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酒を呑むオタク/ﾈﾀﾂｲの物置/転載,まとめ行為禁止/ダラダラと長くTLにお邪魔するのでミュート、ブロック等自衛をお願いします。私自身も自衛策は適宜取ります/何かあれば直接DMへメッセージをどうぞ。フォームも置き直しました。
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四月馬鹿の日に悪戯心で「実は俺は女なんだ、誰にも言うなよ」と会社の自販機の前で真顔で分かりやすい嘘を吐いた江澄に、真顔で「そうでしたか」と頷いて一時間後に公的書類を揃えて営業部のど真ん中で求婚してきた海外事業部の藍曦臣先輩のせいで社内が阿鼻叫喚に陥った話をします(現代AU曦澄です)
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学生時代、明らかに特別扱いしてくる男の先輩に憧れに似た恋心を抱いて十数年、やんわりとした独占欲やら昔から変わらない特別扱いを受けながらもずっと何も言ってくれない相手に、これ以上は虚しいだけだと諦めて次の恋を探すことにした江澄の話をします(現代AU曦澄になる予定の話です)
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慢性的に肩凝りに悩まされている藍曦臣の体が遂に限界を迎えて思考が飛びそうになるなかで目についたマッサージ店に飛び込んだところ、長身の美人が無表情でゴリゴリほぐしてくれるのがクセになって週二で通うようになった五月の話をします(現代AU曦澄の話です)
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年末の繁忙期で人の心を失いかけていた江澄が残業を倒した帰り道で店じまいをしているケーキ屋の前でうっかり買わされたと思しきホールケーキを抱えて途方に暮れているイケメンとうっかり目が合ってしまって舌打ちしたクリスマスの夜の話をします(現代AU曦澄の話です)(短い話にしたいです)
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平日夜の映画館で二つ隣の席に座っていたスーツの男が号泣していて、さすがに見かねて使いかけのポケットティッシュをあげたのを切っ掛けにその男と《友達》になって遊びに行くようになった江澄の話をします(現代AU曦澄の話です)
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とあるイベントで出会ったイケメンと一夜を共にしたところあまりにも相性が良く、お互いに醜聞は御法度な職業だったのでそのままｾﾌ.ﾚ関係を続けることになった曦澄の話をします(現代AU曦澄の話です)
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通勤電車で大抵毎日同じ車両になり、何となく隣に立ったり座ったりしているイケメンがある日突然本ではなくスマホで何かを真剣に読むようになって興味本位でちらっと覗いてみたところ、自分が趣味で書いている一次小説だと気付いてしまってその場に崩れ落ちた会社員の江澄の話をします(現代AU曦澄です)
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冷え性の藍曦臣が時々通っている花屋でいつものように花を買い求めたところ、初めて対応してくれた男性店員に「俺より指が冷たい奴なんて初めて会ったぞ」と眉を顰められて何故か胸がきゅんとしてしまった話をします(現代AU曦澄の話です)
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営業部の江澄(社畜)が仕事を倒す為に早朝出勤してフロアの自販機でエナドリを買おうとしたところ、突然後ろから手が伸びてきて「せめて朝はお茶になさい」と総務部の藍曦臣に勝手にあったかい緑茶のボタンを押された日の話をします(現代AU曦澄の話になります)
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チョコの催事会場で立ち竦んでいるイケメンに、このままだと通行の邪魔だなと別のフロアから応援で駆り出されていた江澄が声を掛けたところ何故か懐かれてしまった話をします。(現代AU曦澄になる予定です)(季節ものなので短く纏める予定です)
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ドラマで共演することになった相手と作中内で歌う曲を実際にリリースすることになった若手俳優の江澄が共演相手の藍曦臣の歌声に惚れ込んでしまい、楽屋で「おやすみボイス録らせて下さい！」と頼み込むと藍曦臣が笑顔で「おやすみだけでいいのかな？」と切り返してきた話をします(現代AU曦澄の話です)
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龍人族の藍曦臣(五歳)が弟と喧嘩をして家を飛び出したものの迷子になってしまい、このまま家出をしようとフラフラ飛び回った挙句体力が尽きて行き倒れ、偶々通りがかった猫人族の一家に拾われて赤ちゃん猫のお守り係をすることになった話をします(ファンタジーパロ話になります)(曦澄にはなる筈です)
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「仕事と私、どっちが大事なの？！」と聞かれて「仕事」と即答した江澄が誕生日間近で振られて、仕事帰りにヤケ酒をしていた時にたまたま相席になった相手の顔があまりに好みで勢いで連れ帰ったものの、翌朝よく見なくてもその人が男だったので頭を抱えた話をします。(現代AU曦澄の話です)
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昔旅先で出会ったえらく顔の良い男とメッセージのやり取りを続けていた江澄が諸事情あって色々と区切りをつける為に少し長めの一人旅に出ることにしたのに、行きの飛行機の隣席に座っていたのが例の男で、客室乗務員に座席の変更が出来ないかと泣きついて断られる話をします(現代AU曦澄の話になります)
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休日の朝7時前、空腹で目が覚めた江澄がパン屋なら開いてるだろうと近所の店に赴くと、通りすがりの喫茶店の窓越しに店内で客と思しき女性が店員と思しき長身の男とキスをしているのを見てしまい、ついでにその男と目が合って、ドン引きの顔を晒してしまった受難の日の話をします(現代AU曦澄の話です)
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幼馴染のお兄さんがこちらを心配して事あるごとに色々声を掛けてきたり確認してきたりするので「好きにしていいよ」と言ってしまったが故に、十年経った今も爽やかに常にどこかから見守ってきている系のアレな人に変貌を遂げてしまって頭を抱えている江澄(大学二年)の話をします(現代AU曦澄の予定です)
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隣同士の家に住む幼馴染の藍曦臣と江澄、毎年お互いの誕生日を10/22に祝っていたのに「今年は先約がある」と江澄に言われてあまりのショックに高熱を出した藍曦臣が自分の気持ちに気付いてしまい、こうなったら彼を振り向かせようと奮闘する、とても短い話をします。(現代AU曦澄の話です)
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出来心で書きました。某コンサートで目撃した一部始終があまりにも良かったので曦澄で書きました。現代AU曦澄で、アイドル×連れて来られた一般人です。
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ある日を境に上の階の住人の足音が気になるようになってしまってさすがに少し注意してほしいとクレームを入れたら菓子折を持っためちゃくちゃ顔色の悪いイケメンがやって来て話しているうちに玄関先で倒れたので途方に暮れた江澄の話をします(現代AU曦澄になる予定の話です)
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戸建に独りで暮らしている江澄が十年以上空き家だった隣家に誰かがひっそりと越してきたことを知り、同時期に町内会のお歴々に頼まれて町内会への入会と会費を徴収する為に赴くと、芸能人のように美しい男が姿を見せたので、この家は幽霊屋敷だったかとその日は逃げ帰る話をします(現代AU曦澄の話です)
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梅雨入りしたのに週末にしか雨が降らず、洗濯物が溜まってしまって仕方なくコインランドリーに行ったら考えることは皆同じようで、辛うじて空いていた最後の一台の前で同じように洗濯物の袋を抱えた男と鉢合わせしてしまって二人で顔を見合わせたある雨の休日の朝八時の話をします(現代AU曦澄の話です)
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地方の仕事の中途半端な空き時間に海を見に行った会社員の藍曦臣が、何か波の合間に浮かんでいるな、何かなと思って目を凝らしつつ波打ち際に近付いていたところ、後ろから「こんな所で死ぬな迷惑だ」とタックルをかましてきた男共々二人でずぶ濡れになった秋の午後の話をします(現代AU曦澄の話です)
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仕事に疲れ果てた江澄がもう限界だなと悟った日に通りすがりの美容院に飛び込んでシャンプーブローをしてもらったらあまりにも気持ちよくてうっかりハマってしまった話をします。(現代AU曦澄の話です)
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朝天気予報を見て入れたはずの折り畳み傘が鞄の中になくて、あまりの初歩的なミスに会社のエントランスで項垂れた藍曦臣が「傘無いのか、入ってくか？」と同僚の江澄に声を掛けられて駅まで相合傘をした金曜の夜の帰り道の短い話をします。(現代AU曦澄にいずれなる話です)
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あれほど躊躇っていたのに、一度口にすれば何度でも口にしたくなるのが困りものだなと思いつつ、江澄は両想いになった途端に遠距離恋愛になるという事実をどのタイミングにこの男に明かしてやろうかと悪戯心を疼かせて、半泣きの藍曦臣を横目にイカ墨のパエリアを笑顔で追加注文したのでした。めでたし
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加減してもらえませんか、と告げた瞬間に思い切り押されて、藍曦臣は呻きながら笑ってしまいました。昨日漸く知人から関係性を変えてくれた大切な人の手荒な照れ隠しに、痛気持ちいいこの御礼は同等の痛気持ちよさをもって返そうと心に決めて煩悶している恋人の優しい手を享受したのでした。めでたし。
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告げると藍先輩は嬉しそうに破顔して頷きました。その顔を見ていたら諸々のことは瑣末ごとだなと思えてきました。
好きだ、と不意打ちで言うと赤くなった藍先輩に抱き込まれて、私も好きだよ、と返されました。その直球の言葉に何よりも安心して江澄は躊躇いながらも彼に抱き付いたのでした。めでたし
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ホテルのラウンジで一杯楽しんでいた藍曦臣が、生演奏の演奏で聞こえてきたピアノ曲のタイトルが思い出せなくて悶々とする話をします。(現代AU曦澄の話です)
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嘘で始まったはずの関係が嘘ではなかったという事実だけで口元が緩みそうになるのを、結局外すことなく左の薬指に輝く指輪を押し付けて隠しながら、今夜は寝る前に頬にキスをしてやろうと決めて、自販機に向き直った江澄は勢いよくブラックコーヒーの缶のボタンを押したのでした。めでたし。
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一日乗り切らせてくださってありがとうございましたの気持ちでjamさんに献上したSSです。公開の許可を得たので載せておきます。出来ていない二人です。(1/2)
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「俺も、行きたい」
少し掠れてしまった声に唇を噛むより早く、指にグッと強く力が込められて顔を上げました。思いのほか赤い顔で見つめ返してくる藍曦臣に瞬いて、あんたも割と素直だよと思わず笑ってしまいました。この後雨が降るなら二人で閉じ篭ろうと決めて繋いだ指を絡め直しました。めでたし。
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口の中に押し込まれて、そのまままた唇を塞がれました。
その時、カーテンを開けたままの窓の向こうで、隣家の庭で水遣りをしている奥方と目が合いました。慌てて離れましたが、頬に手を当てて喜色満面で何かを叫んでいる奥方の姿に二人で顔を見合わせて、声をあげて笑ったのでした。めでたし。
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こっそり取置き依頼をした店舗のスタッフが楽しげに目配せしながらデコラティブに包装してくれているらしい紙包を掲げて見せてくれるのに笑って肩を竦めて応え今夜あれを渡したら藍曦臣は喜んでくれるだろうなとにやりとしながら人波の絶えないフロアへ「走らないで下さい」と叫んだのでした。めでたし
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次は無いからな、もう付けるなよ、とメッセージを送りながら、初めて彼から残された情事の痕跡に胸が苦しくなって、そうか、これが恋か、と一人で嗤いました。
もう終わりにしないとな、とそう呟いて、自分の声が悲痛に響いて聞こえて、また嗤いました。
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事実に一気に上せそうになりながら藍曦臣は湯舟のお湯で顔を洗いました。オレンジとジンジャーの香りのするお湯で更に自分の熱を上げ、その勢いで藍曦臣も早々に浴室を出ました。斯くなる上は何が何でも一矢報おうと下唇を舐めて決意を胸に秘め、決戦場となるリビングへと踏み込んだのでした。めでたし
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数年前のあの日映画館で出会った男とこんなことになるとは思ってもいませんでしたが、事実は小説より奇なりっていうもんな、と唇を緩ませて、前を向く恋人を横目で見つめ、今日の映画の地球を救う精鋭達のラストシーンに絶対泣くであろう恋人の為に江澄はこっそりハンカチを準備したのでした。めでたし
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何年君を好きだと思っているんだい。
そう微笑んで、藍曦臣は少し身を乗り出してきました。柔らかく唇を啄まれて、何だか妙に照れてしまって、江澄はそのまま目を瞑って寝たふりをすることにしました。
いつか自分も好きだと言える日が来るのだろうかと、少しだけ不安になりました。
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メッセージに気付いた藍曦臣が背後で小さく笑い、少しの間を置いて自分のマグカップを持って江澄の隣に座りました。そして真剣な面持ちで前のめりになりながらスマホの画面を見つめだします。その横顔を見て、江澄は幸せだなとしみじみ思いながら彼が読み終わるのをのんびり待つのでした。めでたし。
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誰かに期待をしたり誰かを信じたりすることを諦めていた江澄に根気強く付き合ってくれる相手などこの男以外にはもう二度と現れないでしょう。こうなったら死ぬまで付き合わせてやる、と一人頷き、ついでに数年越しに請われている同居にも頷こうと藍曦臣の名を呼んだのでした。めでたし。
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「ない。上手いな」
「それは良かった」
「今更だが俺が相手で良かったのか？昨夜は他にも誘いたがっていた美人が多かったようだが」
振り返ってそう言うと、男は不思議そうに瞬きました。
「あの場に君以上の美人が居たかな？」
その台詞に、慣れているなと肩を竦めて江澄は起き上がりました。
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美味しい、としみじみ呟く藍曦臣に、良かったな、と返しながら江澄はふと、幸せだなと思いました。口に出すことでもない、と黙ったままカップを口に運びつつ、この幸せを持続させる為に少しは自分でも健康にも気を遣うべきかな、と甘えてくる藍曦臣の髪を撫でながら唇を緩めたのでした。めでたし。
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ただ藍曦臣がその為に阿澄とも血脈を混ぜた生きものを誕生させようとしているのは恐らく気付いていないように思います。ふたりの血を継ぐ子は可愛いと思うのできっと理解してくれるでしょう。一刻も早く生み出せるよう頑張るぞ、と心意気新たに晴天の空を見上げて藍曦臣は拳を握ったのでした。めでたし
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「それは録音ではなくて実際に私が言えばいいのでは？」と藍曦臣に押し切られ、結局江澄は目的の台詞は直接本人からハグとキス付きで言われる生活を二ヶ月後から送ることになりました。よく判らんが幸せだからまぁいいかと思いつつ、今夜も藍曦臣の声と温もりで江澄は眠りにつくのでした。めでたし。
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もっと甘えてほしいなぁとニコニコと江澄を抱き締めてくる藍曦臣と、仲良いなぁとニコニコしている思追と、おじさん人間が丸くなったなとニヤニヤしている金凌と、それ以上やるなら部屋戻ってよと嘆息する帰省中の景儀に囲まれて、うちの家族は最高だなとやけくそのように江澄は笑うのでした。めでたし
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という彼からのメッセージに気付いたのはその日の夕方になってからでした。どこまで本気なのかと改めて首を捻りましたが、まさか翌週早々に次の誘いが来るとはこの時の江澄は思ってもいませんでした。
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「…一杯だけだ」
「はい」
「不味かったら許さない」
吐き捨てるような江澄の返事にも男は微笑んだままです。江澄を中に入れると男は店の看板をしまって、表の札を準備中にひっくり返しました。それを横目にして、江澄は足を止めずにさっさと帰ればよかったとパンの袋を抱え直して溜息を吐きました。
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感謝の気持ちを形にすべく、その日も店に行って回数券の買い増しと江澄の予約を四回分入れておきました。指名料は個人へ還元されるそうです。隣でそれを見ていた江澄は「俺にそんなに課金してどうする…」と呆れた顔をしていましたがそんな表情も見せてもらえるのかと藍曦臣は更に予約を増やしました。
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次に会った時、意識をしないように、あくまでこれまで通りに、と考えすぎたせいかどこかぎこちなくなってしまったようで藍曦臣にひどく心配されました。首までしっかり布団に包まれ、その上から抱き寄せられて一晩中あやされながら眠りました。初めて何もしないで二人で眠った夜でした。
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体勢を崩してしまいました。危ないだろうが、と顔を上げながら睨みましたが、何故かとてもにこやかな藍曦臣にそのまま引き摺り込まれ、もう一度髪も体も洗い直しになる羽目に陥りました。三時間後、気に食わないことは口で言えとベッドに沈み込みながら江澄が言うと、善処するよと笑顔で返されました。
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トレースしながら今週の江澄へのお土産の都内店限定のプリンの箱を持ち直して、早く帰りたいな、とホームに入ってきた電車の音に目を細めつつ、そっと呟いたのでした。めでたし。
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藍曦臣が今撮影しているという映画のロケ先の話を聞きながら、江澄は数日前まで海外で撮影していたことも影響してそのまま熟睡しました。翌日、君が離してくれなかったからね、と笑う藍曦臣と二人でホテルを出てタクシー乗場で手を振って別れました。二人で泊まるのは初日以来だなとふと思いました。
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イラスト最高ですの気持ちを感想文にしたためたところ、目眼様から公開の許可をいただきましたので添えさせていただきます。最高のイラストありがとうございました！！
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もう少し慎重にいこうと思っていた、恋愛対象に性差はない、初対面から気になっていた、と次々に繰り出される言葉はドラマや小説の中だけでしか接してこなかったものばかりで江澄はひどく混乱しました。ゆっくり考えて、という言葉に見送られて帰路に着いた江澄は不意に良い機会なのではと思いました。
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じっと見つめていると視線に気付いたのか江氏が振り返りました。一瞬惚けた顔をして、そしてふにゃりと笑いました。
「あんたもこういうとこ来るんだな」
「え、あ、はい」
「ふふ、飲み過ぎはダメだからな」
血管が収縮するんだと笑ってゆっくりと目を閉じます。すうと寝息が聞こえて途方に暮れました
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そんなある日、たまたま楽屋で誰かが見逃し配信で見ていたインタビュー形式のバラエティー番組で、藍曦臣が「もう何年も片想い中ですよ」と柔らかく言うのを聞いて息を止めました。
聞いてねえぞそんな話、とその誰かのスマホの画面を凝視しました。
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プロ意識は俺にもある、と言って喉を逸らしてグラスを空けると、ふうんと鼻を鳴らした魏嬰が江澄の耳に口を寄せました。
「プロ意識があるのは何よりだ。ただ抱かれ慣れた色気が押し殺せてないのはいただけないな」
見る人が見たら分かるぞ。そう言って笑う魏嬰に、江澄は言葉が返さず息を止めました。
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そんなふうにしてまた一年を過ごして、江澄は藍先輩を見送りました。最高学府に進学した彼を追うのは難しいなと肩を落としていましたが、「判らないところは教えるからまた一緒に通おうね」と笑顔で言われてしまって江澄の猛勉強が確定しました。健気だよなと自分で笑いました。それでも勉強しました。
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確認しておこうと思ってそれきりすっかり忘れていました。思い出したのは土曜に食料品の買い出しに行った先のスーパーで近所の町内会長から「隣越してきたろ？町内会入るように言っといてくれ」と言われたからでした。そういえばそうだなと思って買い出したものを一度帰って片した後、隣家を訪ねました
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困ったように眉を下げました。
「何でしょうね」
「は？」
「これでご縁が途切れるのが惜しいな、と」
「…そういうことを言うから勘違いされるんだぞ」
呆れたように江澄が言うと「本気なんですけどね」と言いながら引き寄せられて目元に唇を寄せられました。ｽｹｺﾏｼめと罵って平手打ちしました。
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マッサージ屋に通うようになって季節が三つ変わっても、担当江氏は殆ど表情を変えず無駄口も叩かず世間話も皆無で淡々と藍曦臣の肩や背中の張りと凝りをほぐすだけです。嫌われてはいないと思いますが他の客やスタッフのやり取りが聞こえてくるのを耳にするとほんの少し寂しい気持ちになったりもします
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受験を控えた冬、お守りがわりにと藍先輩からは筆記具とカイロを貰いました。指先を冷やさないようにね、とさり気なく触れられて、その場は平気でしたが帰宅してから江澄はベッドの上で転げ回りました。覚えた単語が全部零れ落ちるかと思いました。落ちたらあの人のせいだとちょっと涙目になりました。
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誕生日プレゼントにはブレスレットを用意しています。指輪は来年かな、と思いながら、藍曦臣は窓越しに電気の消えた江澄の部屋に向かってお休みと囁いて、万全の体調にすべくいそいそと布団に入ったのでした。多分めでたし。
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職務上の衝突は致し方ありませんしそれを引きずることもないのですがあまりにも彼らが陽キャで良い人達なので江澄の部下達は毎回自席に戻ってきては頭を抱えて悔しがっています。お前も愛嬌のある顔だよと慰めたところ、江澄さんは顔が良いから!あいつらに負けてないから!と泣かれました。解せません。
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シャワーは固辞して自宅へ戻り、完全に乾いていた洗濯物を取り込み、シャワーを浴びて、日の翳った頃隣家の呼び鈴を鳴らしました。今度はちゃんと応答があり、電気のついた廊下を進んで先程江澄が磨き上げたリビングへ入りました。
壁際にシェフが並ぶタイプのケータリングが来ていて目を剥きました。
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きっかり一時間で彼は藍曦臣の肩と背中を一昨日の施術後の状態にしてくれました。会計の際に翌日の予約を申し出ると「そうしてください」と真顔のまま告げられました。切れ長の美しい目元をが冷ややかに瞬いて「自分が担当します、宜しいですか」と問われたので願ったり叶ったりだと何度も頷きました。
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美味いよ。そう言うと男はまた泣きました。珈琲を飲み干して、今夜はちょっと良い肉を焼くからなと笑ってやりました。
男の声が戻ったのはその翌日のことでした。藍渙という名はその時に彼から教えられました。その後十日ほど彼は江澄の部屋にいて、そしてある日分厚い封筒を残していなくなりました。
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その晩、藍先輩から貰った物を全て一つの箱に入れて仕舞いました。捨てる勇気はまだありません。次の約束の予定を問う彼からのメールには暫く忙しいと返信すると決めました。
彼に恋人が出来てもこれまで以上になりふり構わず追いかけてしまう自覚があります。今のうちに自分で幕を引きたいのです。
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「今年のはシナノゴールドらしいよ」とやはり特注で依頼したらしいホールのアップルパイを切り分ける藍曦臣の横顔を堪能しつつ、江澄はこうして過ごす誕生日が何よりも嬉しくて幸せだと感じながら、祝ってもらった分今夜はサービスしてやるかとカップの陰でぺろりと舌舐めずりしたのでした。めでたし。
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その後普通に食事をして、観る約束をしていた映画を配信で観て、感想を言い合っているうちに夜になったので家にあるもので適当に夕食にしてベッドとソファーに分かれてお休みと言い合って横になって、漸く江澄は「いやダメだろ」と起き上がりました。何が、と眠そうな藍曦臣を叩き起こして正座しました
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それから二年間、江澄は程々にクラスメイトとじゃれ合いながらも部活に所属することはなく日々を過ごしました。藍先輩とは時折電話で話しました。長期休みの時には図書館で会って一緒に勉強しました。顔を上げて時々目が合って微笑み合うだけで江澄は幸せでした。帰り道に並んで歩けるのも幸せでした。
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その気持ちに今は甘えてみようと思えるようになった自分は成長出来ているのでは、と感じています。その晩会った瞬間に「不用意に男の欲を煽るのはいけません！」と半泣きで藍曦臣から説教を喰らうとは夢にも思わず、江澄は昼の日差しの下で大人な自分に浸ってにんまりと笑っていたのでした。めでたし。
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いっそ酔っ払いに見えていればいい、それならば江澄に抱きついてもおかしくは見えないだろうと頭の片隅で考えながら、苦虫を噛み潰したような江澄の赤く染まった耳朶を見て、藍曦臣はそのままの勢いで江澄に抱きついて思い切り鳩尾を殴られ、この週末で相互理解を深めようと決意したのでした。めでたし
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一瞬手が触れました。その手が驚く程冷たくて江澄が反射的に手を引くと、藍と名乗った男は苦く微笑んで「すみません」とだけ言いました。いえ、と返しながらも言いようのない居心地の悪さを感じてしまい、江澄はすぐに踵を返しました。逃げるような形になってしまったと気付いたのは門を閉めた時でした
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そのうち慣れてしまうんだろうな、と思いながら歩き出そうとして江澄は足を止めました。
「おかえり」
家路に向かう曲がり角のガードレールにもたれるようにして藍先輩が微笑んで立っていました。
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普段ならば三分と掛からず到着する距離を十分以上掛かって到着した職場の向かいのビルは、いくつかのテナントが入った商業ビルのようです。その三階に横文字で記された店名の下にマッサージと添えられていて、もう殆ど動かない思考でここだなと辛うじて判断してなんとかその店のドアを押し開けました。
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それでも彼と同じ会社を受けてしまうんだろうなと思いながら、去年藍先輩に誕生日プレゼントだと言���れて渡された革のブレスレットを手首に巻きました。軽いその存在感を確かめるように指で何とも触れて、江澄は学校へ向かいました。街中に流れるラブソングを聴きたくなくてイヤフォンを耳に差しました
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そう言うと幾度か瞬いた後で藍渙は泣きそうな顔で笑いました。そして、ありがとう、と殆ど泣いている声で告げました。
江澄はその声を聞いて満足しました。動物も人間も、途中でいなくなることのほうが昔から堪える性質なのです。最後まで面倒を見てやろうと密かに心に決めました。
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いつの間にか慣れてしまった彼との距離も、体温も、他愛無いやり取りも、いつか終わるんだなと思ったらはっきりと胸が軋むのが分かって、自分勝手な男だなと江澄は自嘲したのでした。
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万が一次に会う機会があれば何かしらで向こうを動揺させてやりたい、とそう思いつつ、江澄は催事フロアへと軽い足取りで戻っていきました。
翌日から彼が通い詰めてくるとは、この時にはまだ夢にも思っていませんでした。
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「自分を安売りするつもりもない」
「是非そうして。君の体が空くのをいつまでも待つよ」
「…言い方が気に食わない」
「すまない、でももう君無しの生活なんて考えられないんだ」
私を見捨てないで、と囁く声が熱っぽくなってしまいました。バーテンが「いかがわしい会話に聞こえるな」と呟きました。
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その十時間後に「おや、今日は仕事のキリが良さそうですね。ちょうど定時ですし、折角ですから私と帰りましょうか」と否定を許さない絶対的善のオーラを纏った藍曦臣に拉致られ、偶には温かいご飯を食べなさい、と定食屋でサシ飯をすることになるとはこの時の江澄は予想だにしていませんでした。
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江澄も名前と年齢を名乗り会社員であることを告げました。
「趣味らしいものはないな、家でぼんやりしているか寝ているかだ」
「自分の体を大切にしようという気持ちの現れだね、良いことじゃないか」
そう返されて江澄は驚きました。そんなふうに言ってもらったのは初めてでした。新鮮な心地でした。
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翌日たっぷり眠った藍曦臣はすっかり元気になりました。昨日の猫耳の綺麗な女の人は藍曦臣と同い年くらいの女の子を連れて朝ごはんを持ってきてくれました。女の子は一緒に食べましょうと笑ってくれました。なんだか嬉しくて涙が出ました。泣き虫ねえと言いながら女の人は抱き締めてくれました。
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それなりに長く生きてきたなかでも、今夜のことはきっとこの先もちゃんと思い出すことのできる良い年越しの想い出になるだろうなと唇を綻ばせて、江澄は「宜しくな」と声を掠れさせながら抱き寄せてくる藍曦臣の肩に頭を寄せて、テレビから聞こえる新年の寿ぎに目を閉じて聞き入ったのでした。めでたし
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何だったかと手元で揺れる珈琲の波紋を見つめて、考えるよりも先に口を開きました。
「…阿渙？」
そう呼ぶと、目の前のイケメンはとろけるような笑みを浮かべました。
「ご無沙汰しております、江澄」
あの時はありがとうございました。そう微笑む顔は確かにあの骸骨男が部屋を去る時の顔と同じでした
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江澄が職を変えることなく勤め続けている会社はそれなりに海外展開も行い、国内シェアも五本指には入るという上場企業です。ボーナスもちゃんと出ますしこのまま勤め上げれば老後の心配もなかろうと退職金を見込みつつ財形をして、毎月残った手元のお金で二度か三度バーで酒を呑むのが江澄の楽しみです
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他人の視線をかいくぐって密かに触れ合うのも楽しみの一つ、とわざと分からないふりをして答えを強請る時もあります。果たして江澄にいつまで露見せずにいられるだろうと藍曦臣はささやかなスリルもまた楽しみながら今夜も江澄のリクエストに応えるべく己の喉にそっと手を当てるのでした。めでたし。
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新たな友人と呼ぶにはまだ面映い心地のする相手が出来たことを静かに喜びながら、藍曦臣は今夜も冷え切った指先を江澄の淹れてくれた生姜湯で温めるのでした。
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確かにマグカップ一杯分の柚子湯は気持ちを宥めてくれましたし子供のように泣いてしまった気恥ずかしさをどう誤魔化そうか考えながら藍曦臣がふと顔を上げると、妙な顔をした江澄が腕を組んで見下ろしてきています。瞬くと、嘆息して江澄はしゃがみ込みました。
「…で？大切な人って何のことだ？」
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「…避ける努力をする前提だな？」
「うん」
「俺の視界に入らないように意識してくれるんだな？」
「そうだね」
「それなら、…いい」
「本当に？」
問われて江澄は「好きにしていい」と俯いたまま言いました。藍曦臣がボイスレコーダーを握り、とてもいい笑顔になったことには気付きませんでした。
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