内耳の蝸牛を破壊する実験により、マイクロ波聴覚効果で音を認識するとき、内耳の蝸牛が関わっていることが明らかになりました。通常の音では、外耳、中耳、内耳と音が伝わるのに対し、マイクロ波聴覚効果では、内耳に音が伝わる経路が異なるのです
Taylor et al, Brain Research, 74, 201-208, 1974
マイクロ波聴覚効果について、2016年5月に情報処理学会で発表しましたが、その研究報告書は情報処理学会の電子図書館から無料でダウンロードできます。
小池誠,”マイクロ波聴覚刺激の概説-電波が聞こえるというパラダイムに転換-”情報処理学会研究報告,vol.2016-MUS-111, no.35,pp.1-7, May 2016.
日本比較生理生化学の会誌「比較生理生化学」2022年第1号、13ページに”Mechanisms of microwave heating in microwave auditory effect”、仮訳「マイクロ波聴覚効果におけるマイクロ波加熱機構」という演題の抄録が掲載されています。著者は私、小池誠になります。2021年12月に学会発表した演題です。
名古屋大学でグラフェンナノリボンの実験データ捏造があったと報道されている。
ところで、精神医学関係者が電波妄想を流布する行為は、実験データの捏造と同様の不正と考える。マイクロ波聴覚効果は60年前、1962年に報告されている。
文献
Allan Frey, J. Applied Physiology, 17:689-692, 1962
矩形波のマイクロ波は熱弾性波に変換するという実験結果は、下記の文献に記載されています。マイクロ波が聞こえる原理ですね。
K. Foster, E. Finch, Microwave Hearing: Evidence for Thermoacoustic Auditory Stimulation by Pulsed Microwaves, Science, Vol. 185, No. 4147, pp. 256-258, 1974
マイクロ波聴覚効果では、ネコの内耳の蝸牛を破壊する実験がされています。蝸牛を破壊する前、マイクロ波照射で聴覚誘発電位が観測されました。一方、蝸牛を破壊した後、マイクロ波を照射しても、聴覚誘発電位が観測されませんでした。
Taylor et al, Brain Research, 74, 201-208, 1974
マイクロ波聴覚効果に関する実験では、聴神経、視床、及び一次聴覚野で聴覚誘発電位を計測しました。従って、矩形波のマイクロ波をネコ頭部に照射したことにより、聴神経から視床を経由して一次聴覚野に電気信号が伝達しています。
文献
Taylor et al, Brain Research, 74, 201-208, 1974