青空の抜粋室
@aozorabasu123
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青空文庫で読むことができる作品から抜粋した文章をつぶやいています。 書写のお題としても、ご自由にお使いください。#青空の抜粋室 中の人→@tsuyu_ki_17 青空文庫様→https://t.co/9lCEIPd1eQ
Joined August 2015
オリオン 金牛 もろもろの星座 澄み切り澄みわたつて 瞬きさへもすくなく わたくしの額の上にかがやき さうだ オリオンの右肩から ほんたうに鋼青の壮麗が ふるへて私にやつて来る "宮沢賢治『春と修羅』
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「姉さんが、魂をあげます。」――辿りながら折ったのである。……懐紙の、白い折鶴が掌にあった。 「この飛ぶ処へ、すぐおいで。」 ほっと吹く息、薄紅に、折鶴はかえって蒼白く、花片にふっと乗って、ひらひらと空を舞って行く。 "泉鏡花『売色鴨南蛮』
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女は静かな調子を一段張り上げて、 「百年待っていて下さい」と思い切った声で云った。 「百年、私の墓の傍に坐って待っていて下さい。きっと逢いに来ますから」 自分はただ待っていると答えた。 "夏目漱石『夢十夜』
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人は、あてにならない、といふ発見は、青年の大人に移行する第一課である。大人とは、裏切られた青年の姿である。"太宰治『津軽』
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「人殺し」とふいに男は、低いけれど明瞭な、しっかりした声で言った。 ラスコーリニコフは男のかたわらを歩いていた。彼の足は急に恐ろしく力抜けがし、背中がぞうっと寒くなった。心臓は一瞬間、まるでかけてあった鉤がはずれたように、いきなりどきんとした。 "ドストエフスキー『罪と罰』
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殺すということがなぜ犯罪になるのだろう。本当に、なぜだろう。それは自然の法則であって、すべてのものは、殺すことを仕事としている。生きんがために殺すこともあり、殺すために殺すこともある。――殺すということは、もともと、われわれの気質の中にあるものなのだ。"モーパッサン『狂人日記』
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あかいめだまの さそり ひろげた鷲の つばさ あをいめだまの 小いぬ、 ひかりのへびの とぐろ。 オリオンは高く うたひ つゆとしもとを おとす、 アンドロメダの くもは さかなのくちの かたち。 "宮沢賢治『星めぐりの歌』
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私達がずっと後になってね、今の私達の生活を思い出すようなことがあったら、それがどんなに美しいだろうと思っていたんだ "堀辰雄『風立ちぬ』
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君は、今まで何も失敗してやしないじゃないか。駄目だかどうだか、自分で実際やってみて転倒して傷ついて、それからでなければ言えない言葉だ。何もしないさきから、僕は駄目だときめてしまうのは、それあ怠惰だ。"太宰治『みみずく通信』
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犬が吠える、虫が鳴く、 畜生！ おまへ達には社交界も世間も、 ないだろ。着物一枚持たずに、 俺も生きてみたいんだよ。 "中原中也『暗い天候』
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ある日の芥川龍之介が、救ひのない絶望に沈みながら、死の暗黒と生の無意義について私に語つた。それは語るのでなく、むしろ訴へてゐるのであつた。"萩原朔太郎『宿命』
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人間は不幸のどん底につき落され、ころげ廻りながらも、いつかしら一縷の希望の糸を手さぐりで捜し当てているものだ。"太宰治『パンドラの匣』
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人間を愛し得（う）る人、愛せずにはいられない人、それでいて自分の懐（ふところ）に入ろうとするものを、手をひろげて抱き締める事のできない人、――これが先生であった。"夏目漱石『こころ』
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