の運転で起きた悲惨な事故が報道され、「不安なので運転をやめたいが、その後の生活を考えるとできない」という高齢者が多くいる。一方、はたから見てとんでもない運転をしているのに「運転には自信がある」と勘違いしている高齢者も多くいる。こういう方
時速150キロに達したころに体がふっと浮く。車輪走行から磁力による浮上走行に切り替わった瞬間だ。時速500キロまでの加速もあっという間だった。大半がトンネル内だけに「瞬間移動」している感覚になる。車体の揺れや騒音もほとんど気にならない。JR東海が導入するリニア中央新幹線に2018年、試乗した。山梨県にある総延長42.8キロの実験線である。今から8年後の27年に、東京(品川)と名古屋がリニアで
ポイント○日本の建物価値は米国よりも急速に喪失○背景に生活様式の変化や耐震技術の進歩○建物状況調査を標準化し売買時に公表を日本では住宅を使い捨てにしているらしい――。筆者が4年前に米国のラジオ番組「Freakonomics Radio(『ヤバい経済学』ラジオ)」に呼ばれた時の特集だ。長く使うはずの不動産を、使い捨てにするとは特異な現象だと反響を呼び、現在でも時折研究者の間で話題にのぼる。日本の住
心のケアに取り組む心理職としては初めての国家資格である「公認心理師」が、2018年9月の試験を経て、19年前半にも現場で順次活動を始める。大学院修了を主なルートとする専門職で、産業界や医療、福祉、教育の各機関といった幅広い分野での活躍が見込まれる。国家資格の誕生により、特に医療の分野では、心理職の活用が進むと考えられる。産業関連でも早速、労働安全衛生規則が改正され、ストレスチェック(労働者のス
BSテレ東の「ハイスクールQ」は高校生を対象にした日曜朝のクイズ番組だ。時折見るともなしに見る。毎週テーマを決め、時々のニュースを素材にした問題にスタジオの高校生が答える。地味なつくりだが、問いが洗練されていてスマホのニュースサイトを見ているだけでは正答が難しいのもある。それにしても、なぜ高校生? ふと浮かんだ疑問を長坂章生プロデューサーにぶつけた。「大学へ進まない人を含めて、高校生には大人
「考えろ」――学校で、会社で、先生も上司も繰り返す。でも、どうやって? それを教えてくれる人は少ない。東京都立大山高校で哲学対話を経験した若者たちは「なぜ?」をみつけ、未来につなげるすべを知った。教えてくれたのは誰なのか。【関連記事】その校則って必要? 「そもそも」を問う哲学者SNSは友達の事前登録?2019年4月に東洋大学法学部に入学した菅頭知哉(18)のスマートフォンには、学生にはおなじ
お酒と料理でおなかがいっぱいのはずなのに、最後になぜか無性に食べたくなるのがラーメン。ところがラーメンに代わり、強力な「別腹」メニューが存在感を高めている。それは、甘い甘いパフェ。「シメのラーメン」ならぬ「シメパフェ」だ。発祥の地である札幌に飛んだ。JR札幌駅から歩いてすぐのところにあるカフェレストラン「ミライスト」。シメパフェの定番メニューとして紹介されたのが、「2種のオレンジとチョコレート
センター試験で受験シーズンは本番に突入したが、受験生やその家族には合否とは別にちょっと気になることがある。国立大学の相次ぐ授業料引き上げだ。各校とも「授業をより充実させたい」との理由を挙げているが、入学後の学費を心配する家庭も多いはず。世界的な潮流ともなっている大学の学費引き上げの背景をさぐる。「今の収入では現状維持で精いっぱい。もっといい教育を、と思えば、安定的な収入を増やすしかない」。こう
日本の人口が減り始めた。相変わらず過疎地では地域活性化の必要性が唱えられているが、私は疑問も感じている。消滅が時間の問題になった集落では、そうした対策では対処しきれない。人と同じように、集落にも終わりを見据えた「終活」が必要ではないか。私は奈良県南部にある大塔村(現・五條市)という過疎地域で生まれ、幼少期を過ごした。今は29歳となり東京で暮らしている。村は深い杉林に囲まれた静かな場所だった。か
2008年秋に端を発した世界金融危機では「米国の象徴」とされたゼネラル・モーターズ(GM)が翌年破綻した。100年近く世界最大の自動車メーカーとして君臨した巨人が米連邦破産法11条の適用申請に追い込まれ、米政府などからの公的支援によって辛うじて生き延びたのだ。20年の新型コロナウイルスショックで「米国のアイコン」が行き詰まるとすれば、それはボーイングだろう。米国最大の製造業でもある同社は創業以
イスラム世界はいま、ラマダン(断食月)のさなかである。世界のイスラム教徒は宗教上の義務として、日中の飲食などを控えなくてはならない。だが中国でイスラム教徒が多く暮らす新疆ウイグル自治区では、共産党政権がそれを妨害している。10戸の家庭に連帯責任を負わせ、1戸でも断食をしているのをみつければ全戸を罰する。学校や公的機関は毎日お昼にイスラム教徒の生徒や職員を集め、食事をとるよう求める。拒否すれば本
「自分年金」づくりの有力な手段である確定拠出年金(DC)と少額投資非課税制度(NISA)の仕組みが大きく変わる。ともに来年の法改正を目指す。しかし制度変更の内容は複雑で誤解も多い。十分知られていない点を中心に、間違えやすい5つのポイントを知っておこう。<確定拠出年金編>まず確定拠出年金。自分の運用しだいで将来の年金が変わる仕組みで、個人型(イデコ)と企業型がある。●誤解(1) イデコ加入が全...
日本酒の名前には酒蔵の様々な思いが込められている。では最近登場した「農学原酒」の名前の由来は何だろう。答えは、アイデアが誕生した場所にある。醸造科学科を擁する東京農業大学の学生たちが企画したお酒だ。消費低迷が続く日本酒を盛り上げようと、新しい飲み方を提案している。「日本酒を伝統的な飲み方ではなく、ハイボールのように飲んでもらえないかと考えたのがきっかけです」。東京農大の博士課程に在籍する玄成秀
新型コロナウイルス騒動でマスクはどこも品切れ、トイレットペーパーまで品薄だ。マスクはやむを得ないが、トイレットペーパーの買い占めも中国、イタリアだけでなく、香港やシンガポール、英国、オーストラリアなど世界中で起き、米国では消毒薬から風邪薬、缶詰にまで波及している。なぜこうした買い占めが起きるのか。経済学の理論で考えてみよう。▼「悪い均衡」のメカニズムとは参考になるのはゲーム理論の「ナッシュ均衡
どの国でも生産年齢人口(15~64歳)が増えれば経済は活性化されやすいし、総人口に占める比率が高くなれば景気がよくなる傾向も強い。世界銀行のデータでは、日本の生産年齢人口比率は1992年に69.8%のピークを迎え、2020年に59%まで低下して先進国中最下位だ。60年までには50%前後まで下がる見通しという。生産年齢人口が減ると、潜在的経済成長率も下がる。これはピークの95年から20年までに
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半透明のゼラチンに見える約1センチの小さなかたまり。これが牛のステーキになると言われると多くの人は戸惑うだろう。だが、それが現実のものになる可能性が出てきた。日清食品ホールディングスと東大の研究チームが世界で初めて生産に成功したサイコロステーキ状の筋肉組織だ。日本では大量の食品廃棄が社会問題になっている。だが地球規模で見れば、人口増で膨張し続ける食料需要にいまの生産基盤で応えきれるかどうかが大
東京五輪・パラリンピックが開催される2020年、日本の経済・政治はどう変わっていくのか。そして世界情勢の行方は。日本経済新聞の編集委員、コメンテーターらの見通しを、このほど出版した『これからの日本の論点2020 日経大予測』(日本経済新聞出版社)から紹介する。日本の銀行界が、1990年代後半の日本版金融危機以来の難局に直面している。巨額の不良債権が次々発生し、銀行が経営破綻したり赤字に転落したりす
「世界最高齢のプログラマー」として有名になったITエバンジェリストの若宮正子さん(84)。歩みをたどる連載の2回目は、その異名がついた出来事について語ってもらった。◇ ◇ ◇ パソコンだけでなくスマートフォンにも、出始めた当初から親しんだ。だが一般には、「使い方がわからない」などといって敬遠するシニアが多かった。年寄りが面白がるようなアプリが全然なかったんですよ。年寄りが若者に勝てるゲ
最近、赤トンボを見なくなったという話をよく聞く。実際、私の住んでいる横浜の郊外でも、このところめっきり目にすることがなくなった。地球温暖化の影響なのだろうか。さびしい気がする。トンボはチョウチョに比べ、はるかにデリケートであり、環境の変化に反応するのが早い昆虫といわれている。トンボが飛んでいるということは、とりもなおさず人間が住むに適した環境であることを意味する。トンボには、シオカラトンボの
発光ダイオード(LED)の光が野菜を照らす植物工場は見るものをうっとりさせる魅力があるが、今回は格別だった。京都府木津川市に誕生した真新しい工場の上層階に上がり、見学窓から栽培室を見下ろす。14段、高さは10メートルを超す棚の横を収穫用のロボットが滑るように素早く動き、レタスが茂るプレートを取り出して別室へ運んでいく。農産物の生産や販売を手がけるアースサイド(京都市)の子会社で、植物工場ベンチ
新しいデジタル社会の扉が開かれようとしている。米グーグルが23日、開発中のマシンで「量子超越」を達成したと発表した。コンピューター科学の大きなマイルストーンといえる。人工知能(AI)をしのぐ技術革新で、将来、想像もつかないインパクトをわたしたちに与えるだろう。音声やテキスト、画像、それに遺伝子だって、どんな情報でも「0」「1」に数値化してコンピューターで計算、処理するのが今のデジタル社会だ。
埼玉県朝霞市にあるイタリア料理店「ラグーナロトンダ」を訪ね、ナスのグラタンを試食した。グリルで焼き目をつけ、オーブンで加熱したナスは、実がほぐれずにしっかりとしていて、しかも食感は軟らかい。モッツァレラチーズから出た水分に、アンチョビーのうま味が加わった濃厚なスープがしみ込み、ナスの味を引き立てていた。世界には、日本人があまり知らない野菜がたくさんある。赤や黄色のカラフルなパプリカは今やふつう
新型コロナウイルスの感染拡大リスクの波が教育現場にも押し寄せている。政府は全国の小中高校などに臨時休校を要請し、高等教育を含めた教育活動が当面の間、滞りかねない。「学校という場に集まらず勉強を続ける方法」として、IT(情報技術)を活用した教育サービス「エドテック」への注目が高まっている。「中国にいる中学3年のめいっ子はいま、登校せずに自宅で学校と全く同じカリキュラムで勉強しています」インター
日本の活力低下の一因はデジタル化の出遅れにある。まず手を着けるべきは、古びた情報システムの刷新だろう。改修できる人材の枯渇も迫っている。デジタル化による爆発的な変化に企業が適応するには、トップ自らが情報戦略を主導する必要がある。【関連記事】COBOLシステムがAWSで動く 維持費「8割減」「COBOL」というプログラミング言語がある。1959年に業務用に開発され、金融機関などの基幹システムで...
晴天の下、広大な畑をキャベツの収穫機がうなりを上げて進む。正面から斜め下へと伸びる機械の先端がキャベツを引っこ抜く。ベルトに挟んでキャベツを引き上げていく先を見ると、無人。誰もいない運転席で、ハンドルがひとりでに左右に回転している。北海道・十勝地方にある鹿追町で、今年秋に開かれた実証実験のひとこまだ。立命館大学を中心に地元の農協や農機メーカー、通信会社、国の研究機関などが組み、農作業の自動化を
金の国内小売価格が1980年の過去最高値に接近した。先週末には新型コロナウイルスの感染拡大が世界経済に深刻な影響を及ぼすとの懸念から金にも売りが膨らむ場面があったが、米国の緊急利下げで価格は急回復した。先物市場には投資過熱もみられ、当面は荒っぽい動きが避けられない。それでも40年ぶりの最高値更新は目前だ。リスクには強いとされる金も、先週からは新型コロナの影響に翻弄されている。ニューヨーク市場の
ポイント○大手企業の仕組みの直輸入は成功しない○家族経営や関係の近さなど特徴に配慮を○企業団体のアドバイスが改革には効果的働き方改革は、労働力人口の68.8%を占める中小企業(2016年経済センサス)で進められるかどうかで、その真価が問われる。今回はこの問題について考えてみたい。◇ ◇長時間労働の是正促進のため、時間外労働の上限規制、年次有給休暇の取得の義務が課され、中小企業は21年から同
サウジアラビアが原油市場の調整役を放棄し、大増産へかじを切った。原油相場は暴落し、衝撃は株式や金融市場にも及ぶ。秩序なき価格競争の引き金を引いたサウジに勝算はあるのか。決断に至る動機が見えにくいことが、市場の不安を一層かき立てている。暴落の起点となった3月上旬のウィーンでの石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非OPEC産油国による協議。ロシアのノワク・エネルギー相は判断を仰ぐため、モスクワに
年40万円を上限に運用益が20年間非課税になる積み立て方式の少額投資非課税制度(つみたてNISA)が若年層を中心に静かに浸透しつつある。政府・与党は非課税で積み立てられる期限を延長する改正案を2020年度税制改正大綱に盛り込む方針だ。つみたてNISAは「異形」の制度だ。それは金融庁が認定する長期投資に適した低コストの投資信託に対象が限られるという点にある。約6100本もある投信のうち、対象は現時点
改正商法が5月18日に国会で成立し、「六法」の条文がようやく全てひらがなの口語体になると聞きました。ずいぶん遅い印象ですが、なぜでしょうか?回答者:坂本英二編集委員 政治記者になって最初に感じたのは「日本の政治は結論をいま出さないと困る課題以外はあっさり先送りする文化だ」ということでした。毎年成立させる必要がある予算や放っておくと期限が切れる法律は、国会で比較的スムーズに審議が進みます。しかし
オープンイノベーション、副業、テレワーク。働き方に関わる3大ビジネス潮流は今年、社会の共通認識となり、新旧企業のコラボレーションや時短、柔軟な勤務形態などに結びついたように思う。だが、ほっとしてはいけない。新しい市場や事業モデルを創出してこそ会社だ。そういう果実を伴う働き方の変化でなければ改革も道半ばと言わざるを得ない。2020年、働く人は意識と行動の本格的な切り替えを迫られる。特定の会社に身
海外で和食人気が高まっていると言われるが、日本のものをそのまま持ち込んでも市場を開拓できるとは限らない。伝統の味を守りながら、いかに現地に合わせてアレンジするか。そんな挑戦をしている老舗のしょうゆメーカーを紹介したい。茨城県土浦市。柴沼醤油醸造の蔵に入ると、人の背丈を越える大きな木おけがびっしりと並んでいた。この中で、しょうゆのもとになる「もろみ」の熟成がゆっくりと進んでいる。原料は大豆と小麦
今年のノーベル経済学賞に決まった「自然実験」は近年、非常に注目されている。とりわけ、社会的な課題を解決するための政策の効果を検証して、「実証結果に基づいた政策形成」(Evidence-Based Policy Making : EBPM)を推進する際の強力なツールとなっている。かつては、ある政策や改革の効果を調べるのは多くの困難をともなっていたが、「自然実験」を使うことで、政策変更がどう影響した
ポイント○名目下限措置により年金額ほぼ据え置き○現状では51年に積立金枯渇し年金額急減○中高齢者には適切な自助や共助を求めよ日本の年金財政は極めて深刻な問題を抱えている。にもかかわらず「100年安心」がうたわれた2004年の年金改正以降、そうした問題は糊塗(こと)され続けている。厚生労働省は5年に1度、人口動態と経済変数に一定の前提を置き、年金財政の今後100年間の姿を描き出す。これは財政検証
日本ではこれから人口の高齢化と世帯の単独化が一段と進む。この2つの変化は長らく社会保障の課題として語られてきた。不安の根底には人と人とのつながりの薄れがあると考えている。そこで提案したいのが、地域で特定の年代の人が集まる「エイジ・フェス」という取り組みだ。20歳に達した若者が成人式で集まるように、40、60、80歳の人々が集まる場があってもいいのではないか。そうすると「高齢式」という名前になる
ポイント○社会保障制度・国債利払い、財政の重荷に○30~50代の所得と資産の底上げが不可欠○働く誘因をゆがめる社会保険制度改めよ日本のマクロ経済と財政を中長期的に展望すると、2020年代の行動が将来の針路を決定づけるといえる。25年には団塊世代が後期高齢者に達し、30年代半ばには団塊ジュニアが高齢期に達する。出生数の減少はとどまる気配がなく、高齢化は30年代以降さらに加速する。20年代に入った今
ポイント○マクロ標準モデルが金融危機予測できず○モデルの改良進んだが危機の原因は不問○バブル解明へ「人間の合理性」見直す動き2008年9月15日にリーマン・ブラザーズが経営破綻し、世界的な金融危機が発生してから今年で10年となる。米ノースウエスタン大学のローレンス・クリスティアーノ教授らは今年夏の「DSGEについて」という論文で、危機の前後でのマクロ経済学モデルの変化を回顧している。DSGEとは
インド南部チェンナイはスマートフォンなどの生産拠点として、製造業の中心都市の座を確実にするはずだった。だが最近、芳しくない理由で注目されている。水不足だ。700万人規模とされる住民は数カ月もの間、列をつくり給水車などによる水の配給に頼って生き延びている。水の供給が、経済成長の課題として立ちはだかる。こうした苦難は、アジアのほかの新興国が直面しかねない問題の象徴といえる。外国企業は新興市場への
新卒採用など労働市場は売り手優位といわれて久しい。こうした状況をうらやむ30代後半~40代後半の人は少なくないだろう。バブル崩壊後に新卒の就活に挑まざるを得なかった「就職氷河期世代」である。筆者も同じ世代だ。今も彼らの苦境は続く。就業に結婚や子の誕生の影響を受けにくい男性も、35~49歳時の非正規雇用比率は10%前後、非労働力人口比率も4%前後だ。上の世代が同じ年齢だったころより高い。不本意に
日本の労働生産性は上昇基調が続いている。もう一段高いレベルに上げるには、企業の発想の転換が必要だろう。人工知能(AI)やロボットを活用して省人化・省力化するという発想がまだ根付いていないように感じる。外国人材を増やす取り組みも進むが、外国人の起用によりなるべく安い賃金で人材を雇う仕組みを維持するというのなら、生産性は向上しない。日本生産性本部が2017年のデータから算出したところ、1人の就業者
消費増税から3週間。思った以上に駆け込み需要は発生したが、軽減税率などの対策で表向きは平穏だ。だが、10月中旬の大手流通の決算では百貨店やスーパーの店舗閉鎖などリストラ策が目白押しだった。ふり返ると1997年からの税率アップの時期は再編・淘汰を促している。今回は成長戦略が見えないだけに長期にわたる再編劇が始まる予兆かもしれない。9月末で閉鎖した伊勢丹府中店(東京都府中市)、相模原店(相模原市)
少額投資非課税制度(NISA)が大きく変わる。2014年に始まった非課税期間5年、年の拠出枠120万円の一般NISAは新たに拠出できるのが2023年までだったが、「新NISA」では28年まで拠出できるようになる。18年に始まった非課税期間20年、年の拠出枠40万円のつみたてNISAも拠出できる期間が42年まで(これまでは37年まで)に延長される。2つのNISAは同じ年に両方は使えず、どちらかを選ぶ
2018年に亡くなった漫画家さくらももこさんの代表作「ちびまる子ちゃん」は、アジアをはじめ海外でも愛されてきた。中国語圏では「小丸子」で知られる。人気の原動力はなんといってもアニメーション。香港や台湾ではテレビで放映され、大陸でもDVDが出回ってきた。中国語圏で好評を博した象徴ともいえるのが、香港の歌手デニス・ホー(何韻詩)さんのうたった「小丸子的心事」(ちびまる子ちゃんの心配事)である。アニ
イチゴの生産量で半世紀にわたって全国一の座に君臨し続ける栃木県。「いちご王国」とも称されるこの県を代表する品種の「とちおとめ」と、今シーズンから本格的に出荷が始まった新しい品種を食べ比べてみた。まず、とちおとめ。口に含むと甘みとともに酸味が広がり、いかにもイチゴらしい味を確認できる。これに対し新品種は、酸味がほとんどなく、甘みが前面に出る。名前は「栃木i37号」。愛称はまだない。栃木県のイチ
ポイント○フィンランドが2年間の給付実験を実施○無報酬労働の認知や性別役割分業に影響○基礎年金の税財源化や児童手当普遍化をベーシックインカム(BI)が世界的に注目を集めている。本稿では、フィンランド政府が2018年末まで2年間実施したBI給付実験の暫定調査結果に基づき、BIの展望と課題を検討したい。BIとはすべての人が権利として(1)個人単位で(世帯主ではなく)(2)無条件で(稼働能力の活用な
育児休業を取得する男性が増えてきた。核家族化が進み、女性だけに負担を強いるわけにはいかない。政府も取得促進へ旗を振る。だが、職場での仕事の肩代わりや休む期間などクリアすべき課題はたくさんある。政治や企業の役割は何か。個人はどんな意識を持つべきか。考えてみる。◇ ◇ ◇義務化掲げ議論起こす 衆院議員 和田義明氏深刻な少子化問題を踏まえ、自民党で「男性の育休『義務化』を目指す議員連盟」を立ち上げ
住宅は長年、資産としての価値が注目されてきた。高度成長期以来の「住宅すごろく」では、賃貸から新築の持ち家に住み替え、一国一城のあるじとなるのがゴールだ。住宅すごろくの家は成功の指標で、人並みの家を持つことが幸福の証しだった。だが、人口が減少し空き家が増え、住宅は資産にならないと感じる人も出てきた。住む側も供給側も家に対する考え方を変えるときが来たのではないか。私が所長を務める不動産情報サービス