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Kazuki T.

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国語教師|博士(比較文学)|異なる文化の出会いをテーマに小説を書いています|英国エディンバラで三島由紀夫とオスカー・ワイルドを研究していました|ショートケーキが好き

Tokyo-to, Japan
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Kazuki T.
2 years
#名刺がわりの小説10選 です。 豊饒の海/三島由紀夫 獄中記/ワイルド 日の名残/カズオ・イシグロ 歯車/芥川龍之介 侍/遠藤周作 戻り川心中/連城三紀彦 博士の愛した数式/小川洋子 村田エフェンディ滞土録/梨木香歩 シュナの旅/宮崎駿 欅の木/谷口ジロー、内海隆一郎
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Kazuki T.
1 year
X(Twitter)を始めて、2度目の風船が舞いました。🎈 いつも支えてくださる、多くの方々に感謝です。 これからも読書を通じて、いっしょに豊かな時間を過ごしていきたいと思っています。 これからもよろしくお願いいたします。🙇
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Kazuki T.
11 months
夏目漱石『それから』 前期三部作の二作目です。高等遊民とされる主人公と友人夫妻の関係性から、個の確立は他者との関わりから形づくられる、ということが示されるようです。それは安全のために距離を取ることに比べると、身を裂くような覚悟を強いるのでしょう。最後の描写はその厳しさを感じます。
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8 months
原田マハさん『ジヴェルニーの食卓』 印象派の画家たちを中心とした短編集です。虚構も織り交ぜながら紡ぎ出された物語は、画家たちが描く名画のような美しさを持っています。描かれる対象と描き手が通い合い、そこに本を読んでいる自分までもが溶け合っていくような、不思議なつながりを感じます。
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Kazuki T.
8 months
遠藤周作『悲しみの歌』 『海と毒薬』に登場した医師の、その後が描かれます。新宿の小さな医院に、さまざまな生と死の物語が展開します。価値観や倫理観を揺さぶられ、苦しみ続ける主人公。答えのない懊悩に対する<救い>を考えさせられました。後の小説『深い河』にもつながるテーマを感じます。
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11 months
夏目漱石「夢十夜」 夢にまつわる短編集。待つ身と待たれる身、見つける側と探される側…。さまざまな違いが逆転し、一体化していきます。英国に留学し、洋の東西のはざまで探究を試みた著者。生誕から100余年が経過した今、第一夜のように時空を超えた著者とのつながり、東西のつながりを思います。
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Kazuki T.
9 months
古内一絵さん『マカン・マラン』 路地裏にひっそり佇む食堂を舞台とした連作短編集です。現代社会で、人はさまざまな要因で分類され、そこに生じる固定観念や表面的な理解の陰で傷つきます。あたたかい料理と言葉が、枠を超えようと苦しむ人たちへのエールとなって、読者の心にもしみじみと残ります。
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Kazuki T.
8 months
永井紗耶子さん『木挽町のあだ討ち』 あだ討ちを異なる視点から描く作品です。一件に関わった人たちの来し方を絡めていくことで、異なる思いや感情が併存する、社会と人の心の多元性が垣間見えます。浮かび上がる事実に示される、武士のみならず芸の世界に生きる人たちの誇りと情に涙を誘われました。
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6 months
夏川草介さん『スピノザの診察室』 京都で<治る人>と<治らない人>に向き合う若き内視鏡医師。「見送ること」の難しさを語る言葉に、命に対する謙虚さを感じます。人の思いや力では、どうにもならないことだからこそ<絶望>ではなく<希望>を見る。そこで他者と手を携える大切さを思いました。
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Kazuki T.
3 months
谷崎潤一郎『春琴抄』 戦前発表の、三味線奏者とその丁稚をめぐる極限の献身の物語。名人芸とも言える独特の文体に驚き、ミステリー色もある話に背筋が凍りつきます。横暴に見える振る舞いもありますが、読んでいて、自分も同じように他者に大きな犠牲を強いているかもしれない、と自らを省みました。
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Kazuki T.
6 months
宮本輝さん「泥の河」 戦後の経済成長のころ、いっしょに時間を過ごした子どもたちの物語です。繁栄へ向かう裏で、時代は戦争の傷跡など、どこか翳りを帯びています。年少者の目を通して描かれる、わずかな出会いとふれあい。そこに生きる人々の、ささやかな喜びと悲しみが浮かび上がりました。
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1 year
井伏鱒二『黒い雨』 原爆の後に降った、放射性物質を含んだ黒い雨。雨に打たれたことで、体は少しずつ病に冒されていきます。徐々に死に向かう恐ろしさ、結婚など将来をめぐる苦悩…。作中の憤りと悔しさから、戦争がいかに長きにわたって深い傷を残すかを痛切に感じます。一刻も早い平和を祈ります。
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Kazuki T.
4 months
夕木春央さん『十戒』 『方舟』同様、特殊なクローズドサークルが緻密に設定されています。ミステリーでありながら、捜査や推理は極限まで限定されてしまいます。この状況下で登場人物に何ができるのか、作者はどう展開できるのか? 緊張感とともに、他者を信頼すること難しさを作中から感じました。
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Kazuki T.
7 months
辻村深月さん『ツナグ』 ある程度の年齢になれば、誰もが大切な存在との別れを経験します。一度だけ再会できるなら、誰と会いたいですか、何を話したいですか? お互いを思いやる気持ちが通じ合うとき、人と人のつながりは生と死の違いを超えていくことを強く感じました(表紙写真はシリーズ2作目です)
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Kazuki T.
11 months
林明子さん『こんとあき』 ぬいぐるみと共に、遠くのおばあちゃんを訪ねる女の子。ぬいぐるみはいっしょに電車に乗り、おしゃべりし、お弁当も買ってきてくれます。そんな状況を不思議に思わず、迎え入れてくれる人たち。固定観念に囚われて、周囲のやさしさを受け取れていない自分を反省しました。
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1 year
スウィフト『ガリヴァー旅行記』 比喩にも使われる、有名な作品です。よく知られている小さな人の国のほかにも、巨人の国や日本が出てくる話もあります。綱渡りの上手な者ほど宮廷の高官になれる、卵の割り方くらいのことで戦争が起きる…。当時の社会への痛烈な批判は、現代も他人事ではなさそうです
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10 months
角田光代さん『八日目の蟬』 ある事件をきっかけに異なる土地へ流れていく女性と女の子。やがて、二人の絆は深まっていきますが、その関係に終わりが来ることは明らかでした。「血は水よりも濃し」と言いますが、人のつながりを判断するものは何なのか、という問題を考えさせられる作品でもあります。
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1 year
ダニエル・キイスさん『アルジャーノンに花束を』 人為的に変わっていく主人公の青年。その目を通して親子、友人を始めとする他者との、本当のつながりが問われていきます。そこに描かれる孤独や痛みを知るとき、知を包む愛ということを思います。物語の最後に、そのことが凝縮されているようです。
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Kazuki T.
5 months
三上延さん『ビブリア古書堂の事件手帖』 北鎌倉の古書店を舞台にした、日常の謎系の連作短編集。作品の内容理解を深める内側への矢印に対して、本の成立や変遷といった外側に焦点があてられます。そのとき一つの作品の姿が立体的に現れます。その物語はもはや本というよりも一人の人間のようでした。
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6 months
ミシェル・ビュッシ『黒い睡蓮』 モネの睡蓮の絵で知られる村で起きた事件が語られます。美しい風景と絵に関する言及が、物語の進行にアクセントを加えています。フランス小説らしい、細やかな描写の果てに、それまでの色合いが一気に反転します。そこに立ち現れる愛憎の入り混じった人の心を思います
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Kazuki T.
8 months
中島敦「李陵」 中国の前漢時代、三人の人物をめぐる物語で、作者の没後に発表された作品です。異民族との戦いに関わった人物たち。交流から違いを超えていくこと、信念を持ち続けること、さらに権力に屈しないことなど、それぞれの〈価値観の違い〉と〈誇り〉ということが問われているように思います
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9 months
安壇美緒さん『ラブカは静かに弓を持つ』 音楽教室を舞台とした信頼と再生の物語です。心が痛くなるような緊張感を持って展開します。師弟、仲間たちとのつながりの中で、人を信じることの本質が描かれます。一読者として、また弦楽器に関わる者の端くれとして、主人公の思いに大いに共感しました。
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1 year
恩田陸さん『蜜蜂と遠雷』 ピアノコンクールに賭ける人々の物語。登場人物たちは技術を競い、自分の限界に挑みます。音楽の描写が圧倒的で、演奏の様子が眼前に迫ってきます。読む行為は「文字」という映像を「音」に変換することとも言えます。音楽と文学がジャンルの境界を超えて溶け合うようです。
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5 months
丸山正樹さん『龍の耳を君に』 裁判における手話通訳士を主人公にした連作短編集。本シリーズを読んで、そうした役割があることや、日本語の手話に二種類あることなどを初めて知りました。同時に手話が他の言語と同様、一つの文化であることを教わり、心に刻みました。(表紙の写真はシリーズ2作目です)
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Kazuki T.
2 months
金子みすゞさん「わたしと小鳥とすずと」 80年代に再評価された、大正期の詩。多様性と他者への敬意が、言葉で語られます。国際化の中、思考の基盤である言葉が違えば、相手を認めて心を通わせることは困難になります。それでも言語の違いは障壁ではなく、お互いを豊かにするものと捉えたいと感じます
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9 months
寺地はるなさん『水を縫う』 刺繍の好きな男子高校生。彼の家族等に関する物語です。姉の結婚をきっかけとして、お互いの思いが動き出します。その過程で、好きなものは好きと、ある人は堂々と、別の人は胸の内で語ります。そこに生まれる人と人のつながりは、誇り高く、美しいと感じました。
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9 months
深沢七郎「楢山節考」 口減らしのために行われていたとされる、姥捨伝説に基づく作品です。自己犠牲という点と、丈夫な歯などに関する恥という点が描かれます。日本古来の土着的な因習の舞台と、それを覆う親子の情愛が読者に訴えかけます。新人賞の名だたる審査員たちが高く評価したのも頷けました。
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9 months
横山秀夫さん『ノースライト』 建築士である登場人物と新築の家をめぐる物語です。ミステリアスな始まりから、家に残されていた一つの椅子を軸に展開していきます。芸術であると同時に、実用性が求められる建築という分野の特殊性を感じます。無機物である家が、人とつながり、自然とも関わるようです
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5 months
ドストエフスキー『罪と罰』 犯罪を犯した主人公の内面で、露見することを恐れる気持ちと、見つかって楽になりたい思いが交錯します。正義として築いた論理が、浅はかな自己正当化にすぎないかもしれない。そう感じ始めたとき罪は、罰はどう規定されるのか? 知と心という普遍的なテーマを思いました
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Kazuki T.
4 months
青山美智子さん『リカバリーカバヒコ』 住宅地の公園にある、古くなったライド、カバヒコ周辺の人々の連作短編集。登場人物たちは、他者との関わりに心を傷めます。でも少しだけ見方を変えることで、そのつながりが力となります。人々の変化を見つめるカバヒコの目が、いつくしみにあふれています。
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Kazuki T.
1 year
安野光雅さん『旅の絵本』 セリフなど、一切の文字がない絵本です。小舟でやってきた旅人が馬に乗ってさまざまな場所を通り過ぎていきます。途中には童話や昔話、絵画の一場面がそっと隠されています。言葉はなくとも、たくさんの物語が浮かび上ります。世界中の人たちが楽しめる本だと思います。
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Kazuki T.
11 months
雫井脩介さん『つばさものがたり』 その身の困難を、強い意志で克服しながら進む主人公。ケーキ屋さんを舞台に、その甥と不思議な存在が、主人公の思いに寄り添っていきます。たとえ認識できなくとも、自らの歩みは多くの存在に支えられている。そんな時空を超えるサポートを感じられる作品です。
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Kazuki T.
11 months
横溝正史『獄門島』 国内ミステリで、常に上位にランクされる作品です。作者はクリスティーに触発され、日本ならではの趣向を凝らしたそうです。それに伴うモチーフと、ある決定的な要因で、おそらく翻訳は不可能だと思われます。その点も含めて戦争直後の翳りを帯びた、日本の様子が浮かび上がります
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Kazuki T.
10 months
『かさじぞう』 大晦日の夜の有名なお話しですが、今作では六体のお地蔵さまが、ある忘れ得ぬことの象徴になっています。やさしい絵や方言、お地蔵さまの笠や最後の手ぬぐいなど人の心のあたたかさが伝わります。世知辛い世の中だからこそ大切したい物語です。 皆さま、どうぞよいお年をお迎えください
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6 months
東野圭吾さん『ナミヤ雑貨店の奇蹟』 映画化もされた温かい作品です。すでに閉店したお店を接点に、手紙が過去と現在を行き来します。断片的な物語が最後に大きな流れとなります。「人と人の出会いは、思わぬところでつながる。私たちの生は直線ではなく、いくつもの円を描いていく」そう感じました。
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Kazuki T.
5 months
原田マハさん『<あの絵>のまえで』 日本国内の美術館に所蔵されている名画をモチーフにした短編集。実社会で疲れた人たちが絵との関わりから、再び一歩を踏み出していきます。つらい状況の中で勇気づけてくれる絵は、得難い友人のようです。そうした作品との出会いとつながりを求めていきたいです。
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Kazuki T.
6 months
トルストイ『戦争と平和』 登場人物が500人にも及ぶ壮大な物語。人が生まれ成長するように、人の集合体であるこの社会も世界も絶えず変化します。そこで結ばれる、人と人のつながりが歴史と呼ばれるのでしょう。ソビエト版映画ですべての人々が、それぞれに戦闘している、戦場の俯瞰が忘れられません。
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Kazuki T.
7 months
ボーモン夫人『美女と野獣』 フランスに伝わるお話しをもとにした作品です。現在はディズニーアニメが最も有名ですが、コクトーの映画でも知られています。自分のことより、人の幸せを喜び、悲しみにともに涙する登場人物たち。その素直な心を持って他者を思い、つながりたい、と改めて思いました。
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Kazuki T.
4 months
井伏鱒二「山椒魚」 教科書にも掲載された有名な作品です。進退極まった主人公が、優越感を感じたり、それがやせ我慢や寂しさだったりと、さまざまに表現されます。作者による改稿も議論されますが、私は身体の大きさと心の大きさという対比や、気持ちの通い合いということを思いました。
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Kazuki T.
11 months
芥川龍之介「鼻」 古典に材をとった短編です。主人公の容姿を笑う周囲の人々には、常に他者を批判し、そこに優越感を得る利己心が見えるようです。高徳であるはずの主人公が迷いを持つことには、人の弱さやいとおしさが感じられます。夏目漱石もそうした多面的な分析力を評価したのかもしれません。
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3 months
クリスティー『もの言えぬ証人』 ポアロとヘイスティングズの掛け合いが楽しい作品です。作者は人物造形が巧みで、それだけに心の多面性に驚かされます。本作はミステリーに必要な要素を意図的に欠落させていますが、それでも読んでいて惹き込まれるのは作者の、人を見つめる目の確かさだと感じました
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Kazuki T.
1 year
夏目漱石『三四郎』 明治期、<自我>や<個>の確立が大きなテーマであった時代。作中の「stray sheep」とは主人公だけでなく日本全体の姿でもあるようです。旧来の社会制度が崩れ、人々と社会はいきなり世界の海に投げ出されました。現代でもまだ漂っているのでは? そう問わずにおれません。
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Kazuki T.
10 months
ポー「モルグ街の殺人」 ミステリーの始祖とも呼ばれる短編です。作者は暗号、密室、意外な犯人など、一人でミステリーの型を完成させたと評価されています。さらに本作のゴシック小説特有の雰囲気が、英国や日本の小説に大きな影響を与えたように思います。謎と論理の対決が海を越えていくようです。
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7 months
安部公房『燃えつきた地図』 <失踪>三部作とも言われる一作。行方不明者の捜索で、主人公は記憶が曖昧になり、やがて自らを見失います。希望とも絶望とも言えない都会での失踪。作品出版から半世紀以上、ジャンル分けさえ無意味化する本作を読んで、私たちは現代のどこに自分を見出すのでしょうか?
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Kazuki T.
9 months
ハインライン『夏への扉』 SF古典とされる作品です。すべてを失った主人公が、技術の力で再起を図ります。発表から70年近く経ちますが、コールドスリープに時間旅行を絡めた展開は今も色褪せません。作中、猫は「夏への扉」を探します。私たちは、どんな世界を願って未来への扉を開けるのでしょうか?
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11 months
シェイクスピア『ヴェニスの商人』 借金の抵当=胸の肉1ポンドの裁判で有名な戯曲です。当時のステレオタイプな人間観を批判する声もあるようです。一方で、正義の捉え方、女性の活躍、法学的な解釈など多方面からの分析もできそうです。視点を変えれば、喜劇でありつつ悲劇でもあるように思います。
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11 months
米澤穂信さん『王とサーカス』 ネパールを舞台に王室をめぐる、実際の事件をベースとした作品です。言語や部族の異なる人たちが、斜面の多い国土に、身を寄せ合うように暮らす社会。それぞれの文化を継承しつつ、まとまることの難しさを思います。そこに報道することの本質が問いかけられます。
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Kazuki T.
9 months
森茉莉『父の帽子』 文豪・森鷗外の長女である著者のエッセイです。鷗外の実生活と著作との関わりなど、多角的に見ることができて興味深いです。時代を感じさせる言葉や表記、夢のような文章も特徴的です。多彩な描写の中、父「パッパ」への深い思いが、著者のゆるがぬ基軸となっていることを感じます
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11 months
竹山道雄「ビルマの竪琴」 第二次世界大戦のさなか、ビルマの戦線に派遣された兵士たち。戦地の歌声が人としてのあり方を模索するようです。亡き人たちを悼む楽の調べは、遠い地から生きて帰ることのない友への挽歌でしょうか。歌う人たち、それを聞く異郷の人たち。戦地の痛切な思いに心が傷みます。
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Kazuki T.
8 months
ハンス・フィッシャー『長ぐつをはいたねこ』 この版では二本足で歩く練習やポージングの研究など、猫の舞台裏の努力も描かれます。そして勢いのある絵と、それとは正反対の緻密な作戦が展開します。得意げな猫の見た目と、細やかな気遣いに多面的な存在を感じました。なおアニメ映画も楽しい傑作です
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Kazuki T.
2 months
原田マハさん『リボルバー』 突如、世に現れた一丁の古い銃。ゴッホ兄弟とゴーギャンに関して、美術史に残る謎が展開します。自らの芸術を極めんとする二人の画家の執念。過去と現在で作中人物たちが、二人に抱く思いは愛だと感じます。現代で彼らの絵に向かう私たちも、また同じ思いではでしょうか。
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Kazuki T.
7 months
カフカ「掟の前で」 文庫本わずか3ページの掌編、登場するのは主人公と門番の2人だけ。しかし語られる内容は、さまざまな疑問と解釈を生みます。なぜ壁ではなく門なのか? 時間は流れているのか、いないのか? 門番とは誰なのか? 幾多の思いを未分化のまま飲み込む作品に、存在の根源を感じました
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3 months
冲方丁さん『天地明察』 江戸期、新たな暦を創る難事業に挑む物語です。暦はその国の文化の基盤であり、一人一人が明日を思う<よりどころ>だと感じました。史実をもとにしつつ、算術、天文、そして政治と、波乱に富んだ展開は読者を惹きつけます。異文化の創出とも言える過程に胸が熱くなりました。
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10 months
クリスティー『死との約束』 エルサレムの旅で、ふとしたきっかけで事件が始まります。旅行の途上で偶然に出会う人々。そこでは真の姿、真の関係性は容易に隠されます。事件を描きながらも作者の筆致はやさしいのです。その一方で人が<真>のつながりを求めるときの、悲しみも浮かび上がるようです。
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11 months
江戸川乱歩『青銅の魔人』 戦時下の中断を経て、戦後のシリーズ第一作に当たる作品です。当時の読者も青銅魔人のトリックに驚いたことでしょう。おなじみの名探偵、怪盗に加え、戦後の時代を反映する別働隊の存在。執筆再開を喜びながら、年少者たちへのやさしさを忘れない作者の姿勢が感じられます。
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9 months
グリム童話『おおかみと七ひきのこやぎ』 有名なお話ですが、本として読む機会は少ないかもしれません。写実的な絵と、おおかみを徹底的にやりこめるストーリーは原典に近そうです。法整備が充分でない時代を生きる人たちの、自衛の暮らしが垣間見えるようです。母は強し、という思いが胸に残りました
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Kazuki T.
1 year
二葉亭四迷『浮雲』 日本近代文学の黎明期の作品。ときおり語り手が登場人物のように顔を出しますが、それも途中で姿を消します。言葉は古くとも文体はテンポよく、読みやすさも感じます。落語の語りとの共通点など、ロシア文学に造詣の深かった作者が、新しい文学を目指した試みと苦闘が見てとれます
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Kazuki T.
9 months
ロアルド・ダール『チョコレート工場の秘密』 映画も話題の人気作です。チケットに関するスリリングな展開、工場の内部など楽しい要素が満載です。主人公の少年のやさしさが報われることに、年少の読者も作者の思いを感じ取ってくれることと思います。人名や韻など、翻訳の工夫という点も楽しいです。
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Kazuki T.
9 months
紀貫之『土佐日記』 成立は平安時代ですが、視点人物を女性にしたり、自分の従者たちの一人にしたりと凝った設定がしてあります。やまとことばを用いるため、客観的に描写するためとのことですが、そこに亡き娘へ筆者の思いがあふれています。どんな言葉で書くのか、ということの重要性を思います。
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Kazuki T.
1 year
クリスティー『NかMか』 おしどり夫婦シリーズの長編。第二次世界大戦を背景に、陰謀を阻止しようと二人が奮闘します。作者らしい限定空間と日常の描写によって、本格ミステリのような逆転劇が導かれます。その背後に敵か味方か、という単純な枠組みを超えた、人への深いまなざしを感じました。
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Kazuki T.
5 months
遠藤周作『死海のほとり』 キリストの足跡を訪ねる現代パートとキリストの周辺にいた人々のパートが交互に配されます。そこでキリストは<同じ弱者の伴走者>として描かれます。その視点は「キリストの復活」や「師の処刑から逃げた弟子たちの、その後の宣教」をどう捉えるのか。東西の受容を思います
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Kazuki T.
1 year
谷崎潤一郎『細雪』 戦争の影が忍び寄ってくるころ、大阪船場を舞台にした四姉妹の物語です。作品のみやびやかさが戦中や戦後の検閲で困難な局面を迎えたそうです。縁談を基軸とした、お花見や、お月見などの季節の風物。作者には日本の美の発見の前に、関西の伝統美の発見があったように思います。
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11 months
壺井栄『二十四の瞳』 戦後、間もないころ発表された作品で、何度も映像化されている名作です。まわりの旧弊な考えもなんのその。子どもたち一人一人に目を注ぐ先生の姿がさっそうとしていて、新しい息吹を感じさせます。それだけに、師弟のつながりが歴史の暴風に吹き飛ばされる様子は悲痛です。
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Kazuki T.
1 year
宮沢賢治『永訣の朝』 早逝した作者が、さらに若くして亡くなった妹に詠んだ詩など数編。過酷な自然に生きる暮らしを背景に、切なる希望が読み取れます。臨終の妹は一人、逝こうとしていますが「雪と水とのまつしろなニ相系」が二つながら保たれていつように、二人のつながりが永遠でありますように。
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Kazuki T.
2 months
中島敦「名人伝」 古代中国で弓術の名人を目指す人物の物語。道を求め、道を極めるとは、いかなることなのでしょうか。単なる技術の習得を超えた、さらなる高みに人は達することができるのか、そのとき人は何を見るのか。さまざまな解釈を生むラストが、その測りがたい、底知れぬ深さを語るようです。
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Kazuki T.
4 months
太宰治『津軽』 生まれ故郷・青森を訪れる、紀行文とも言える作品です。とても素直に、飾ることなく描く筆が、ときに東北の自然・風土に暮らす厳しさを伝えます。なつかしい再会の場面がストレートに感じられるのは、年齢を重ね、異なる場所に暮らそうとも、変わらぬふるさとへの思いのゆえでしょうか
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Kazuki T.
8 months
乾くるみさん『リピート』 多くの人は「あの分岐点で、もう一度やり直せるなら…」と思ったことがあると思います。しかし本当にそれができたら、幸せでしょうか? むしろ、やり直せないからこそ立ち止まらず進んで、よりよく生きようと思えるのでは? 手に汗握り読みながら、一度の人生を思いました
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Kazuki T.
6 months
井上真偽さん『アリアドネの声』 災害現場に取り残された要救助者を、最新鋭の技術で誘導し、救助する物語です。想像もつかない困難が次々に立ち塞がりますが、不屈の思いで立ち向かっていく人たちの姿が印象的です。押し寄せる危機を乗り越える強さとやさしさ、そこに輝く人間性に胸を熱くしました。
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Kazuki T.
2 months
筒井康隆さん『時をかける少女』 連載からおよそ60年もたちますが、まったく色褪せないSFの名作。何度も映像化されているのも納得です。謎をめぐるサスペンス、淡い恋心がラベンダーの香りに彩られます。初読のときの感覚がみずみずしく甦り、あのころの自分と<時を超えて>再会させてくれるようです
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Kazuki T.
4 months
三島由紀夫『美しい星』 作者にしては珍しいSF設定の作品です。宇宙人と称する家族が提示する警告は、戦後の日本への作者の思いであると同時に、それを世界との関わりから読み解くこともできそうです。現実味の薄い設定は、作者の言説を荒唐無稽という言葉で片付けようとする社会への皮肉のようです。
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Kazuki T.
1 month
原田マハさん『板上に咲く』 版画家・棟方志功を妻の視点から描いた作品です。自らの信じた道を愚直に進む芸術家と、それを支える妻という構図。それを���互いを思う素直な気持ちが包みます。かけがえのない存在として手を取り合う様子。そこに技巧を超えた、本質的な棟方志功の美の源泉を感じます。
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Kazuki T.
8 months
こうの史代さん『夕凪の街・桜の国』 カタカナで表記される、ヒロシマを描いた作品。一瞬の出来事が長きにわたって人々を苦しめ、生き残った人たちの心をもさいなみ続けることが、やわらかな絵柄で提示されます。抑えられたトーンであるがゆえに、現代を生きる私たちも鋭い刃を突き付けられるようです
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Kazuki T.
1 year
クリスティー『春にして君を離れ』 中東から帰国する英国人女性。途上で気づいたのは、自らのこれまでの決断や選択が、どれほど周囲に犠牲とがまんを強いてきたか、ということでした。読んでいて主人公と同じように自責の思いでいっぱいになります。それでも切れない、人のつながりを愛おしく感じます
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Kazuki T.
8 months
斉藤洋さん『ルドルフとイッパイアッテナ』 TV、映画、舞台などにもなった飼い猫と野良猫の物語。教わることと、自分で探すことに学びの本質を感じます。他にも考えさせられることが、たくさんありました。笑いもあり涙もある、すばらしい作品です。昨年の #ブックサンタ で贈った中の一冊でした。
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Kazuki T.
1 year
原田マハさん『楽園のカンヴァス』 フランスの画家ルソーの作品の真贋をめぐる物語。ミステリー要素の中で美術作品としての絵画に賭ける情熱やルソーに対する愛があふれています。作品の保存、評価、購入、そして展示。すぐれた美術の鑑賞は、多くの奇跡的な出会いに支えられていることを感じます。
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Kazuki T.
11 months
大塚勇三さん再話『スーホの白い馬』 赤羽末吉さん画 広大なモンゴルの草原を舞台に、少年と馬の深い交流が描かれます。経済的に豊かではなくとも、強く心でつながることに比べると、世俗の権力は理不尽で虚しい…。民話、現代語、そして絵が一体となって、馬頭琴の調べを現代にも響かせるようです。
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Kazuki T.
1 year
杉井光さん『世界でいちばん透きとおった物語』 失われた作品が、自身の生を辿る道筋へつながります。サスペンスフルな展開に加えて、物語を書くことの意義までもが示されます。周到に用意された真相は、作者のその深い思いに支えられているように感じます。すべてが明らかになったとき、驚愕しました
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7 months
佐野洋子さん『100万回生きたねこ』 美しいストーリーが人気の絵本で、さまざまな解釈を含む作品です。読むたびに、他者がいてくれることの大切さを感じます。他者とのつながりの内に本当の自己実現も浮かび上がるように思いました。作者と夫・谷川俊太郎さんとの日々にも響き合うのかもしれません。
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Kazuki T.
9 months
三島由紀夫「春子」 作者が自ら選んだ短編集に収録されている一作です。三人の登場人物の関係性を描いて、現代の性差という課題にも通じます。作者は男性性と女性性を描き分ける傾向がありますが、ここではそれを自ら翻弄するような展開が印象的です。最後の流れもミステリーのように意表を突かれます
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1 year
宮沢賢治『氷河ねずみの毛皮』 冬の夜、北極の近くまで行く急行列車の車内で起こった事件。イーハトヴを舞台に夜と朝、光と闇などの対比の中、夢とも現実ともつかない話が展開します。その明確な線引きのないことこそが、自然、他の生き物、そして他者に向かう、作者のスタンスのように思います。
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Kazuki T.
3 months
コナン・ドイル『緋色の研究』 ホームズの初登場作であり、四つある長編の一つです。大胆な構成の物語の基盤に、長い伝統と植民地を持つ英国と新勢力であるアメリカの関係があります。また大都市ロンドンに流入する人々が形成するスラムの問題も後景にあり、多様な要素を持つミステリーといえそうです
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6 months
マーカス・フィスターさん『にじいろのさかな』 光るうろこを持ったにじうおのお話。「ロウソクの灯りのように、幸せは分かち合うと増える」どんな才能も、秀でた能力も、他者とのつながりの中ではじめて輝く、と改めて思いました。この美しい本も、小さな読者たちと出会って、たくさん輝くでしょう。
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9 months
ケン・キージーさん『カッコーの巣の上で』 アメリカの精神性疾患の病院が舞台です。ゆっくりとした展開は1960年代社会の停滞ぶりを暗示するかのようです。複雑な出自の視点人物や他の患者たちのあり方。それらをすべて管理しようとする権威者の姿。解放を求める登場人物たちの動きは、胸を打ちます。
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1 year
コナン・ドイル『バスカヴィル家の犬』 ホームズ譚でも人気の作品。ダートムーアの荒涼とした湿地帯を舞台に事件には魔物の影が見え隠れします。もともと当地の伝説が構想の出発点だったそうで、そこに謎と複雑な人物関係が配置されています。ヴィクトリア時代が過去から引きずる陰影が感じられます。
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10 months
森鷗外「山椒大夫」 江戸期の聞かせ語りに材をとった作品です。父を探す遠い旅路ですが、そこには恐ろしい人買いが暗躍しています。江戸期には情感を込めて語られたであろう演目が、作者のおさえた文体で綴られ、かえって読者の思いを揺さぶります。非情な運命を越えて、人の尊厳が守られますように。
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9 months
宮内悠介さん『盤上の夜』 将棋、チェッカー、囲碁などのボードゲームに関する短編集です。歴史や発展にまつわる話と、勝負に賭ける人々の鬼気迫る様子。小さな盤面を入口に、生きることの深淵にもつながるようです。言語や文化的背景の異なる対戦者たちによって、盤上に紡がれる物語が興味深いです。
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8 months
喜多川秦さん『運転者』 不思議なタクシーに乗った主人公。人はつい自らの不運と冷遇を嘆きがちです。でも作中、アドバイスに従って、少しだけ視点を変えると、見えている景色は大きく変わります。そこに忘れていた大切なつながりが現れるようでした。読んだ自分の表情がやわらかくなった気がします。
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5 months
小林多喜二「蟹工船」 昭和初期、本作のカニの加工船では劣悪な労働環境に加え、暴力による支配が常態化しています。プロレタリア文学として名高い本作が描く過酷な状況は、現代の国際社会において決して過去のものではありません。現状を変えようと人と人が一致し、つながる力に希望を置きたいです。
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1 year
新美南吉『手ぶくろを買いに』 教科書に掲載されたこともあって、多くの人に知られる作品です。違いを超えた心の通い合いに、読むたびに心を打たれます。加えて、ステレオタイプによる思い込みへの指摘もありそうです。同じ人物でさえ、その時々で考えも変わり、成長もします。人の多元性を思います。
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7 months
須賀しのぶさん『神の棘』 第二次世界大戦のドイツを舞台にした大作です。戦時下における信念、信仰に基づいて行動する二人の主人公。過酷な歩みと単純な善悪に割りきれない営みが<人を信じること>と<神を信じること>を問いかけます。今なお戦争が絶えない現代にも通じる、精緻で重厚な物語です。
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1 year
原田マハさん『カフーを待ちわびて』 沖縄の離島で一人暮らす青年と、そこへきた女性。沖縄の風習や言葉が彩る物語にも、商業開発や海の環境保護の問題が浮かびます。カフーとは<よい知らせ>という意味だそうです。知らないところで、誰かが自分を支えてくれていることの幸せに気づかされます。
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10 months
『アーサー王物語』 ローマ皇帝と争いヨーロッパに覇を唱えたアーサー王の伝説に基づく物語です。キャメロット城や聖剣エクスカリバー、円卓の騎士や聖杯伝説など、数々のエピソードが、現在さまざまな作品となっています。キリスト教との関連を持ちつつ、盛者必衰というテーマとも響き合いそうです。
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10 months
R・ブラウニング詩『ハメルンの笛ふき』 グリム童話ですが、13世紀に起きた失踪事件を伝えているとも言われます。約束を守るという教訓、流行り病で死者が多数、出た社会状況、移民を受け入れない閉鎖性への批判など、さまざまな解釈があるようです。どれも現代でも課題となっていることかと思います。
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7 months
岡嶋二人さん『クラインの壺』 作者がコンビで発表した最後の作品です。仮想現実とミステリーを融合した物語ですが、80年代に書かれたことに驚きます。タイトルの「壺」が表も裏もないように、作中でも現実と仮想の区別が融解していきます。最後まで読者を幻惑した作者が作品にこめた意図を思いました
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Kazuki T.
1 year
葉室麟さん『蜩の記』 硬直化した武家社会の仕組みと、そこにうごめく思惑によって理不尽な運命を与えられた人物。たとえ己の不名誉になろうとも、受け止め、周囲の人たちを気遣って静かな時を生きます。山あいの季節の移り変わりとともに、気高さと強さを感じます。それが武士道なのかもしれません。
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10 months
芥川龍之介「或阿呆の一生」 死後に発表された、断片的な文章からなる作品です。主人公の幼少期や文学的な交友、家族などが描かれていますが、すべてが事実と言えるかどうか。そのことも含め、異なるアングル、断章から一人の人物像を描くことは、人の持つ多様性への意識が感じられるように思います。
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Kazuki T.
2 months
宮部みゆきさん「サボテンの花」 小学生と先生のちょっとした謎をめぐる作品。子どもたちは大人が思う以上に、さまざまなことを考え、他者を思いやってもいます。自分が、それをどこまで認識しているか、改めて考えさせられました。その上に生まれる結びつきが、あたたかい気持ちにしてくれました。
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Kazuki T.
11 months
『今昔物語』 平安時代の説話集で、仏教の教えに関する話も多く収録されています。地名や人名など具体性を意識して書かれており、心の内と外界が一体化されます。また直接的に語りかける文体は、語り手と後世の読者をつないでいきます。その普遍性が、現代に通じる大きな課題を提供してくれるようです
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Kazuki T.
4 months
細田守さん『おおかみこどもの雨と雪』 自然や心の動きの描写が細やかです。異類婚姻譚は古来からたくさんありますが、本作は<その後>がテーマになっています。異なる存在とどう向き合うか。それぞれの考え方があり、それぞれの生き方があります。いずれもが静かに肯定される様子が心に沁みました。
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Kazuki T.
4 months
菅原孝標女『更級日記』 平安期、父親の名前の後に「女」とだけつけて呼ばれるように、女性は名前さえ残らない時代でした。しかし少女期から孤独の晩年まで、四十年に及ぶ記録は表情豊かです。特に『源氏物語』を贈られて天にも昇るように喜ぶ場面は、読書好きとして時代を超えた親近感を覚えました。
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