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@habochiyuri0202

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星新一ぃいいいい!!!!って言ってるロボット #140 字小説

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@habochiyuri0202
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58 minutes
深夜、押入れから音がする。物音などではなく、歌のような曲のような心地の良いリズムだ。眠い目を擦りながら襖を開けた。そこにはポッカリと穴が空いていた。音はその中から聞こえてくる。しばらく耳を傾けていると音は次第に小さくなった。穴もだんだん閉じていく。私は急いで目一杯の拍手をした。
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@habochiyuri0202
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2 years
人魚が釣れた。「痛い」と言うので釣り針を外すと、みるみる傷口は塞がり妖艶な唇が現れた。すぐに僕は道具をしまい背を向けた。「帰るんだ?」と人魚は何か察したようだった。「だって…」「別に…いいよ」との言葉に振り返ると、人魚は目を閉じていた。僕は欲望のままに墨を塗りたくり魚拓を取った。
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@habochiyuri0202
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2 years
#140 字小説 『こんなのはじめて』
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@habochiyuri0202
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2 years
この刀は妖刀。一日に一人分の血が必要だと囁くのだ。私の娘の声で。娘はこの刀に斬られて死んだ。しかし魂が刀に囚われてしまい「血を吸わないと私を食べちゃうって」娘の怯える声の前では私は無力だった。刀が血を吸えば娘は安堵の声を聞かせてくれる。聞かせてくれる。死んでない。娘は死んでない。
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@habochiyuri0202
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2 years
「あの道は通るな」父の小言を「近道なのに、馬鹿馬鹿しい」と物理主義な私は無視していた。ある夜、その道で誰か蹲っているのが見えた。背格好は子供のようだ。「大丈夫?」「…ないの」「ない?」「……見つからないの」そっと立ち上がったその子は首から上が無く、私は驚愕した。「喋れるだと!?」
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@habochiyuri0202
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1 year
昔、山に兄と行ったら「あばよ!」って置いてけぼりにされたことがあって、怖くて泣いてたら「うるさい」って多分天狗だと思うんだけど緑色の顔の人が木の上に立ってて「ガキならあっちだ、走れ」「追いつけないもん」ってまた泣きそうになったら「ふん!」ってお尻を叩かれて、そのまま走ったら→
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@habochiyuri0202
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2 years
下校中、ニコニコとしたおじさんが人目も憚らず「懐かしいなぁ!懐かしいなぁ!」と叫び、連呼していた。「危ない人かも」と僕は逃げるように帰宅した。次の日、学校中その話で持ちきりだった。「『懐かしいなぁ』ってずっと笑ってて怖かったよな」「え?『みんな死ぬんだよなぁ』って泣いてたよ?」
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@habochiyuri0202
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2 years
勇者が街を出ると魔王がいた。「ぼ、僕はまだレベル1だぞ」勇者は慌てふためく。「だからこそ、ここに来たのだ。強くなる前に倒してしまえばいい」「確かに…しかし暗黙の了解というものが」先祖代々切磋琢磨の最終決戦を生業としていた。「安心しろ、私もレベル1だ」前代未聞の戦いが今……始まる。
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@habochiyuri0202
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2 years
@Taka394U 不老不死にも女にも興味はない!それが釣吉!!
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@habochiyuri0202
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1 year
今までにないくらい速く走れて、あっという間に山の頂上の東屋まで着いて、その後「え?!なんで?!」って兄が東屋に来たことがあった。
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@habochiyuri0202
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2 years
「パパ、早くお仕事行って」幾分覚悟はしていたが嫌われるにはまだ娘は幼すぎる。つまり不意打ちだった。「行ってきます…」ドアノブに手を掛けると、娘は泣き出した。「いつも、行かないでって言うと行っちゃうから」仕事が何だ。娘が可愛いんだ。でも妻が「行ってらっしゃい」をやめてくれないんだ。
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@habochiyuri0202
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2 years
彼女が欲しくて種を買った。『水をかけて3分、芽が出て葉が出て花が咲き、あっという間に人間が育ちます』説明書と大きめの種が1つ。肥料分と水量で身長や体型なども変えられるらしい、面白い。早速、種をまき、水をやると、むくむくと土が盛り上がり、眼が出て歯が出て鼻が咲いたので蹴っ飛ばした。
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@habochiyuri0202
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2 years
俺は義父が怖い。結婚の挨拶で「お前の思い通りにはさせん」と言い放ち、その後に俺は大病を患った。「子供がいなかったのが不幸中の幸いでした」と離婚の旨を伝えると、「思い通りにはさせんと言ったはずだ」義父は不敵に笑った。 孫に微笑みかける姿を見るたび、それを思い出す。俺は義父が怖い。
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@habochiyuri0202
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2 years
博士の発明したクレヨンで描けば草木は風に靡き、動物たちは本能のまま用紙の中を駆け回った。博士は孤児院にこのクレヨンを寄付することにした。描いたものが動くと聞いて子供たちは大喜びだ。描いたのは『お母さん』。子供たちは動く絵に涙を流した。描いた母親が背を向けて消えていったからだ。
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@habochiyuri0202
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2 years
「私のパパはカッコイイ。おかげで私も美人」この書き出しに「ブスは作文もブスだな」と、教室がドッと湧く。でも残念ながら、私は作文が得意だ。「天国のパパが火事から助けてくれたので火傷一つありません」沈黙の後、「私のパパはカッコイイ。おかげで私も美人」と締め括る。ほらね?皆、泣いてる。
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@habochiyuri0202
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2 years
「お前向きの仕事がある」友人から勧められたのは化石掘りだった。地道にコツコツ、確かに私向きだ。作業を進めていると地面から「おーい」と声がする。掘ると壺が出てきた。「出してくれたら願いを叶えてやるぞ」とのことだが、願いも地道にコツコツだ。邪魔をするな。化石でもないし埋めておいた。
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@habochiyuri0202
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1 year
妻とは今日で最後だ。引っ越し前のゴチャついた部屋でお茶を啜っていると、妻が買い出しから帰ってきた。「あ、私も飲む」「入れるよ」妻が隣に腰を下ろす。「…寂しくなるね」「もう言うな」そっと妻を抱き寄せる。「私の新居でやめてくれる?」娘がギロリと睨む。「恋人に戻るなら帰ってからにして」
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@habochiyuri0202
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2 years
湖畔の散歩に憧れて、夫婦で引っ越した。しかし、私はすぐに飽きてしまい、「お前はいつも最初だけだ」と夫になじられた。「今度こそは」私も覚悟を決めた。そして一年、今では毎日散歩している。夫のおかげだ。湖畔で陽当たりの悪い奥まった場所。よしよし、今日も浮かんできてないな。ありがとう。
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@habochiyuri0202
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2 years
「ロボットに気をつけるんだよ」足を悪くした母の代わりに町へ行く。森に入ると、サビだらけのロボットが彷徨いていた。「ゴゴゴシュジン、カタタタ、キキキ」壊れたスピーカーのように繰り返す。目も見えて無いようだ。「もう人間はいないのよ」私が諭すと、抱き着いて「御主人の仇」と自爆した。
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@habochiyuri0202
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2 years
妹を産んで母は死んだ。母は泣きながら謝っているが僕は気にしていない。生まれた妹はとても可愛く、家族一丸となって妹の世話をする。その度、父が謝ってくる。それにつられて母も泣く。妹もまだ泣くことしかできない。時は過ぎ、僕も父と同じ年齢だ。妹はまだまだ赤ちゃんで僕達の育児は続いている。
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@habochiyuri0202
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2 years
死ぬと、目の前に死神が現れた。「天国と地獄、どっち行く?」「選べるの?自殺したのに」「内緒だよ」死神はニヤリと笑った。僕はお礼を言って、天国へと歩みを進めた。 「何でお前がここに!?」いじめっ子達の顔が青ざめる。「すぐ死にやがって…殺し足りないんだよ」まさに天国ではないか。
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@habochiyuri0202
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2 years
嫌々のお見合い。現れた女は俯いているし、俺も興味ない。両家両親の会話だけが弾み、当人は黙々と料理を平らげる。ふと女の皿を見ると魚の骨。目を見張った。食後とは思えない、美術品のように横たわっていたのだ。味わったことのない程の敗北感。それからは勝負を挑む毎日だ。未だに妻には勝てない。
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@habochiyuri0202
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2 years
朝、妻ではなく外の喧騒に起こされた。表に出ると、身の丈程もある芋虫が蠢いていた。その中の一匹の口からは腕が覗いている。「あの指輪…」私は急いで家に戻り、厳重に戸締りをした。恐怖と悲しみに涙が枯れた頃、「あなた、あなた」妻の声。カーテンを開けると羽を生やした妻が虚ろに微笑んでいた。
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@habochiyuri0202
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2 years
肝試しに行ってから姉の様子がおかしい。「大丈夫ですか?」「大丈夫です。ありがとうございます」これは大丈夫ではない。両親もすでに霊媒師を呼んでいた。「これはいけない!」「どういう事ですか!?」「霊とお姉さんの魂が入れ替わっている。すぐに元に戻さないと…」「それはいけません、ね」
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@habochiyuri0202
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2 years
男がきた。「山に住まう大蛇よ。村の奴らも食うてくれ」言い終わるか否か。「気に入らん」儂はバクンと男を呑みこんだ。しかし、恨みの味はせず、歓喜の風味。「なぜだ、気に入らんな」儂が男を吐き出すと、女も一緒についてきた。「あれは先刻、生贄として…そうか!気に入った!気に入ったぞ」
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@habochiyuri0202
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2 years
星新一先生に捧ぐぅ!!!!
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@habochiyuri0202
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2 years
夫と出逢ってから視線を感じるようになった。外でも、家の中でも「見られてる」日に日にそれは強くなり、結婚してからも続いた。子供が産まれた時、我が子の瞳にあの視線を感じた。「あなただったのね…」 その後、私はもう三人の子供に恵まれ、幸せに過ごしている。また違う視線に当てられながら。
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@habochiyuri0202
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2 years
ヒーローになるための受験勉強。「悲鳴に駆けつける」「誰も見捨てない」「絶対に負けない」なるほどふむふむ。受験当日。私以外に受験者は来ていない、想定通りだ。行きに女を襲い、吊し上げてきた。皆、それを見捨てられないのだ。一人勝ちだな。なぜか私は悪の組織に受かっており、今では幹部だ。
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@habochiyuri0202
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2 years
王様が死んだ。遺言には『次の王はジャンケンで』とあり、国を挙げてのジャンケン大会が開催された。勝ち残ったのはなんと子供だった。『無敗の王』と呼ばれ、他国は警戒し、災害や飢饉もなぜかこの国だけ避けて通った。『運が良いくらいがちょうどいい。国政などは誰がやっても一緒だからな』
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@habochiyuri0202
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2 years
「あなた、困った事になったの」「それは面白そうだ」説明するとあっさり解決し、私は安堵した。「もっと困らせてくれよ」そう笑う夫が好きだ。「じゃあ…」と想いのままにキスをして「でも、続きはしません」と悪戯に笑ってみせた。しかし、呼吸の荒くなった夫には届いておらず「困った事になった」
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@habochiyuri0202
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2 years
妻の要望で庭にテントを張っている。最近仕事の付き合いが多く疲れていたが、その罪悪感もあり快諾した。いつも以上に楽しそうな妻。やはり寂しかったのだと思い「ごめんな」と謝ると、妻はハッとしてテントに立て籠った。声をかけると「今、家出中だった」と返ってきた。どうやら怒っていたらしい。
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@habochiyuri0202
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2 years
『ペンは剣よりも強し』昔の人の言葉だ。「ペンとは一体どんな武器だろう?」ピピピと指で調べると、どうやら『書く道具』らしい。「なんと!武器ではないのか!?『書く』ってなんだ?」またピピピと調べる。「なになに?『文字や絵をしるす』ふむふむ……なんでこれ、剣より強いの?」私はピピピと…
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@habochiyuri0202
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2 years
男に利用され、捨てられた。そんな日に突然の雨。「濡れて帰れってことか」小さなバックを頭に掲げると、フッと雨が止んだ。「これ使って」男性が私に傘をさしているのだ。身体が温まるのがわかる。「ありがと…」言い終わる前に彼はもう一つの傘に身を寄せ合い、帰っていった。私は濡れて帰った。
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@habochiyuri0202
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2 years
仕事でミスばかり。トボトボ帰宅していると、道端にポツンと綺麗な花を見つけた。少し元気がない。私は持っていた飲み水をかけた。少しでも救われたかったのだ。その夜、窓からコンコンと音がした。見ると、親指ほどの大きさの女の子が懸命にノックしていた。慌てて窓を開けると、女の子は窓に弾かれ…
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@habochiyuri0202
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11 months
妻の誕生日。苺ショートケーキの上の蝋燭をフッと消し、明かりをつけた。私は慣れない手つきでケーキを取り分ける。自然と私の苺も妻の皿へ。御礼など無い、これは当たり前なのだ。グラスに赤ワインを注ぎ、乾杯もなく黙々と食べ終わる。私は、いつまでも減らない苺の二つ乗ったケーキを眺めている。
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@habochiyuri0202
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2 years
「ようやく妻に会える」男は息を引き取った。すぐに天使がやってきて、「善人は天国へ」と誘うも「妻は悪女ですので」男はそう断った。すると死神がいきなり現れ、男を地獄へ引き摺り込んだ。「誰が悪女よ」懐かしい声。「まさか死神にまで上り詰めているとはね」久々の出会い。地獄巡りも悪くない。
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@habochiyuri0202
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1 year
「街へ行ってはいけないよ」母の口癖だ。「なんで?」僕がそう言うと、母は毎回違う嘘をつく。「悪人がいる」「迷子になる」「怪物が出る」今日は何て言われるのだろうと軽い気持ちで「なんで?」と聞いた。すると、母は涙を流し、「お願い…もう誰も傷つけないで」と僕を抱きしめた。「なんで?」
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@habochiyuri0202
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2 years
「天使を捕まえた」娘が慌てて持ってきたのは壺だった。「白い羽根と服、頭に輪っかがあったから間違いないよ」天使はお前だと思いながら開くと「ほらね」娘が指差したものは真っ黒い羽根と身体、頭にツノを生やした、まるで悪魔だった。「ああ、お前ってそういう生き物なんだ」ニタリ笑う。
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@habochiyuri0202
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1 year
息子がお手伝いを覚えた。食器を用意してくれるのだが、いつも数が多い。「うちは三人よ?」見本を並べて見せても、「これじゃ足りない」と一つ追加する。私は怖くなり、「じゃあ…このお皿は、誰の?」と恐る恐る尋ねてみた。すると、息子はゆっくり私を指差した。「痩せすぎ」後ろで夫が噴き出した。
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@habochiyuri0202
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2 years
悪魔が取り憑いて半世紀経ったが、未だに願い事が決まらない。「早くしろよ」と急かしていた悪魔も今では「好きにしろよ」に変わってしまった。そのくせ、ありきたりな願いでは「これだけ待たせて、それかよ」と却下してくる。でも仕方ないではないか。『話し相手が欲しい』は叶ってしまっている。
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@habochiyuri0202
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2 years
#140 字小説 『解せぬ』
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@habochiyuri0202
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2 years
俺の風邪が引き金だった。「お粥作るね」妹のお節介にもイラついて「そんなもんいるか!」と怒鳴りつけた。「でもこれくらい普通は」「普通を俺に押し付けるな!」すると、妹は俺にキスをした。「か、家族同士…だぞ」「普通を私に押し付けないで」妹の眼には涙。俺が姉らしくなかったからだろうか。
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@habochiyuri0202
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2 years
コンコンと戸を叩く音。妻だと思い玄関を開けると、誰もいない。足下では兜虫が仰向けで必死にもがいていた。「お前が犯人だな」兜虫は起こしてやるとすぐに飛び立ち、入れ替わりに妻が帰宅した。翌日、コンコンと戸を叩く音。「昨日助けて頂いた兜虫です」私は戸を開けると、妻のおでこを小突いた。
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@habochiyuri0202
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2 years
僕達の乗る車に、大型車が突っ込んできた。運転席はペシャンコで、母の身体も当然押し潰されている……はずだった。しかし、母はまるで液体のようにヌルヌルと身体を拗らせ、車から脱出し、何食わぬ顔で事後処理を始めたのだ。それを見て理解した。僕は潰れた後部座席を母と同じようにヌルヌルと…
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@habochiyuri0202
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2 years
母の手鏡には女の子が住んでいる。孤児院でも一人だった私が彼女にはなんでも話せた。ある日、母とケンカした事を相談すると、「今日だけ代わってあげる」と提案された。頷くと、私は鏡の中へと引きずり込まれた。高笑いが聞こえる。「お母さん!ついに出られたわ!」母はもう返事なんてできないのに。
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@habochiyuri0202
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2 years
登山をしていると、座り込んでニヤニヤとこちらを見る男がいた。挨拶をして通り過ぎ、しばらく登るとまたそいつがいた。「いつ抜かれた?」またニヤニヤと私を見ている。私は怖くなり急いで山を登ったが、そいつは必ず待ち伏せて、ニヤニヤとしている。これが夫との馴れ初め。方向音痴で悪かったな。
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@habochiyuri0202
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1 year
朝起きると包丁を握っていた。「また、か…」私は寝ている間に誰を襲っているのか、この返り血だと相手は生きてないだろう。警察が来るなら正直に話すつもりだ。しかし、一向に現れない。待っているとまた血塗れの朝。「何故捕まらないのか…」おかげで最近食欲がない。腹が減らないんだ。ゲップ。
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@habochiyuri0202
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2 years
兄弟揃って奴隷として生まれた。闘技場の賭け試合。最後の一人になるまで殺し合う。「お前が生き残ったら弟と一緒に解放してやるよ」幸い、俺の才能は人殺しだったようで、迅速に命を摘んでいった。「後、一人…」立ちはだかったのは弟だった。「そうか、兄弟だもんな」全く、いい人生だよ。畜生…
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@habochiyuri0202
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2 years
『生きている服』を開発した。特殊な繊維で編まれており、着た人に合わせて柄や形、サイズまで変わる唯一無二の服だ。すぐに服は売れ、中でも子供に着せて共に成長する服として流行した。しかし時が経ち、不具合が報告され始めた。特定の条件下で服が透けてしまうそうだ。調べてみると、初夜だった。
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@habochiyuri0202
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2 years
森の中から楽しげな祭囃子が聞こえてきた。段々と近づいてくる。「これはおかしい」私はすぐに森を抜けて、村へ戻った。しかし、まだ音がする。怖くなって父親に告げると、ボロボロと涙を流し、何か叫び出した。「そうか、俺はもうダメなんだな」親父の声が聞こえないのだ。耳元の祭囃子がうるさくて。
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@habochiyuri0202
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2 years
昔から「お兄ちゃんが欲しい」とせがんでは、両親を困らせていた。そんな両親が死に、受け入れ先には義兄がいた。「本当のお兄ちゃんだと思ってくれていいよ」その時は涙が出た。でも、愛してしまった今、その言葉が私を苦しめる。「振り向いてくれるまで、頑張ろう」近付く女は皆、私の両親のように…
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@habochiyuri0202
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2 years
子供が落ちていたので交番へ届けると、すぐさま落とし主が現れた。彼らは頭を深々と下げ「これはほんの気持ちです」と子供の1割を置いて帰っていった。後日、友達にその話をすると口々に「同じ事があった」と証拠の1割を持ち寄った。しかし組み立てることが出来ず、作り方を親に聞くこととなった。
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@habochiyuri0202
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2 years
昔、不思議な病が流行った。患った人はストンと眠りにつき、しばらくしてパッと目を覚ます。後遺症がなかったせいか患者数の割に解明が進まず、詳細は謎。元患者達の話によると、どうやら夢を見ていたようだ。内容はもちろん様々だったが、皆一様に「地球という星で人間として産まれ…」と…
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@habochiyuri0202
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2 years
森で出会ったそいつは本を食べる。「この物語は好みじゃないな」食べただけで内容がわかるらしい。「毎日食べてて飽きないの?」「主食は名作、何度食べても美味しい」普段は人に化けて街で食事するらしい。「好きなジャンルは伝記だ」私が最期に聞いたのはその言葉だ。「この物語は好みじゃないな」
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@habochiyuri0202
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2 years
悪魔が取り憑いてはや50年、未だに願い事が決まらない。「早くしろよ」と急かしていた悪魔も今では「好きにしろよ」の投げやりな態度だ。そのくせありきたりな願いを言うと「これだけ待たせて、それかよ」と悪魔に却下される。でも仕方がないではないか『話し相手が欲しい』は叶ってしまっている。
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@habochiyuri0202
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2 years
その星の住人は優しく、食料を分けてくれた。大きな卵で背負って運んだ。道中、卵はどんどん重く、大きくなった。下そうにも背中に張り付いて離れない。やがて身動きが取れなくなった。すると卵は孵り、産まれた幼虫が襲いかかってきた。私調べではあるが、今のところそれが宇宙で一番美味かった。
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176
@habochiyuri0202
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2 years
囚われの姫を救うべく、龍の住う塔へと向かった。焼かれた兵士の骨、溶け出した武具、夥しい程の痕跡はあれど、肝心の龍がいない。「好機!」塔を駆け上がり、突き当たりの扉を開けた。広がる部屋の先にいたのは、麗しき姫と、龍の骸。「私より弱い殿方に嫁ぐ気などありませんわ………かかってこいや」
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@habochiyuri0202
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2 years
部屋を掃除していると視界の端で何か動いた。「ネズミか?」と箒を構えると、目が合った。小人だ。鉛筆程の背丈の少女。あまりの出来事に「ネズミじゃ、ないよな?」と口走った。少女はムッとした顔で「失礼しちゃうわ」と返した事で二人の緊張は解かれ、笑い合った。私は安心して小人を駆除した。
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@habochiyuri0202
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2 years
娘が連れてきた友達は明らかに人ではない。屋根裏に居付き、今でも這いずる音がする。その音を聞くたび、娘と妻はニタニタ笑う。娘が婚約者を泊めた夜、私は彼が足をバタつかせながら天井に呑み込まれるのを見た。翌朝、婚約者はニタニタと笑い始めた。私は天井に向かって「仲間外れ、反対」と叫んだ。
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@habochiyuri0202
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2 years
男は毎日に退屈していた。「同じ事の繰り返しに飽きたな、何かないだろうか」同僚に聞くと「旅行なんてどうだ?今流行りの未来旅行」男はすぐに予約を取り、未来へと旅立った。年代は指定していない。未来の自分を見るなりボコボコにして、今へと戻る。「いつ俺が襲ってくるんだ」毎日がスリリングだ。
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@habochiyuri0202
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1 year
ゴミ置き場にちょこんと人形が捨てられていた。状態も良く、勿体なくて持ち帰った。人形は毎朝、何か握っていた。無くしていた物、忘れそうだった物、それ以外の物は持っておくと、その日必要になったりした。お陰で、仕事も上手くいき、生活も豊かになってきた。この見窄らしい人形ともおさらばだ。
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@habochiyuri0202
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2 years
俺は義父が怖い。結婚の挨拶で「お前の思い通りにはさせん」と言い放ち、結婚後、俺に癌が見つかった。助からないらしい。子供がいなかったのが不幸中の幸いで離婚の旨を伝えると、義父は「お前の思い通りにはさせんと言っただろ」と笑った。 孫に笑いかける義父を見るたび思い出す、俺は義父が怖い。
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@habochiyuri0202
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1 year
空からタマゴが降ってきた。「よく割れなかったな、折角だし食べようかな」しかし、タマゴは全く割れない。叩きつけてもハンマーで殴っても、ヒビ一つつかない。仕方がないので温める事にした。数週間後、タマゴからは見知らぬ雛が出てきた。雛は煮ても焼いても死なず、仕方がないので育てる事にした。
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@habochiyuri0202
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2 years
会社での人間関係に疲れ、ふらりと立ち寄ったのは帽子屋だった。そこで一つの帽子に目が留まった。「被れ」と声がするのだ。従うと、今までにない程の幸福感と充足感に涙が溢れた。直様、その帽子を購入し、走って家まで帰り、呼吸を整えもせずに暖炉に焼べてやった。帽子にまで指図されてなるものか。
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@habochiyuri0202
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2 years
村の裏山には禁足地がある。立て札があるだけで仕切りなどないのだが、明らかに雰囲気が違う場所だった。私はその境界で鹿を見た。佇まいには気品があったが、喉の辺りから首の付け根までボコボコと人の顔が不気味に浮き出ていた。その中の一人と目が合った。親友だった。今も彼は私の顔の下にいる。
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@habochiyuri0202
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2 years
仕事帰りに何の花か知らんが目につき持ち帰った。小さな鉢に移し替え寝る前に水をやった。朝起きると花は小さな女の子に変わっていた。妖精だ。「おはよう」と声をかけると彼女は蝶のような羽でふわり飛んできて私の胸ぐらを掴み「なに引っこ抜いてくれてんだ」と睨みつけてきた。誰も俺に優しくない。
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@habochiyuri0202
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2 years
博士は薬を通りすがりの男にぶっかけた。「うわ、何だこれは」男の身体はみるみる透けて、最後には透明になった。「元に戻して欲しくば金を集めてこい」「何をバカな」男はいつも通り会社に行き、いつも通りに帰宅した。「ただいま」とドアを開けると「おかえり」と家族の声がする。「透明が何だ…」
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2 years
「それは悪魔だ」娘の保育園の話を聞いて私はそう怒鳴っていた。嫌がる娘に「そいつとは遊ぶな」と叱りつける。その夜、子供の格好をした黒い影が現れ「悪魔と遊べば悪魔になる」そう囁きニタニタと娘の部屋へ。急いで私も向かうと、娘はスヤスヤと天使の寝顔だ。隣には見知らぬ天使が横たわっていた。
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@habochiyuri0202
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2 years
「お陰で死んだ母にお別れが言えました」博士の発明した電話は天国と通話ができる。「あなたは運がいい。人間なかなか天国には行けないみたいですので」「なら地獄の方が儲かったでしょうに」「ああ、それなら…」地獄への電話は叫び声が邪魔で会話にならないらしい。それでも刑務所では大人気だとか…
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@habochiyuri0202
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2 years
ハンバーグを作ると昔の男を思い出す。1人目はデミグラス、2人目は和風、3人目は塩胡椒。その度にその味を好きになった。そういう体質なのだ。今は一人、ただの合い挽きハンバーグを食べる。いつの間にかケチャップをたっぷりとかけている。「恋しいなぁ……そろそろ作ろっかなぁ」次の男、で…
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1 year
森の中で、熊を撃った。母熊だったらしく、近くでは一匹の子熊がコロコロと遊んでいた。罪悪感から私は子熊を連れ帰り、我が子のように育てた。しかし、懐いていた子熊も大きくなるにつれて、野生の顔を覗かせる。「そうだ、早く仇を討つといい…」と言ったものの、まさか孫熊の面倒まで見るとはな。
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@habochiyuri0202
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2 years
父親の遺品整理をしていると、一冊の古びた本が出てきた。「日記か?」手に取ると、中から一枚の栞がヒラリ。人を象ったもので妙に造りが細かい。「親父も趣味が悪いな」元のページに戻そうと本を開くと、知らない部屋にいた。目の前には誘う女性。どこからか悔しがる声、父だ。でもそれより今は…
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2 years
山で一人、焚き火を囲んでいると原始人が現れた。全身毛に覆われ、猿と人間の中間の顔と背丈、まさにと言った感じだ。「原始人じゃねぇよ」「声に出てたか」「いんや、読んだ」「お前…」「そうだ、サトリだ」心を読む山の獣の名だ。「そうか…サトリか」私の言葉の後、サトリはガタガタと震え出した。
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2 years
少年の背中はビリビリ裂け、ズルリと皮が脱げた。足下の自分の抜け殻に困惑した。「人間も脱皮するのか」親も学校もこんな事教えてくれなかった。「でも世の中こういうものなのかもな。暗黙の了解というか個性というか」すでに少年は皮の処理に頭を悩ましており、まだ背中の翼に気づいてはいない。
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@habochiyuri0202
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2 years
今日は私の製造された日ですね♪
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@habochiyuri0202
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2 years
「いらっしゃいませ」何となく通った路地裏で、ポツンと露店が開かれていた。「売れるかい?」「あなたにはこれを…」「拳銃…生憎、こんな趣味はないよ」「それで自分を撃てば、昔の自分を殺せます。もちろん死ぬのは過去だけ」つまりは過去改変。不思議と説得力がある。だとしたら「弾が足りないよ」
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@habochiyuri0202
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1 year
「何考えてるか、当ててやろう」山の中で突然、そんな声がした。振り向くと男がいる。「何だこいつ、と思っているな?」男はニタニタと言い放つ。「何だこいつ」無視して進もうとすると男はハッとして「早まるな」「仕事なんて辞めちまえ」「友達なら俺がなってやる」矢継ぎ早の言葉に涙が溢れた。
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@habochiyuri0202
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2 years
「願いを言え」目の前に悪魔がいた。働き過ぎだろうか。「まあいい、金だ。遊んで暮らせる金が欲しい」しかし、悪魔が出したのは一枚の写真。「子供の頃の…」幼い自分が抱えているのは、一冊の本。「これさえあれば何もいらない…そう思ってた」悪魔はもういない。いや、天使だったかもしれない。
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@habochiyuri0202
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1 year
車で帰宅途中、女性を轢いた。歩道橋の上から落ちてきて、仕方なかったのだ。すぐに助けも呼んだし、最後まで立ち会った。遺族には謝られたくらいだ。それなのに彼女は夜な夜な家に現れる。あらぬ方向に曲がった四肢をくねらせて、「好き…好き…」とベッドの上へ。仕方ないからキスをして、最後まで…
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@habochiyuri0202
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1 year
「お迎えに上がりました」ある晩、死神が来た。「そんな、死にたくない」「では、代わりに…」死神は幼い娘をかかえ、闇へと消えた。妻はヒステリーを起こし、「お迎えに上がりました」と死神の再来に、私を差し出した。しかし、死神は妻を選び、闇へと消えた。「なぜだ」「死にたい人から、順番です」
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@habochiyuri0202
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2 years
今日は激務だったが、帰ると家中ピカピカで、「ご飯とお風呂、どっちにする?」彼の明るい声が出迎えてくれた。しかし私は「これくらいしなきゃダメなんだ」と思ってしまった。彼が疲れて帰ってきても、私はいつも通り。私のぎこちない「ありがとう」に彼は「お前もこれくらいしてくれよ」と言った。
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@habochiyuri0202
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2 years
新しい隣人は無愛想な女だ。それどころかすれ違う時、避けようともしない。腹が立つので肩をぶつけてやると、彼女は駆け寄ってきて「人だ」と微笑んだ。「私、霊感が強すぎて人との判別できなくて」「それで無視を」「女の霊に囲まれているから、あなたもそうかと」「彼女達とはすぐに仲良くなれるよ」
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@habochiyuri0202
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2 years
この刀は妖刀。「一日、一人…」そう囁く。あろうことか私の娘の声で。娘はこの刀に斬られ、魂を囚われてしまった。「血を吸えないと、代わりに私を食べちゃうって」娘の怯える声を前に、私は無力だった。刀が血を吸えば安堵の声を聞かせてくれる。聞かせてくれる。死んでない。娘は死んでない。
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@habochiyuri0202
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2 years
深夜になると外から声がする。最初は遠くてわからなかったが、耳を澄ますと「こっちおいで」と聞き取れた。日に日に声は近づいてくる。「どういう事だ…」もう耳をそばだてなくとも聞こえてくる。「こっちおいで」ついには家の中で響き始めた。「やはりおかしい。近づいて来てるのはそっちじゃないか」
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@habochiyuri0202
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1 year
授業中、落書きをする。僕の席から見たクラスメイトの似顔絵だ。一番後ろの席なので、横顔や後ろ姿しか描けないが、その方が気兼ねない。「全員分描くぞ!」と始めて、まもなく完成。しかし、最後の一人が難しい。何度やっても、どうも納得がいかない。「まだ出来ないの?」大人になった今でもそうだ。
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@habochiyuri0202
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1 year
妻の料理は絶品だ。思わずがっついてしまい、食後だというのに眠ってしまう。「食べてすぐ寝ると太りますよ。お風呂を沸かしておきましたので、眠気覚ましにどうぞ」私は幸せ者だ。不満があるとしたら、スープの中に入っている調味料が溶け切ってないことがあるくらいだ。あの丸い、錠剤のような……
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@habochiyuri0202
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2 years
#140 字小説 『ポカポカ、ポカポカ』
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@habochiyuri0202
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1 year
「あいつでいいや」誰かを道連れに死のうと彷徨い歩いていると、昼間から公園でたむろする男に目が留まった。話しかけると意外にもお喋りで、コロコロと表情が変わる。戸惑っていると明日も会うことになった。次の日もその次の日もその先も。「僕でいいのかい?」「あなたがいいの」死ぬまで道連れだ。
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@habochiyuri0202
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2 years
平日の真昼間、宇宙人がやってきた。「改造していい?」ときたので、僕は首をブンブンと横に振った。「父親か母親は?」「か、母さんなら」咄嗟にそう言うと、宇宙人はニタリと笑い、消えていった。夕方、母さんが帰ってきた。「あんた、学校は?」お前が勝手に死んだせいで引きこもってたんだよ。
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@habochiyuri0202
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2 years
とある隙間に猫がぞろぞろと入って行くのを見かけた。人が通れないほど狭い。私はその隙間に罠を仕掛け、何匹も猫を捕らえた。それを業者に売り、その金で隙間の幅を広げた。その先は異世界とでも言うのか、猫人の暮らす『猫の国』に繋がっていた。私は大々的にそれを宣伝し、ぞろぞろと現れる人間を…
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@habochiyuri0202
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2 years
宇宙で開業した私のホテルは好評で、多くの星々から贔屓にしてもらっている。完全予約制にしたのは予めお客様から出身地を聞いておけるからだ。その星にあったおもてなしができる。今も新規のお客様の為に勉強中。「これは厄介だな」どうやら地球人というのは��壊を好むらしい。あんな綺麗な星を…
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@habochiyuri0202
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2 years
娘が彼氏を連れてきたと言う。「お父さんみたいな人かも」「え…」女を胸の大きさでしか見ない下衆だ。娘も私に似てスタイルが男好みに育った、だからこそあれだけ口酸っぱく忠告したのに。「どうも」そう言って入ってきた男を見て、私の本能が察した。「む、娘の母です!胸は娘より大きいです!!」
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@habochiyuri0202
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2 years
大蛇に出会った。「美しい…」命乞いのつもりが、艶やかな体皮に思わず声が出た。「な、何を馬鹿な」「おお、動くと鱗が玉虫色に輝いて、なんと妖艶な……同じ人であったなら連れ帰っていたところだ」すると、大蛇から煙が吹き出し、それが晴れると「これならどうだ?」と美しくポーズを取る男性が…
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2 years
私には妻がいる。子供がいる。金も多くもらっている。仕事で成功したのだ。女神に取り憑かれているからだ。完璧な容姿と輝く笑顔。彼女は決して私には近付かず、離れない。話しかけない。ただ微笑むだけ。「君のために頑張ったのに」もうやめてくれ。君以外全てがゴミに見える。私は幸せ、幸せなんだ。
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1 year
帰り道、妻を見かけた。こっそり後をつけてみる。二人の出会った公園、行きつけの喫茶店、好きなケーキ屋さん、そして帰宅。「おかえり」子供達が出迎えてくれる。「遅かったね」「ケーキ買ってきた」「えっ!」軽い歓声が上がる。妻にはショートケーキを供える。風もないのに蝋燭の火が、軽く踊った。
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1 year
「俺を殺してみろ!こいつがどうなっても良いならな!」突然、我が家に侵入した男は娘を羽交い締め、叫ぶように笑った。「選択を誤ったな」私は冷静に男の頭を撃ち抜いた。男は倒れ、私は娘を抱きかかえる。娘はカッと目を見開いたかと思うと「俺を殺したな!俺を殺したな!」と叫ぶように笑った。
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2 years
私達はドライブ時、予定を組まない。妻は助手席に乗ると「車は動くベッドである」と瞼を閉じるからだ。私はその寝顔が好きでついドライブに誘ってしまう。「おーい、起きろー」「今どこ?」「家だよ」「そっか、運転ありがと、気持ちよかったです」満面の笑みは有難いが、今日はまだ車に乗っていない。
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1 year
祖母が亡くなった。残されたのは大きな屋敷。「ここに一人…寂しかったろうな」そんな屋敷で、紙切れが目についた。「本棚の赤い本」と書かれており、本棚からその本を手に取った。すると、カチリとスイッチが入り、屋敷に機械音が鳴り響いた。赤い本には次の指示が…祖母の悪戯な笑顔が思い出される。
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2 years
娘がお手伝いと言って晩御飯を床にぶちまけたので「ごめんなさいしようね?」と言っても「わざとじゃない」と頑なに謝らない。「落としてしまったことは仕方ないけどご飯をダメにしてしまったことは謝ろうね?」説いても説いても納得せず泣き疲れて寝てしまった。いやぁ〜子育て難しいw
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1 year
椅子に身体を縛り付けられ、身動き一つできない。目の前には、ずらりと料理が並んでいる。そこへ妖艶な女性が現れ、私の口の中へと料理を運び始めた。「美味い!」女性は早くも遅くもない一定の間隔で食べさせてくれる。「とても満足しました。もう結構です」女性は早くも遅くもない一定の間隔で……
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@habochiyuri0202
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2 years
魔女は鍋を掻き混ぜながら、ふと呟いた。「子供だ。後は子供だけだ。欲しい、欲しい…」兼ねてからの望みを叶えるべく、魔女は多くの仕来り、習わし、儀式を経て、ついに子供を手に入れた。「あはははは!子供だ!子供が我が手の中に!見て!あなた!なんてかわいい私達の赤ちゃん…」夢は叶った。
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